番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】
今日は、オーディオをよりいい音で聴くために、自分の家専用の「マイ電柱」を立てることを考案。世界中で反響を呼んだ会社社長の、グッとストーリーです。
「すごい!音が全然違う!」
「まるでコンサート会場にいるみたいだ。演奏家の息づかいまで聞こえる!」
・・・と耳の肥えた人たちが、その効果を絶賛。音を聴いた瞬間、涙を流す人も…。
いま、世界中のオーディオマニアの間で話題になっている「マイ電柱」を考案したのは、東京・大田区の有限会社 出水電器社長・島元澄夫(しまもと・すみお)さん・67歳。
島元さん自身、筋金入りのオーディオマニアで、良い音を得るために電力会社と粘り強く交渉。最初にマイ電柱を立てたのは15年ほど前でした。さらに今年の4月、自社用の電柱も設置。
「『何でそこまでするの?』って妻はあきれてましたが、妥協はしたくないですから。
とことんまでいい音を追求して、自分が始めたこの分野の先頭を走り続けたいんです」
マイ電柱を立てるとなぜ音が良くなるのか?
島元さんによると、変電所から送られてくる高圧の電気は、電柱の上の方に付いている円筒形のトランスで低圧の電気に変換され、およそ10軒から20軒ほどの家庭に分配されますが、この状態だと、よその家が家電を使うたびに細かいノイズが発生し、オーディオの音に影響するというのです。
そこで島元さんが考えたのが、自分の家専用のトランスを設置すること。
これなら他の家に干渉されず、ピュアな電気をオーディオに供給でき、ほとんどノイズがない状態で音楽を楽しめます。
「汚れた川の水が、きれいな岩清水になったようだ!」とたとえた人も。
島元さんが、出水電器を創業したのは28歳のときでした。
はじめは家電製品の販売とメンテナンスが中心でしたが、音楽好きが高じて40歳頃から1台何百万円もするアンプやスピーカーを買い揃えるようになり、会社の業務もオーディオ関連に。
一度始めたら、その道を究めるのがモットーの島元さんは、徹底的に音質を追求。
ついには自社ブランドを立ち上げ、そのアンプはオーディオ評論家やジャズ評論家にも愛用されるようになりました。
さらにクリアな音を…と考えた末にたどり着いたのが「マイ電柱」でした。
音質の研究のため、オーディオに資金をつぎ込み、気付けば数千万円の借金を抱えることに。
「今思うと、お金もないのに次から次へと投資ばかりして、妻には本当に苦労をかけました」という島元さん。
「オーディオは主人の生き甲斐だから、私は黙って見守るだけ」という奥さんの憲子さんが献身的に支えてくれたからこそ、島元さんはオーディオの世界で高い評価を受けることができたのです。
アンプは順調に売れていたので、借金はいずれ返せると考えていた島元さんでしたが、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災を境に、高級アンプは売れなくなっていきました。さらに追い打ちを掛けるように、憲子さんが乳がんと肝臓がんにかかり、手術を受けましたが、転移が見付かり、再手術….。
そんな苦境に追い込まれても、島元さんは「これまで支えてくれた妻のためにも、ここで負けるわけにはいかない!」と、さらなる音質の追求に努めました。
そして去年の夏、転機が訪れます。
「マイ電柱」の評判が海外にも届き、アメリカの経済紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』が、特集記事を掲載したのです。それをきっかけに、マスコミの取材が殺到。マイ電柱の発注も増え、業績もV字回復していきました。
借金はもうすぐ完済間近で、憲子さんも今年4月、5度目の手術に成功。島元さんは言います。
「私の座右の銘は、『心は巧みなる画師の如し』。心に強く思い描いたことは、絵に描いたように、必ず現実になるという意味です。『マイ電柱』をもっと世界に拡げて、音楽好きを感動させていきたいですね」
【10時のグッとストーリー】
八木亜希子 LOVE&MELODY 2017年7月8日(土) より
番組情報
あなたのリクエスト曲にお応えする2時間20分の生放送!
今、聴きたい曲を書いて送ってくださいね。