動物病院に転職~職種は“ただの動物好きのおっさん”

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【ペットと一緒に vol.135】

動物病院に転職~職種は“ただの動物好きのおっさん”
30代半ばで約15年間の接客業のキャリアを捨て、未経験で一から動物業界に転身をした廣川秀さん。動物に囲まれる仕事が楽しくて仕方がないと語る、廣川さんの職場とプライベートでの犬まみれの生活を紹介します。


ある日突然訪れた転機

動物病院におよそ10年間勤めている廣川秀さん。「私が何者かと言うと、あるときは看護師、あるときは送迎ドライバー、またあるときは……ただの動物好きのおっさんです(笑)」と、自らを語ります。

動物病院に転職~職種は“ただの動物好きのおっさん”

廣川さんは犬たちにとって安心できる存在

約15年間、接客業を続けて来たある日、突然動物と触れ合いたくなったのだとか。「転職をしようと思っていたら、ペットホテルの従業員募集が目について、胸が躍りました」と、当時を振り返ります。実は廣川さんは動物関係の専門学校を出たわけでもなく、ペットに関する実務に役立つドッグトレーニングやトリマーの資格も保有していません。

「それでも、どうしても動物に関わる仕事がしたくて。ペットホテルのスタッフならば、自分にもできるかもしれないと応募をしました。『何の資格もありませんが、何でもやります』という、動物への熱い思いが伝わったのでしょう(笑)。採用されたときはうれしかったですね」。
こうして、廣川さんは新しい世界に30代半ばで転職を果たしたのです。

動物病院に転職~職種は“ただの動物好きのおっさん”

廣川さんの愛犬のキャラちゃんとメルちゃん


動物に触れられる喜びをかみしめながら

ペットホテルでの新しい仕事は、不安や戸惑いよりも喜びのほうがずっと大きかったそうです。「預かっている犬たちとの散歩も楽しく、フリースペースでは座ったり寝転がったりするとあっという間に犬たちに囲まれて。それはもう、夢心地でしたね(笑)」と、廣川さんは言います。

ペットホテルではのちに廣川さんの人生を変える出会いもありました。兄のような立場で面倒を見ていた、獣医大学の学生アルバイトが卒業後に勤めた動物病院から声がかかり、転職をすることになったのです。

動物病院に転職~職種は“ただの動物好きのおっさん”

愛犬との外出先での1コマ

「動物病院で働くようになって感じたんですが、私は犬や猫に嫌われることがないんですよ。獣医師のように痛がることをしませんし、トリマーのように犬や猫が苦手だと思う処置をしませんからね。さらに、家まで送ってくれる、笑顔あふれるやさしい動物好きのただのおっさんですから」と、廣川さんは微笑みます。

それでも、看護師としての仕事中にはたまに犬に咬まれたり猫に引っかかれたりもするそうです。「でも、咬まれてもそのまま手を動かさずに平然としていると、犬は口を放しますし、大けがにはなりません。ちっとも怖くないですし、平気ですね」とのこと。


念願の犬との生活をスタート

他の犬とのかかわりを重ねて行くうちに、自分の愛犬が欲しくなった廣川さんは、ミニチュア・ダックスフントのブリーダーを探し始めたのだとか。

「胴長短足のフォルムに惹かれて、ダックスをぜひ迎えたいと思いました。毛色も、チョコレート・ダップルとチョコレート&クリームが希望だったんですが、ちょうどその毛色の姉妹が誕生したところだと言うブリーダーさんに出会えたんです」(廣川さん)。

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愛犬との毎日が宝物

こうして初の愛犬を一気に2頭迎えた廣川さんでしたが、愛犬で困ったことはなかったと言います。

「アナグマ猟をするために作出された犬種なので、吠えやすいという特徴を持ちます。でも、キャラもメルも、驚くほどに吠えません。いままで1度も吠えたことがないと言っても過言ではないくらい。留守番中のイタズラも心配ないので、いつもフリーにしています。出勤前にトイレシーツを敷くとちゃんと排泄をして、帰宅後まで静かに寝ているみたいです。帰宅後にシーツを出すと、またそこでして……。2頭とも、いい子すぎて感心します! 親バカですかね(笑)?」。

多頭飼育をしていると、早く食事を終えたほうが、同居犬のフードを奪いに行きケンカになるケースもめずらしくありません。けれども、キャラちゃんもメルちゃんも、決してそのような争いもなく、いつも2頭はくっついて寝ているとも。

「あまりにも犬が好きすぎて、愛犬と同じ空間にいるだけで本当にしあわせなんですよね(笑)。人付き合いよりも、愛犬付き合いが最優先です」と、廣川さんは笑います。

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同胎の姉妹はいつも仲良くシンクロ

獣医師でもトリマーでもなく、一飼い主として共感をしてくれ、飼い主さんに近い目線で身近なアドバイスをくれる廣川さん。その存在は、きっと飼い主さんにとっても貴重であり心強いことでしょう。

連載情報

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ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!

著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。

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