巨人・大江 “リアル『巨人の星』”と言われる父との関係
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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。本日は、12日に行われたオープン戦で「29人連続アウト」の記録を作った巨人のリリーバー・大江竜聖投手のエピソードを取り上げる。
「すごく緊張しました。2点差で勝っていて、その状態で最後を締めることがなかったので。いい経験をさせてもらったなと思います」
12日、北九州市民球場で行われたオープン戦、ソフトバンク−巨人。吉川光の後を受け、9回から4番手でクローザーとしてマウンドに上がったのが、今年プロ3年目、弱冠20歳のサウスポー・大江でした。
過去2シーズンは1軍登板が1度もなかった大江ですが、今シーズンはキャンプから力の入ったピッチングを見せ、実戦でも投げるたびに評価がアップ。紅白戦なども含め、6試合登板して1人の走者も許さず、「26人連続アウト」の記録を継続中でした。
7戦目となったソフトバンク戦は、登板数の少ない吉川光を確実に投げさせよう、という首脳陣の判断で、いつもと順番を入れ替え、大江がクローザーに。4-2と巨人が2点リードの最終回に「守護神・大江」の出番がやって来ました。
先頭の西田をショートフライに打ち取ると、代打・川島はセンターフライ、最後は代打・塚田をチェンジアップで空振り三振。危なげないピッチングで、連続アウト記録を「29」に伸ばしました。もし先発だったら、最初のアウトを取った時点で“完全試合”を達成していたことになりますが、宮本和知投手総合コーチも、
「1アウトを取った時に、花束を持って行こうかと思ったよ(笑)」「みんなに冷やかされながらも自分の投球ができるのは、彼が本物というか、そこまで力を付けてきたことだと思います。逆に怖いぐらいです」
と大江を絶賛。宮本コーチは、昨年の秋季キャンプから大江のピッチングを見守っていますが、スピードガンではそれほど球速が出ていなくても、「ボールが生きている」……具体的に言うと「本当に角度のあるボールを投げている」と言います。
そういう生きたボールが投げられるようになった秘密は、今年1月、西武に移籍した内海哲也の自主トレに参加。とにかく全力で走って走って走り抜くトレーニングを課されたこと。
連投を強いられるリリーフ投手にとっては、いかに疲労を早く回復させ、力のあるボールを投げられるかが勝負です。「いい訓練になりました」と言う大江。
開幕1軍となれば、3年目にして念願のプロ初登板となりますが、その晴れ姿をいち早く見せたいのが父親の広志さんです。実は広志さんは、阪神・糸井の母校でもある京都・宮津高の野球部出身で、5歳で野球を始めた大江に、こんなトレーニングを課しました。
「家の前で太いチューブを腰に巻いて、走っていました」(大江)
チューブの反対側には、重りとなった広志さんがいました。まさに、リアル『巨人の星』。強靱な足腰はこうして作られました。大江が小学生のときは、少年野球チームの監督としてわが子を鍛えた広志さん。その頃、離婚しましたが、男手一つで大江を育て、試合の日は手作り弁当まで用意してくれたそうです。二松學舍大学附属高校時代は、試合になると応援に駆け付け、大声でエールを送ってくれました。
「ここまで成長できたのは、お父さんのおかげ。早く1軍で活躍をして、プレーする姿を見てもらいたい」
ドラフト後の仮契約のとき、そう口にした大江。このまま行けば、吉川光と「勝利の方程式」を組むことは確実で、頭文字を取った「大吉コンビ」が、昨年リリーフ陣の不安に泣いた巨人に幸運をもたらしてくれるかもしれません。
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