ニッポン放送「飯田浩司の OK! Cozy up!」(4月2日放送)にジャーナリストの有本香が出演。外国人の医療費未払いの現状と対策について解説した。
外国人患者の医療費未払い総額9,300万円
3月27日に厚生労働省が発表した、日本を訪れている外国人患者の医療費未払いに関する調査によると、未払いの総額はおよそ9,300万円に上ることがわかった。
飯田)この調査によりますと、日本を訪れた外国人患者を受け入れた病院のおよそ2割が医療費の未払いを経験していて、最大で1,422万円にのぼる病院もあったということです。
有本)外国人が日本で医療を受けるという問題は、いろいろな切り口があります。前・入管難民法の改正のときに、3ヵ月以上の在留資格を持って日本に働きに来る、そのビザを持って来る人たちが健康保険に入る。そのなかに日本特有の特典というか制度があって、外国にいる家族も皆ある程度保険でカバーできたり、高額医療だと言われるガン治療などが一定の額で受けられる、高額医療制度。こういうものが違法ではない形だけれども、悪用されているのではないか。こういうケースを随分指摘して来ました。今回の未払いについても、実は前から取材では聞いていましたけれど、今回この調査をしたこと自体も画期的です。いままで国は実態把握すらしていなかったし、データの取りようがないということの一点張りでした。でも今回、調査は一応しました。ただ、回答が回収できているのは47%。しかも、忙しい医療現場にこういうことを聞いて、どこまで精緻な回答が返って来ているかはわからないわけです。ですから、「総額で9,300万円か、それほど大きくないな」と思われたかもしれませんが、これは氷山の一角だと見ていいと思います。小さなクリニックなども、遍くもし調べた場合はもっと額は大きいと思います。総額としてあまり大きくないからいいという問題でもなくて、医療機関にしてみれば、未収が発生するということはいままでほとんどないので、経営にも大きく影響するケースがあります。
外国人が日本で出産するメリット
有本)それと、今回の調査で新たな問題点として夕刊フジでも指摘をしたのは、日本に旅行者のような形で入って来て、出産する人がいるということです。日本ではいままで、そのことについて厳しく見る必要がないと考えられていた。なぜならば、日本は出生地主義ではないですから。
飯田)そうですね、戸籍、というか国籍をね。
有本)アメリカの場合は、アメリカで子供を生めば両親の国籍に関係なく子供には国籍が与えられて、それを理由にして滞在するようなケースがあるので、厳しくこの問題に対処して来ています。トランプ大統領はこの出生地主義をやめたほうがいいのではないかという発言までされている。日本はそうではないから、「日本にわざわざ来て子供を産む人はいないでしょう」という感覚かもしれませんが、そうでもないみたいなのですよ。
飯田)そうでもない。ということは、別のメリットがあるということですね。
有本)こうやってもし、保険を掛けなければ130万円が未収となったら。
飯田)出産費用ですね。
有本)非常に整った医療環境のなかで出産をして、踏み倒してしまう、そんなことを目論んで来ている人もいないわけではない。今後、外国から新しい在留資格で働きに来られる方のなかには、女性も当然いるわけです。日本で入国を認める、ビザの申請をするときに、例えば感染症にかかっていないかという健康状態を聞く、証明書を出すということは求められているけれども、妊娠しているかどうかは聞いてもいません。これは今後は聞かざるを得なくなるのではないかなと思います。入って来てから「あなた出産は駄目よ」ということは、人道上よろしくないことになります。ですから、まず働きに来られる方に関して、新たな特定技能1号2号、特に1号の方に対して、妊娠しているかどうかはあらかじめ聞く必要があるでしょうね。
外国人労働者を国外から受け入れる際には妊娠しているか否かを聞くべき
飯田)そこは確かに、法律云々のときにはまったく議論されて来なかったところですよね。
有本)日本は常に制度がゆるっと甘いのですが、厳しくするのはお互いにとっていいことなのですよ。入って来ました、でも実は妊娠していて、もうあと何ヵ月後には出産しなければいけませんとなると、どちらにとっても辛いのです。受け入れる側もね。
飯田)そうですよね。受け入れる側としては、こう言っては何ですが、労働力として求めて来てもらっているところがあるから、「来ていきなり働けないの?」ということに当然なりますよね。
有本)どうしてもそうなりますよね。だけどそれを理由に帰って下さい、ということにもなかなか結び付かないかもしれない。両方にとってよくないことだから、この資格で日本に働きに来る方をお迎えするならば、そこは最初にきちっと聞いておくべきでしょうね。
飯田)こういう議論を初めても、すぐにそれは外国人差別だからだめだ、みたいなことに短絡的につながってしまうところもありますが。
有本)これは他の国でも当然やっていることですからね。外国人を受け入れている、例えば台湾とかシンガポールとか。どこも妊娠している人には在留資格は下りませんよ。
飯田)シンガポールは相当厳しいですよね。
有本)シンガポールは厳しいですね。どこまでそれを見習うか、という部分はあるけれども、参考にせざるを得ない。常に制度設計のときにある程度悪い事態を予測する、その予見能力が常に日本側に弱いのですよ。物事を悪く捉えてはいけないという感じで制度設計をしてしまうのは、逆に後々に禍根を残してしまう良くない体質だと思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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