改正入管難民法~法施行は凍結して遅らせるべき
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月12日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。政府が改正入管難民法に基づいて方針を決めた8カ国からの外国人労働者受け入れについて解説した。
外国人労働者の受け入れ~8カ国と政府間協定を締結へ
政府は改正入管難民法に基づき新設する特定技能1号の在留資格について、まずベトナムやフィリピンなどアジア8カ国から外国人労働者を受け入れる方針を固めた。来年3月までに労働者の権利の保護などを定める政府間協定締結を目指す。
飯田)ベトナム、フィリピン、タイ、インドネシア、ミャンマー、カンボジア、そして中国と7カ国が決定して、もう1カ国はまだ調整中だそうです。
高橋)技能実習生という制度がありますが、その制度をなくして、新たな在留資格に切り替えて移行措置をするのが普通です。こうするのであれば、もう少し国会で「その制度は併存では無く、いつまでになくす」と言えばよかったのに、言わなかったですね。すごく拙速だし、3月までに決めるということですが、事務的にできるのかなと思いますね。
飯田)これから3カ月で出入国管理庁も新たに作るということです。
法の施行は時間をかけてするべき
高橋)大変ですよね。
飯田)そこに事務作業も移管するわけですよね。
高橋)「~するべきだ」という論で言えば、管理庁を作るのは良いでしょう。その代わり、法施行は少し遅らせるという二段階方式にした方が良いのではないかと思います。法律は用意するのだけれど、法施行は凍結した方が良いです。その方が間違い無い。凍結しておいて、いろいろな問題点を良く考えて、半年なり1年なり経ってから実質的に法施行をした方が良いと私は思います。
飯田)今回、8カ国というものが出て来ましたけれど、これを増やす、或いは減らすのも全部国会は通さずに政令でやるということですが。
高橋)2国間協定なのに批准しないで、国会手続きをしないというのもどうなのかなと思いますけれどね。
外国人労働者が入れば賃金の伸びは落ちる
飯田)国会答弁では、「日本人の労働者とほぼ同一の待遇にする。だから給料が下がることは無いのだ」ということを言っていましたけれども。
高橋)どうやってチェックするのですかね。
飯田)そこの部分をね。
高橋)チェックのしようがないと思うので、総量的にどれくらい増えます、どういう業種でどれくらい増えますと言うのを数字できちんと出すのが普通です。それが入国管理です。そういうことを法制度か何かで示した方が、国民は安心します。
飯田)普通に考えて、下がらないかもしれないけれども、上がって行かなくなりますよね。
高橋)間違いないですね。いままで、私はいろいろな実証分析をしていますが、外国人労働者が入る業種の方が上がりません。
飯田)外国人労働者が入って来ると、賃金の伸びが落ちる。
高橋)落ちますね。平均値より下がる可能性が高いということです。
飯田)そうすると、物価を上げる為には雇用がひっ迫して来て、賃金が上がるから結果として物価も上がって行くということになりますか?
経済界の要求は「賃金を上げずに人手が欲しい」ということ
高橋)それが普通のロジックですね。これはそれを少し阻害するので。しかも限界的なところですから、効いてしまって悪い効果を持ち合わせやすい。正直に言うと、賃金を上げれば人手不足にはあまりならないのですけれどね。要するに言いたいことは、「賃金を上げないで人手が欲しい」と言っているのです。
飯田)安い労力を欲しいと。
高橋)でもそれは間違いだと思います。儲かっているのだから賃金を上げればいいのです。
飯田)そう考えると、これはアベノミクスに逆行すると思うのですけれど。
高橋)最近、実賃金が上がりにくいのですが、私はこれが原因ではないかと思います。限界的なところで原因になっているような気がしますけれどね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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