今国会での憲法改正断念~自民党の参議院選へ向けての目論見
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月29日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。自民党が今国会での憲法改正案提示を断念した背景について解説した。
自民党~今国会での憲法改正案の提示を断念か
自民党は憲法9条への自衛隊明記など4項目の憲法改正案について、今国会での提示を見送る方針を固めたことを、複数の関係者が明らかにした。衆院憲法審査会が想定通りに進まず、憲法案を提示する日程の確保が難しいと判断したようだ。
飯田)下村博文議員の発言などでいろいろモメていましたよね。メールをいただいています。西多摩郡在住の会社員“さみうさみ”さん(60)から、「憲法審査会の野党欠席。これは国会議員の本職中の本職でしょう。審査会に出ることが、すなわち改憲じゃないと思いますけどね」といただいています。
鈴木)議論はやるべきですよね。憲法改正は安倍さん個人の、政治家としての信条だと私にハッキリ言いました。
ただ、安倍さん個人の問題だけではありません。憲法をここでしっかり議論する時期に来ているのです。だから議論をして、「変えるべきではない」という意見があってもいい。憲法を正面からみんなで考えるタイミングなのです。
参院選での立て直しを考えている公明党は憲法改正に積極的に関われない
鈴木)スケジュールがどうなるのか。最後は国民投票になりますが、実際どうなるかについて言うと、やはり公明党が1つ大きなポイントになっています。公明党としては、代表もスケジュールに慎重な表現をしています。公明党は、去年の総選挙で少し力を落としているから、来年の参議院選挙でもう1度立て直さなければいけない。やはり公明党は平和・福祉の党です。支持者も同じです。そのなかで9条を含めた憲法の改正を扱うのは、参議院選挙までやれないのですよ。
飯田)触れたくないのですね。
鈴木)その方向については去年から幹部が言っています。自民党にとっては野党ではなく連立パートナーの公明党が慎重であるという部分。そこを考えると、安倍さんが当初言っていたように「この秋の臨時国会で~」というのは厳しいだろうという見方をしていましたが、その通りになった感じです。
憲法以外には社会保障問題が喫緊の課題である
飯田)素朴な疑問です。憲法審査会は毎週木曜日に開かれるそうですが、もう少し数を多くできないのでしょうか?
鈴木)他にもいろいろありますからね。私は社会保障で特別委員会を作ってもいいくらいに思っています。少子高齢化は止まらないから、喫緊の課題ですよね。
オリンピックが終わったら一気に来ますよ。オリンピックまでは何となくムードがありますが、終わったら一気に来る。社会保障は週に2、3回は議論しながら、制度設計から何からやるべきだと思います。
憲法改正については週1でじっくりやっていいと思いますが、それがなかなか開かれない。そこはどうなのかと思います。議論はしてもいいと思うし、改憲に反対なら、その意見を堂々と国民に向かってぜひ言って貰いたいですからね。
つねに解散を匂わせておくことが権力側にとって非常に有効な戦略となる
飯田)参院選について質問です。参院選を睨んで日程闘争が1月4日に開くと噂がありますが、どうですか?
鈴木)解散をダブル選挙に持って行く可能性についてですね。いろいろなところで話が出ています。
よく「解散には大義名分が必要」と言われていますが、過去を振り返ってみて、大義がありましたか? やはり解散権を持っている権力側は「ここなら勝てる」とか「参議院が厳しいからダブルで乗り切る」とか、勝つことが第1のポイントになる。大義はどちらかと言うと後からです。その意味で安倍さんがダブルをやるかは、ようするに来年の参議院選挙が今後の支持率も含めて厳しくなって、「勝たなければいけない場面で勝てそうにない」とか、「権力をもう1度掴むにはこのタイミングしかない」とか権力闘争の判断になっていくと思います。だから、大義は後から付いて来る。
常に「あるかもしれない」と思わせておくことが、権力側からすると非常に有効なのです。そうすると、1月の早い段階で国会召集して、「もしかしたら日程的にやるのでは?」というブラフを常にかけつづける。そういう感じで世論を見ながらタイミングを図ることになると思います。
だから、可能性はもちろんありますが、様子を見ながらです。「やるぞやるぞ」という部分に効果があるわけですよ。
自民党寄りとなる長島昭久氏のつくる新党
飯田)解散とかがチラ付くと、野党も動き出して再編とか、最近ずっとそういう動きが続いていました。今回もまた「長島昭久さんが新党を作るかもしれない」というニュースが入りましたね。
鈴木)年度内に政党に届け出ると、いろいろな交付金などが貰えます。だから、年内は1つのタイミングになるのです。ただ、長島さんが作る政党がどの立ち位置になるかが、大きなポイントになります。つまり、自民党に近い政権寄りか、野党色をハッキリ出すか。これまでを見ていると、おそらく政権と協調してやっていく立ち位置になると思います。是々非々ですね。
飯田)長島さんと、一緒に作ろうとしている笠浩史さん。旧民主党では保守派と呼ばれた人たちです。立ち位置的には自民党に近いものになっていく感じですね。
鈴木)そうですね。自民党にしてみれば仲間が増える期待もあるようです。
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