外国人労働者受け入れ~政府と国民が考えて行くべきことは何か
公開: 更新:
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月1日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。臨時国会で政府が成立を目指している入管法について解説した。
臨時国会で入管法改正案成立目指す~経済対策ではプレミアム商品券導入の検討も
政府は、現在開かれている臨時国会で、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた、入管難民法改正案の成立を目指しており、与野党の議論も始まっている。また、総理は来年10月の消費税10%への引き上げ後の経済対策として、購入額以上の買い物ができる「プレミアム付き商品券」を前向きに検討すると表明した。
飯田)臨時国会。きょうから予算委員会も始まります。焦点は消費税と入管難民法ですか?
鈴木)期間が短くて、40日くらいしかないので、何でもかんでもはできない。実はやらなければいけないことはたくさんあるのです。憲法改正、入管法改正、消費税関係、それ以外にも社会保障や閣僚スキャンダルや、外交についての話。安倍さんが3期目に入っていますが、外交も日米で貿易問題が出てくるし、ロシアはプーチン大統領が領土問題を棚上げしようと言っている。韓国とは解決済みのはずだった徴用工など、新たな外交問題がたくさんあるのです。「そのなかで、あえて」となると、入管法に関しては来年4月に実行したいということなので、いま決めなければいけない。それで急を要しているのです。
入管法を決める前にしなくてはならない国内の労働環境改善
鈴木)与党内でもいろいろ慎重な意見があります。自民・公明は党内手続きとしてはこれを認める形になり、閣議決定はおそらく明日ですが、いろいろな意見がある。取材してみると、「移民につながって行くのではないか」という懸念もある。公明党にも慎重な意見があります。某ベテランと2時間近く話しましたが、おもしろい視点だなと思ったのは、今回の改正についてもそうですが「まずは国内で日本人が労働市場にどのように働きやすい環境を作り、それでも足りないときは海外から呼ぶ」という文章になっています。「では、日本人が働く環境という部分は、各省庁が努力してやり切ったのか?」となると、やっていないところはたくさんある。例えば国土交通関係の建設や造船はルールを作って、日本人が働きやすいようにしています。「俗に言う『3K』だから、代わりに給料を上げよう」みたいにいろいろやっているのですが、やっていないところもたくさんあるのです。
飯田)いまだにブラック企業と呼ばれるものが残っていますね。
鈴木)それをそのままにして、「人が足りない!」でいいのか。順番が違うのではないか。移民という視点ではない、新たな視点での慎重論をおっしゃっていたのです。「なるほど」と思いました。そういう点も含め、財界からの要請もあり、外国人に頼らなければいけない側面もあります。
移民も含めた労働問題を議論するいい機会
鈴木)その先の移民問題についてです。一時期だけの来日ではなく、家族帯同で転居ですね。これは今度2つ資格を作ります。1つは家族帯同を認める方向ではありますが、結局「移民」という形で生活してもらう。住民税なども日本に納めてもらい、日本で消費してもらった方がプラスになる場合もある。だから、善し悪しも含めた議論をする、いいきっかけなのです。だけど、先述のように時間が短すぎる。そこが私は不安というか、不満です。
飯田)経済界は「とにかく安い労働力がいま欲しい!」ということですが、そうではないですよね。ロボットを導入するのとはまったく別で、そこに生活があるという部分まで考える必要がある。鈴木さんの言うとおり、納税もして、日本の社会ときちんと折り合いを付けることができるなら、懸念も少なくなるのですが、決してそればかりではない。
鈴木)その辺がまだまったく見えていないし、しかも我々国民も含めて議論していませんよね。まずは少子高齢化の大変な時代で、労働力や働き方をどうすべきか。その次に、外国人労働者の力を借りる。それはいいけれど、その先の移民という考え方はどうなのか。議論するきっかけができていると思うのです。だけど、それを「来年の4月締め切りでパッと通すだけ通して行く。細かいことはその先」というのはもったいない気がします。公明党のベテラン議員も「来年の春ではなく、もう半年か1年、ずらせないか」と、総理周辺にハッキリ言ったそうです。だから、そういうのもアリかな、という気がします。とにかく来年の春でどんどん進んでいますからね。ちょっともったいない気もします。いい議論のきっかけになる気はするのですけれどね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。