「受け入れ拡大」はいいのだが~これだけある外国人労働者の問題
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月27日放送)に国際政治学者の高橋和夫が出演。菅官房長官の外国人労働者受け入れ拡大の発言を受け、予想される外国人労働者の問題について解説した。
外国人労働者受け入れ拡大~新たに10以上の業種が検討対象に
菅官房長官は昨日都内で講演し、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた新たな在留資格について、10以上の業種が検討対象となっていることを明らかにした。菅長官は「さまざまな業種にヒアリングを実施して、外国人材がいなければ10数業種の事業で大きな支障が出るという問題が起こる」と述べている。
飯田)外国人労働者の新たな在留資格は、来年4月の導入を目指しています。いろいろ縛りはかけていますが、どのような影響が考えられますか?
高橋)1つは、「ゲストワーカー」という言葉があります。何年か期限を決めてゲストとして呼ぶ人のことですが、日本に居着いて結局帰らない人が多いですよね。そうなると、「子供たちの教育はどうなるのか?」という問題が出てきます。
教育問題を解決しないと一切言語を理解できない世代が育ってしまう
高橋)すでに日系ブラジル人、日系ペルー人などが「帰国」の形で日本に帰ってきて働いてもらっていますが、そのお子さまたちが日本の学校に馴染めない。日本語で読み書きができないのです。だからと言って、ポルトガル語やスペイン語で教育を受けているかというと、そんなことはない。「どの国の言葉も読み書きできない世代」が育ちつつあります。とても大きな社会問題が、時限爆弾みたいになっているわけです。
来るのは人間です。「労働者」であって「労働力」ではありません。その面倒をどう見るかですね。
例えば、子供の教育を地方自治体が負担するのか、政府がやるのか、それとも企業がやるのか。しっかり決めてからやらないと誰も面倒を見ません。
給料だけ払えば安いですが、その方のご家族の教育費用まで考えると、そう安いものでもない。しっかり詰めて考えないと、ヨーロッパのように、移民が社会に溶け込めずに社会問題になってしまうのが、目に見えている気がします。
だから、受け入れるのはいいですが、周りの手当をどうするか、しっかり官房長官がお話を下さると、もう少し安心感があるのですけれどね。
受け入れ後、誰が諸費用を負担するのか
飯田)ご指摘のように、企業はとにかく安い労働力が欲しくて「入れろ!」と言うけれど、その先に責任を持たないわけですよね。
しかし、確かに教育1つだけでも、それだけのコストがかかる。そして、いまの地方自治体は無い袖は振れない状態ですよね。
高橋)実際にこの問題に直面している浜松に行くと、ボランティアの人たちが一生懸命頑張っているのですよ。それはありがたくて貴重なことですが、「ボランティアの頑張り」ではなく、「行政や企業、自治体がしっかり枠組みを作って、“プラスで”ボランティア」がいいのであって、ボランティアだけに任せるような形では、問題を残すと思います。この辺はやはり詰めてからどうするか仰って欲しいですね。「外国人労働者の受け入れが必要」というのはみなさん意見が一致していますが、「誰がその費用を負担するか?」の議論が詰まっていないように思えます。
飯田)教育1つでその問題ですが、それ以外にも社会保障や年金、医療や介護、福祉の問題。みんなお金がかかってきますからね。
高橋)実際、日本語ができなくて書類が書けず、そういうことに応募できない人が多いのです。だから、そういう手当も考えなければいけません。外国人を入れることは素晴らしいと思いますが、本当に準備万端で入れていただきたい。それが、実際に現場を見た感覚です。
飯田)いろいろな人がいろいろなジャンルで「諸外国に学べ!」と言いますが、まさにこの部分は、失敗も含めた先行事例がたくさんありますよね。
高橋)フランスやドイツは「一定時間の語学研修」を義務付けていて、その費用を政府が負担する仕組みがあります。日本でもできるはずだし、やる必要があると思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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