黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」（ニッポン放送）に、「プレミアムワイン株式会社」代表取締役で、ワインスペシャリストの渡辺順子が出演。世界最大のオークションハウス「ニューヨーク･クリスティーズ」へ入社する経緯を語った。

黒木）今週のゲストは「プレミアムワイン株式会社」代表取締役で、ワインスペシャリストの渡辺順子さんです。ニューヨークでレストランにいたら、知らない人に話しかけられて株を買わないかと言われて買ったということですが、声に従ったのですか？　買えばいいと。

渡辺）ためらうことがなかったですね。

黒木）突き進んだのですね。

渡辺）突き進みました。

黒木）一緒にいた金融関係のお友達はその株をすぐに売って、損はしなかったが儲けもなかったということです。渡辺さんの場合は忘れていたのですよね？

渡辺）その頃、日本に帰っていて、すっかり忘れていました。ニューヨークに戻ったときに、株の関係者からの連絡ですごく上がったことを聞いて、「そうだ買っていた！」と思い出したのです。それは「その株を売ったお金でフランスに行きなさい」という神からのプレゼントなのだと思いました。

黒木）ここからまた強運その4があるのですよね。

渡辺）私はぺトリュスを飲んでワインの職に就こうと決心しましたので、ワインのビジネスをするのなら高級なものを扱いたいと思っておりました。ワインの学校では大体ソムリエになりたいとか、ワインを作りたいとか、ワインを流通したい販売したいという人たちが多いのですが、私は高級なワインを扱いたい、そうなるとオークションだと思いました。ニューヨークのオークションで働くのは敷居が高いかなと思っていたのですが、ある日、パリの町を歩いてクリスティーズの前を通ったら、パーっと自動ドアが開いたのですよ。

黒木）それは踏んだからでしょう？

渡辺）「私のために開いたんだ！」と思ったのです。

黒木）きっと踏んだから開いたのですよね。でもそれを「私のために開かれた扉だ」と思われたところがすごいですよね。

渡辺）それは「ウェルカム」なのだと思いました。

黒木）それで履歴書を送られたのですね。

渡辺）それからニューヨークに帰りまして、ニューヨークのクリスティーズに履歴書を送りました。すぐ返事が来るものだと思っていたのですが、全然返事が来ないので、おかしいな、届いてないのかなと。電話もしたのですが取り次いでもらえない。会社に行ってもアポイントメントがないので門前払い。どうしたらいいのだろうと考えていましたら、ある人からクリスティーズはコネクションがないと雇ってくれないということを聞きました。クリスティーズのワイン部門を作ったマイケル・ブロードベント氏という、我々ワイン業界からしてみれば神様のような人に辿り着いたのですが、そのマイケル・ブロードベント氏の知り合いの知り合いの知り合いの知り合いぐらいになったのですよ。それでもお願いしますと、知り合いの人にお願いして菓子折りを送りまして、知り合いの人にお願いした、またその知り合いの人にお願いして……。

黒木）それで辿り着いて、そのマイケルさんに本当に会えたということですよね。

渡辺）ニューヨークのオフィスに電話を入れて、「ジュンコ・ワタナベというすごく働きたがっている人がいるから、いいんじゃないの」と言ってくれたようです。そしたらすぐ連絡が来まして、「インターンで良いなら働きなさい」と言っていただきました。

黒木）その後はどうなったのですか？

渡辺）ある日、上司から呼び出されました。実は正社員が急に辞めることになり、ポジションが空いたと。正社員に興味はあるかと聞かれて、もちろんありますということをお伝えしました。「こういう条件で良いか」と聞かれ、「大丈夫です」とお答えしたら、「ウェルカム・トゥ・クリスティーズ」と言ってもらえました。

渡辺順子／ワインスペシャリスト

■1963年･愛知県生まれ。
■ニューヨークに移住、フランスへのワイン留学を経て、2001年から世界最大のオークションハウス「ニューヨーク･クリスティーズ」に入社。アジア人初の「ワインスペシャリスト」として8年間勤務。
■2009年に退社し、ワイン･コンサルタントとして独立。
■2010年に「プレミアムワイン株式会社」を設立し、代表取締役に就任。ワイン投資のアドバイザー、セラーを管理するセラーマネジメントのほか、世界有数のワインオークションハウス「ザッキーズ」の日本代表として日本国内での高級ワインのオークションを開催するなどワインビジネスの第一線で活躍。
■著書に『世界のビジネスエリートが身につける 教養としてのワイン』がある。

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