恐竜は鳥だった!
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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、恐竜専門サイエンス・コミュニケーターの恐竜くんが出演。最近の研究で出て来た恐竜は鳥であったという説について語った。
黒木)今週のゲストは恐竜専門サイエンス・コミュニケーターの恐竜くんです。
『知識ゼロからの恐竜入門』、恐竜くんが書かれた本で、絵もご自分で描かれています。恐竜は骨しか残っていないのですよね。
恐竜くん)そうですね、基本的には。
黒木)骨からこういう肉付きだっただろう、こういった動きをしていただろうということを研究するのですか?
恐竜くん)そうですね。いろいろな研究成果に基づきながら科学的に推測します。普通に絵を描くのとは若干やり方は変わっています。想像になってしまう部分が多くなるのですが、化石そのもの、骨自体を理解し、私たち自身の体の構造や現存する生き物を理解して描きます。化学の基本は観察すること、比較することと言われていますが、いまいる生き物をしっかり観察して比較することが大事になります。
黒木)そして実は、鳥は恐竜だったというお話なのですね。
恐竜くん)はい。恐竜と言うと、巨大なトカゲやワニみたいな姿をしていて、大昔に絶滅してしまったというものが共通のイメージでしたが、実際は鳥と恐竜は骨だけで見るとよく似ています。進化で有名なチャールズ・ダーウィンのあの時代に、生き物の進化があるのだったら恐竜から鳥になったよねと、実はその頃から言われていたことではあるのです。化学的に研究が進んで、はっきりした証拠をもとに鳥は恐竜なのです。恐竜は絶滅していなかったと結論が出たのは最近なのですが。
黒木)と言うことは、ハトとかニワトリも恐竜なわけですね。
恐竜くん)そうです。
黒木)仲間と言うか。
恐竜くん)仲間と言うか、ズバリ恐竜の生き残りです。
黒木)恐竜って本当は、色は分かっていないのですか?
恐竜くん)はい。大昔に絶滅して、何せ生きている姿を誰も見ていないので。しかも色素は脆い物質なので残らないのです。従来から恐竜の色は分からないと言われていました。しかし、ここ10年位で急激に研究が進んで、実はこれも鳥と比べたおかげなのですが、いまのところ10種類くらいの恐竜の色が分かり始めています。
黒木)どうやって?
恐竜くん)さっき基本的には骨しか残らないと言いましたが、保存状態が良い化石、例えばきめの細かい火山灰に覆われて残ったような化石だと、羽毛のあとや毛のあとが残っています。羽毛自体がそもそも鳥にしかないと言われていたもので、意外と多くの恐竜の体がふさふさの羽毛で覆われていたのです。それが残っている化石のなかでも、とりわけ状態の良いものだと色素の跡が残っていることが分かったのです。それを精密な検査をして生きている鳥のものと比べてみたら、このパターンは赤、このパターンは黒だけど光沢がある、ということがかなり正確に分かるようになったのです。
黒木)そして10種類あっただろうということですか?
恐竜くん)そうですね。いままで鳥以外の昔に生きていた恐竜は大体1,000種類くらい見つかっていて、その内の10種類なので本当に僅かなのですが、色がほぼ確実に分かった恐竜が出ています。
黒木)ステゴサウルスなんて、この尾びれのようなものがとてもカラフルですね。
恐竜くん)それは僕の想像です(笑)。
黒木)えっ、想像ですか?
恐竜くん)はい。鳥が恐竜ということでつながるのですが、私たち哺乳類に比べると目が良くて、見た目とか視覚でのコミュニケーションを重視していた動物だと考えられるので、飾りは意外と派手だったのではないかなと。
黒木)でもこの色合いを見ると、こういう鮮やかな色合いの鳥っていますよね。
恐竜くん)実はこれ、オオハシと言うくちばしの大きな鳥の、くちばしの色そのままなのです。
恐竜くん / 恐竜専門サイエンス・コミュニケーター■1981年・東京都出身。
■6歳の頃に上野の国立科学博物館のエントランスで見た恐竜の骨格に一目ぼれ。恐竜に目覚め、16歳でカナダに単身留学。恐竜の研究が盛んなアルバータ大学で古生物学を中心にサイエンスを学ぶ。
■卒業後も国内外の研究機関や博物館と交流しながら、最新の研究成果を取り入れ、科学教育・普及活動に注力。
■現在は恐竜展の企画監修からトークショーや体験教室の開催、イラスト制作、造形物のデザインや学術アドバイス、執筆、翻訳、メディア出演などで活躍。
■恐竜を通して生き物や自然、科学や環境問題など、世界の様々な物事に目を向けてもらう「きっかけ」をつくることをテーマに活動を続けている。
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