もし、あなたのお兄さんが知的障害を持っていたら
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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、株式会社ヘラルボニー松田崇弥・松田文登が出演。知的障害を持つ兄について語った。
黒木)今週のゲストは株式会社ヘラルボニーの松田崇弥さんと松田文登さんです。
福祉関係の仕事をしようと思われたのも、お2人が自閉症でいらしたお兄さんを見て育ったことがきっかけだそうですが、お兄さんのことを最初はどんな感じで受け入れていらしたのですか?
崇弥)両親も福祉に対して積極的な人で、障害のある方々の団体に入っていたので、毎日のルーティンでいろいろな施設に行っていました。それは僕たちにとっては当たり前のことでした。ただ、中学校になるにつれて兄のその違いを馬鹿にする人たちも出て来ました。
黒木)目の当たりにすることが多くなった。
崇弥)そうですね。年を重ねるごとにそういう機会も多くなりました。僕のなかで兄を拒絶する瞬間もありました。
黒木)自分たちも大人になって行くなかで、人と違うことが受け入れられない、拒絶するという瞬間は誰にでもあると思うのですよね。それが自閉症というお兄さんの存在で、お2人にとっては極端だったのでしょうね。でも、そこから変わって行くわけでしょう。
文登)そうですね。
黒木)お2人共拒絶された瞬間があったのですね。瞬間と言うか、時代ですかね。
崇弥)そうですね。2人共、中学校のときは特に。ただ兄のことが嫌いということではなくて、兄を馬鹿にする周りから自分を守る為に、兄のことを拒絶していたのでしょうね。
黒木)自己防衛。
崇弥)自己防衛ですね。
黒木)そういう姿は、ご両親は間違いなく見ていらっしゃいますよね。かけられた言葉などで覚えていることはありますか?
文登)「恥ずかしいことではないよ」と言っていました。
崇弥)かなり言っていました。
文登)確かに恥ずかしいことではないとは、自分でも気がついてはいたのですが、「それは分かっているのだけれど」という苦しいところもありました。
そういうことをネガティブに思われている人たちもなかにはいると思いますが、その人たちに対して、知的障害を持つ人のアート作品を発信することによって、世間からの印象を変える1つの手段としてあるのではないかなと思います。
黒木)お兄さんを普通に受け入れることができるようになったのは、いくつ位の頃だったのですか?
崇弥)あるタイミングで急に変わったわけではない気がします。
黒木)それまでは鎧を着て拒絶していたものを脱ぎ去ることができて、いまのお2人の活動につながっているわけです。そういうことをするべきだと神様が決めたのでしょうね。
松田崇弥&松田文登 株式会社ヘラルボニー / ブランド「MUKU」代表■ともに1991年5月8日生まれ、岩手県出身。27歳。
■松田文登(兄)、東北学院大学共生社会経済学科卒業。MUKUでは、新規営業開拓・契約等を担当。
■松田崇弥(弟)、東北芸術工科大学 企画構想学科卒業。大学卒業後は、小山薫堂が社長を務める企画会社オレンジ・アンド・パートナーズに入社。退社後、「株式会社ヘラルボニー」を設立。MUKUの企画・プロデュース全般を担当。
■知的障害を持つアーティストたちの作品を製品化し、社会に提案するプロジェクト「MUKU」を立ち上げ、美術館やアートイベントなど数多くの企画に参加。知的障害を持つ方たちの創作活動の魅力、パワーを社会に発信している。
ENEOSプレゼンツ あさナビ
FM93AM1242 ニッポン放送 月-金 6:43-6:49
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毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳