脳科学の発達によって解明される“人間が悪事を働くとき”
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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、雑誌『ナショナル ジオグラフィック日本版』編集長の大塚茂夫が出演。脳科学が解き明かす善と悪、また、今後の『ナショナル ジオグラフィック』の在り方について語った。
黒木)今週のゲストは、雑誌『ナショナル ジオグラフィック日本版』の編集長、大塚茂夫さんです。人間はなぜ嘘をつくかとか、人はなぜ寝るかという特集もあるのですね。
大塚)特に最近、そういう特集が多くなっています。なぜ人間は依存症になってしまうのかとか。人間は良いこともすれば悪いこともしてしまうのはなぜか、というような特集がここ数年増えています。
黒木)「脳科学が解き明かす善と悪」という特集が、この号のタイトルですが。
大塚)2018年の2月号ですね。
黒木)なぜ良いことをして、なぜ悪いことをするのかは、どのあたりから解明して行くわけですか?
大塚)脳がどのように動いているかということが分かって来ています。技術の発達によってMRIやCTを使えば、脳のどの部分がいま活発に働いているのかが分かるようになったのですね。例えば凶悪犯の脳は、どのような動きをしているかなど、そういうことが解き明かされるようになった。では人間の善悪は、心では無く、もしかしたら脳に支配されているのではないかということが、脳科学の発達によってわかって来たのですね。
黒木)私たちの脳はとても柔軟にできているので、トレーニング次第では大人になっても優しさや寛容さを育てられるという希望まで書いてあります。
大塚)希望的な側面も伝えています。
黒木)最近はこういう「人とは何か」を考える特集が増えているのですか?
大塚)そうですね。どうしても地球上に、人が入ったことの無い場所がどんどん減っています。昔でしたら、そういうところに行って「ここはこんな風になっていましたよ」と伝えると驚きになった。でも、もしかしたら「いちばん謎なのは人間なのではないか」というところから、このような特集が増えているように思います。
黒木)これからはどういった特集で皆様の心をわしづかみにしようと思ってらっしゃいますか?
大塚)難しいですね。これから日本は変わろうとしているときなのではないかと思うのです。4月から外国人労働者たちを大量に受け入れ、高齢化がどんどん進んでいます。地方はどんどん疲弊して、都市に人がどんどん集まって来る。これまでの日本とは違う姿が、もしかしたら現れようとしているのではないかと思うのです。そういう視点を持って、特集や企画をお伝えできればと考えています。
黒木)元号も変わりますし、来年にはオリンピックも控えていますから、いろいろな方々が日本に訪れていらっしゃるわけですよね。
大塚)そうですね。日本が注目されていると思います。
黒木)大塚さんの夢は何ですか?
大塚)世界を知れば、もっと世界をよくできるのではないかと思っています。それはレジ袋をやめてエコバッグを使うというような、1人1人が気付き、行動をする。それだけでも変わると思います。この70億人以上いる地球上で、1人が1個やればすごく変わる。「こんなことができるではないか、こうすればもっと僕たちは住みやすくなるではないか」ということを考えるきっかけを、この雑誌を通じてできればいいなと思います。
大塚茂夫(おおつか・しげお)/『ナショナル ジオグラフィック日本版』編集長■1969年、静岡県伊東市生まれ。
■筑波大学で文化の多様さと奥深さを学ぶ。
■大学卒業後、NHKで報道番組ディレクター、アリタリア航空で貨物営業を経験。
■2004年から『ナショナル ジオグラフィック日本版』の編集に携わり、2011年1月、編集長に就任。
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