サヘル・ローズ「私が養護施設の子どもをサポートする理由」
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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、タレントで女優のサヘル・ローズが出演。自身が行っているボランティア活動について語った。
黒木)今週のゲストは女優・タレントのサヘル・ローズさんです。
サヘルさんはいろいろなボランティア活動をなさっていて、児童養護施設をサポートする活動や、日本に住む難民のサポート。それから講演会などもなさっています。その原動力は、ご自分のイランからいらした経験からですか?
サヘル)私自身が児童養護施設、孤児院という場所で育てていただいて、いまのお母さんが養母として私を引き取ってくれたのです。血のつながりはありませんが、私が大人になったときに「サヘルは何も無かったでしょう。そのなかで寂しかったよね。いまが幸せだよね、でもそこで絶対に満足はしないで。あなたと同じような子どもたちもたくさんいるのだから。そして日本に恩返しをして欲しい」と彼女が言ったのです。私たち親子がいちばん苦しいときに助けてくれたのは、日本の方々でした。多くの人々に助けられていまの生活があるので、「困っている人たちを助けて欲しい」ということがお母さんから託されたメッセージなのです。
私は子供たちに定期的に会いに行っています。最初は話をなかなかしてくれません。大きな傷を負っていて、大人を信じていない。社会にも見捨てられたと思っている。「何を話してもいいんだよ」と言っても、彼らはつい暴力的な反応をしてしまう。暴力的になりたくてしているのではなく、そうすることでしか反応できない。子供たちは言葉を失っているのです。
黒木)話せなくなってしまっているのですね。
サヘル)でも定期的に行くと、この人はちゃんと来てくれる、見てくれる、この人だったら話せるかもしれないと少しずつ信頼してくれるようになります。そして「お姉ちゃん、実は学校に行きたい、大学に行きたい、ネイリストになりたい」と話してくれます。1人1人が夢を持っているのだけれども、それを語れる親がいないのです。
施設には18歳までしか居ることができません。でも出ていった先で彼ら、彼女らは社会にどう適合したらいいかがわからない。そこで私は彼らをサポートしてくれる大人とつなげて、社会に出る為の橋渡しをする活動をしています。あとは定期的にバスを借りて横浜中華街や遊園地などに遠足に行っています。子供たちになるべくいい思い出を作ってあげたいのです。
このお正月にお年玉をあげたのですよ。12歳の子に「好きな物を買ってね」とあげたら、「これは貯めておく」と言ってポケットに入れたのです。でも帰り際に「やっぱりお土産を買っていい?」と言うので、「買いたいんじゃん」と言ったら、自分の為ではなくて遠足に来れなかった施設の友達に買ってあげたいのだと言うのですよ。子供なのに仲間のことを意識して、皆のことを考えているのですね。苦しい環境下にいる人ほど痛みがわかっているから、人に対して優しいのです。何かを与えに行っているはずなのですが、逆に私がいただいていますね。
黒木)サヘルさんのような気持ちがたくさん集まれば、大きなものになれると思いますね。
サヘル)支援には大きいも小さいもなくて、その人たちの存在を知ることだけでもいいのです。施設も、お金やプレゼントを持って行かなくてもいい。施設では定期的にお祭りをしているので、そういうときに参加して子供たちと遊んであげたり、抱きしめてあげることも1つのサポートです。
サヘル・ローズ/タレント・女優■1985年、イラン生まれ。
■8歳のときに養母と共に来日。当時通っていた小学校の校長に日本語を学ぶ。小学・中学時代には生活が困窮してホームレス生活を経験したり、いじめに遭うなど辛い思いをしたが、高校時代から芸能活動を始め、ラジオのリポーターとしてデビュー。
■以降、女優として映画やドラマで活躍するほか、タレントとしても数多くの番組に出演。
※イランでも放映されていた「おしん」が芸能活動を始めるきっかけに!
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