ウィキリークスはなぜロシアと関係を持ったのか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月12日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。イギリスの警察がウィキリークス創設者アサンジ容疑者を逮捕したニュースについて解説した。

内部告発サイト、ウィキリークスの創設者をイギリスの警察が逮捕

ロンドン警視庁は4月11日、ロンドンのエクアドル大使館に2012年から7年間に渡って籠城していた内部告発サイト、ウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジ容疑者(47)を逮捕しました。保釈中に裁判所に出廷しなかった疑いに加え、アメリカへの身柄引き渡し令状に基づいて身柄を拘束したということです。

飯田)これに関してメールも頂いております、“なりりん”さん40代、東京にお住まいの方。「籠城をしていて何があったのか不思議に思います。大使館のなかで逮捕できるの?」と素朴な疑問であります。

宮家)エクアドルはアサンジさんの亡命を認めて、なかで保護していたわけですが、亡命を撤回したのです。おそらくイギリスと話をした結果、撤回したのだと思われます。一般に大使館のなかで逮捕はできないので、もちろんエクアドルが認めればいいのですが、出て来たところを入り口でイギリスの官憲が待っていて、羽交い絞めにして連れて行ったということでしょう。それ自体、外交上の問題はないと思います。

飯田)7年経って、このタイミングでというのは?

宮家)潮時ということでしょう。エクアドルにとっても迷惑ですよ。そこで記者会見をやったりして、エクアドルの国益にとって良くないという判断もあったのでしょう。初めは何かの思惑があってやったのかもしれませんが、政権が変わったのか、そこまで調べていないですが、そういうことですよ。

ウィキリークスとロシアの関係

宮家)私が外務省を辞めた後、いろいろなことについて書く機会がありましたが、それはちょうどウィキリークスができたころで、ネタ探しにはとても重宝しました。「え? こんなことが」と思うような機密の文書が次から次と出ていて、よくネタとして使っていました。ところがそのうち調子に乗って来たのか、アサンジさんが頻繁にメディアに出るようになった辺りから少し変わったように思います。
今回逮捕された後、アサンジさんの弁護士が「これはジャーナリストの仕事だ」と言っていましたが、私は違うと思う。内部告発者がいて、自発的に持って来たものを出すのだったらジャーナリズムですが、途中から自分自身が政治的な動きに関与したり、いろいろな合法・非合法の手段を用い始めて、矩(のり)をこえてしまったのだと思います。そういう意味ではジャーナリストとしては失格だと思うし、当然の報いだと思います。

飯田)一部にはロシアとのつながりがあるということですが。

宮家)まさにそれを言っているわけです。いろいろな情報が簡単に出て来るわけがない。情報が多く来れば、それを整理して出すだけでも面白い仕事ですが、情報が入って来なくなったらどうします? そうすると禁断の果実を食べてしまうかもしれない。ロシアはハッキングが得意です。ロシアがアメリカの大統領選挙に介入しようとしたときに、直接出すわけにはいかないから、アサンジさんみたいな人を使って「知らん、出ちゃった」というように処理をしていたのではないかと考えられます。それではロシアの片棒を担いだということにもなりかねない。それはジャーナリスト失格だろうということです。

飯田)アメリカは身柄の引き渡しを求めていて、それに関してもイギリスの警察としては対応するのでしょうか?

宮家)そうですね、エクアドルが言うには、死刑や拷問のない国に渡すとイギリスが約束したと言うことですから。でもアメリカには死刑はありますけれどね。スウェーデンかもしれませんね。

 

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