安倍総理が東欧4ヵ国首脳に伝えたこと

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月26日放送)に外交評論家でキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。安倍総理の東欧4ヵ国の首脳と会談したニュースについて解説した。

安倍総理が東欧4ヵ国首脳に伝えたこと

スロバキア、チェコ、ポーランド、ハンガリーの東欧4カ国との首脳会合に臨む安倍晋三首相(左から2人目)(スロバキア・ブラチスラバ)=2019年4月25日 写真提供:時事通信

安倍総理が、東ヨーロッパ4ヵ国の首脳と会談

安倍総理)目下の国際社会の最重要課題は自由貿易体制の堅持です。このような重要な局面、G20が自由貿易の推進や、WTO改革に向けて、一致して力強いメッセージを国際社会に対して排出すべく、EUと連携していくことで一致致しました。

日本の総理として初めてスロバキアを訪問した安倍総理は、4月25日にスロバキアとチェコ、ポーランド、ハンガリーの東ヨーロッパ4ヵ国(V4)の首脳らと会談し、北朝鮮と外交関係がある4ヵ国に拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を求めた。また4ヵ国が参加を表明している中国のシルクロード経済圏構想、一帯一路について、総理は透明性や対象国の財政、健全性の確保など、日本の姿勢を説明したということである。

飯田)矢継ぎ早にいろいろなところを回っていますね。

安倍総理が東欧4ヵ国首脳に伝えたこと
安倍総理が東欧4ヵ国の首脳と会談

宮家)G20の前ですから。そして5月には即位の一連の行事がありますので、なかなかゴールデンウィークが使えなくて、いましかないわけですね。東欧の4ヵ国、いずれも立派ですが意外に目立たない国です。「なぜ行くのだ」というお考えがあるかもしれないのですけれども、僕は非常に重要だと思っています。
これらの国は、一昔前の冷戦時代はソ連のブロックに居た人たちです。それが、冷戦が終わってソ連が崩壊し、独立国となってどんどんNATOに入って行く。そういう意味でロシアに近いのだけれど、ロシアが警戒している国でもあります。ではアメリカと近いのかと言うと、必ずしもそうではない。あの地域で今何が起きているかと言うと、本来は自由民主主義をやっているはずなのですけれど、それは必ずしも自由ではない、民主的かもしれないけれど自由ではない。「非自由民主主義」と言うのですけれど、例えば外国人、移民の排斥、そういったいわゆるポピュリズム、ナショナリズムのリーダーが増えているのです。ポーランドとハンガリーは特にそうです。そして、驚くのは皆中国に優しいのですよ。日本とも関係は悪く無いのですけれども、中国のこととなると、南シナ海で埋め立てして滅茶苦茶なことをやっていても、一部の国は決してきついことを言わないのですよ。
そういう国に安倍総理が行って、きちんといま起きていることを説明する必要があります。EUは20何ヵ国かあるわけですけれど、何ヵ国かでも中国のことを理解して「これはおかしい」と言ってくれる国がいたら、対中コンセンサスができないのだから。EUを分断できるのです。それがこの地域で始まっていると僕は思っています。
日本はこれを中国に対抗するためにやっているわけではないけれども、国際政治とは何なのか、民主主義とは何なのかということを、これらの国々にこういう形で擦り込んで、中国のやっていることがあなた方には「いいように見えるかもしれないけれど、実はそうではない」ということを伝えなくてはいけない。

日中の綱引きという見方も

飯田)各国首相が並んでいるなかで、ハンガリーだけはオルバンさんという首相が一帯一路の方の会議で北京に行っていて、副首相が来ていた。綱の引っ張り合いのようになっていたという指摘も一部報道にありました。

宮家)今回、面白いことにほぼ同じ時期に一帯一路の首脳会議が開かれるでしょう。しかしポーランドは参加していないのではないですか。安倍さんが来るからかどうかは知らないけれど。日中の綱引きと言ったら少しジャーナリスティックすぎるかもしれないけれども、こういう形で国際的な情報戦と言うか、外交戦が引き続き行われている印象を受けました。

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