メルケル首相訪日~欧州の直面している問題を共に議論すべき
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月11日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。来月予定されているメルケル首相の訪日について解説した。
ドイツのメルケル首相が来月、3年ぶりの訪日で調整
ドイツのメルケル首相が来月2月4日から2日間の日程で訪日し、安倍総理大臣と会談する方向で調整していることがわかった。メルケル首相が日本を訪問するのは2016年のG7伊勢志摩サミット以来3年ぶりで、去年3月に4期目の政権を発足させてからは初めてとなる。
飯田)3年ぶりと言っても、3年前はG7があったので、そのついでに来日したようなものでした。
宮家)どちらかというと中国の方に熱心で、あまり日本に来ないので有名だった人です。彼女も12月で与党党首ではなくなりました。いつまで首相をやるのかは知りませんが、もっと早く来てよ、とは言いたいところです。しかしそうは言ってもヨーロッパのリーダーの1人ですから、東アジアに来て日中韓がどうなっているかを肌身で分かって貰わないと困ります。ヨーロッパの問題と東アジアの問題は直結しているわけで、イギリスが南シナ海にまた艦隊を出す話をしているくらいなのだから、メルケルさんも中国の化けの皮が?がれてきたことを分かってくれたら良いな、と思います。
飯田)メールも頂いております。“レモンの香り”さん、春日部市57歳主婦の方、「自由貿易の重要性をこの会談で確認するようですが、どうでしょう、それだけなんでしょうか。いまメルケルさんは首相ですが、党首ではない。安倍さんはメルケルさんとどこまで話をするのか気になります」と。実権があるかどうかですが。
宮家)実権は徐々に無くなって行くでしょう。しかし、彼女を含めてヨーロッパの人たちと意見交換をしておくというのは重要なことです。アジア、中東、欧州の問題は、先程申し上げた通り1つの問題になりつつありますから、彼らに我々と同じような問題意識を持って貰わないといけません。それから、ヨーロッパでいま何が起きているかを考えると、各国で非常に民族主義的、もしくは大衆迎合的なポピュリズム、ナショナリズムがあって、排外主義や破壊願望があるような状況です。我々はそのような欧州の状況もよくフォローしておかなければいけません。メルケルさんはその渦中にいるわけです。彼女も退陣せざるを得ないところまで追い詰められたところを見ると、自由貿易だけではなく、もっと長い目で欧州とアジアの関係を議論する意味は十分にあると思います。
欧州各国に広がる移民問題
飯田)退陣の1つの引き金になったのが、移民政策についてでした。日本は法改正で扉を開いたばかりです。
宮家)メルケルさんはやはりEUの理念、すなわち自由で開かれたヨーロッパという理想を掲げてきました。しかし、実際には大量の難民や移民が押し寄せてきて、それを受け入れたらどんな社会だって無理がありますよね。結局、理想と現実のギャップを思い知ったと思うのですが、これはドイツだけではなくてヨーロッパ中に広がっている問題です。
飯田)イギリスだってそれがきっかけですよね。
宮家)スウェーデンだってそうです。あんな小さな国に物凄い数の外国人が入って来ています。ヨーロッパとは意見交換を密にすべきだと思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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