老犬とウキウキしたい! 旅行で愛犬2頭と思い出作り
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【ペットと一緒に vol.146】by 臼井京音
筆者は先日、14歳目前と10歳のノーリッチ・テリア2頭を連れて伊豆旅行をして来ました。以前の記事で紹介したとおり愛犬のグリーフケアについて知ったことがきっかけで、愛犬との思い出作りがしたかったのと、シニアドッグの気分転換になるとも考えたからです。
今回は旅行をとおして感じた筆者の心の変化を伝えます。
伊豆へ約3時間のドライブ旅行へ
筆者はこれまで、北は北海道から南は沖縄の宮古島、そして郊外の温泉宿まで、愛犬と毎年のように旅行をして来ました。けれども愛犬リンリンが10歳を超えて、靱帯部分断裂や歯周病菌が原因の鼻炎などになってからは、何となく自信がなくて愛犬連れの旅行をしていませんでした。
ところが、2つのことがきっかけで愛犬との久々の旅行を決意しました。
1つは、1ヵ月ほど前に“グリーフケア セミナー”を聴講し、愛犬と筆者自身の生前からのグリーフケアが重要であると知ったこと。もう1つは、グリーフケアセミナーの数日後に13歳11ヵ月齢で血液検査をしたところ、ALPの数値が高く、獣医師から「少し気にされていたとおり、クッシング症候群が否定できませんね」と告げられたことです。
クッシング症候群かどうかは予約中の超音波検査の結果次第でまだ確定されていませんが、好奇心旺盛で旅行好きなリンリンのためにも、リンリンが元気なうちに生活に彩りをつけたいという気持ちが湧いて来ました。
偶然に舞い込んだ伊豆旅行の話
そんななか、PallyというWeb媒体の仕事で、犬と泊まれる温泉宿の取材が舞い込んで来ました。しかも、筆者の愛犬をモデルにしたいと言うのです。
そこで、耳もほとんど聞こえなくなってしまった老犬のリンリンがモデルとして成り立つかはともかく、10歳になったばかりのミィミィだけでなくリンリンも連れて伊豆に取材旅行へ。
人が大好きなリンリンは、カメラマンや宿の方々に「かわいい~!」と言われるたびに、耳を寝かせてしっぽを振り、大喜びの様子でした。散策路や庭園では、嗅いだことのないにおいをキャッチして、上を向いてシュッシュッと鼻息を立てたりもしていました。「日常とはやっぱりずいぶん違う環境だから、かなり楽しんでいるみたい。脳トレにもなっているはず」と、筆者もうれしい気分に。
1軒目のホテルの撮影をミィミィをモデルに終えると、取材先でもあり宿泊先でもある、伊豆長岡温泉の三養荘へ向かいました。三養荘には、愛犬同伴専用の離れがあります。坪庭は宿泊者専用のドッグランになっていて、到着した2頭は、さっそく楽しそうに走り回っていました。
それを見ていると、筆者も慌ただしい日常生活から解放されたような気分になりました。平日はかなりの確率で「締切ギリギリの時間だけど、日が出ているうちに犬たちの散歩に行かないと……。日光浴は大切だし」と、せかせかした義務感で近所をまわり、公園に行ってロングリードにしても時計を見てばかり。筆者が散歩中にゆったりした気分でいられなかったのが愛犬にも伝わって、愛犬も散歩を100%楽しめていない部分があったかもしれません。
仕事を終えて客室の畳にゴロンと寝ころぶと、2頭は筆者の顔や手をペロペロと舐めて来ました。「ねぇ、ママ。久しぶりの旅行、刺激的だよ」と愛犬たちが言っているかのように感じて、筆者も自然と笑顔に。
筆者の掛け布団の上で丸くなると、「スピースピー」と寝息を立てながらリンリンとミィミィは満足そうな寝顔も見せていました。
翌日は、抱っこで愛犬たちと一緒にロープウェイに乗り、“伊豆の国パノラマパーク”へ。富士山を眺めながら、愛犬とともに花が咲き乱れる天空の公園を散策。さわやかな空気をたっぷり吸いながら、愛犬たちも心地よさそうでした。
不思議だったのが、いつもの散歩では歩みの遅いリンリンが、心なしかふだんより軽快な足取りで上を向きながら歩いているように見えたこと。やはり、初めての場所に心が弾んでいたのだと思います。
リンリンと、あと何回旅行を楽しめるかはわかりません。それでも、無理をさせないようにスローペースで、自宅からごく近くのお出かけスポットでもいいので、もう少し出かけたいと思いました。
いまも、伊豆で撮影した、いきいきとした表情を見せる愛犬の写真を見てしあわせな心地に浸っています。このような心あたたまる思い出のワンシーンが、筆者自身のかげがえのない宝物にもなるのですから。
連載情報
ペットと一緒に
ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!
著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。