旅行も一緒! シマリスとの10年間~ペットロスを乗り越えて~

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【ペットと一緒に vol.142】by 臼井京音

旅行も一緒! シマリスとの10年間~ペットロスを乗り越えて~
シマリスと暮らし始め、想像以上のかわいさにすっかり虜になってしまった、なかしまなおみさん。一緒に旅行したり、愛犬と触れ合わせたり、たくさんの写真を撮ったり……。ドッグマッサージなどを行う仕事をするきっかけにもなったという、なおみさんとシマリスとの10年間のストーリーをお届けします。


シマリスを飼えるんだ!

現在は犬と飼い主さんの身体と心のケアを専門とする仕事をしている、ぱれっとのなかしまなおみさんですが、最初に暮らしたペットであるシマリスがきっかけで、いまの道に進んだそうです。

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日本では北海道に生息しているシマリス

なおみさんがシマリスに出会ったのは、1995年にたまたま訪れたデパートのペットショップ。「あれ? リスって飼えるんだ!」と、驚いたと言います。もともとリスが好きだったなおみさんは、さっそく1匹のメスのシマリスを迎えました。

「名前は、ティップにしました。ディズニーのキャラクターのチップとデールにちなんで。実は、チップのことをずっと勘違いしてティップだと思っていたんです(笑)。ティップでもかわいいから、まぁ、いいか……、と」。

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フサフサの長いしっぽがチャームポイントのティップちゃん


シマリスと一緒に旅行へ

ティップちゃんの大きな3段ケージには、まわし車やハウスなどを設置して、マンションの室内で飼い始めたと言います。
「当時はいまほどインターネットが普及していなかったので、リスの飼育本を購入して読みふけりましたね。それで、カボチャの種を洗って与えたり、かじって遊べる木棒をケージに入れたり、ティップのためによさそうなことをたくさんしました」(なおみさん)。

手の上にエサを用意すれば、ティップちゃんはなおみさんの手にちょこんと載って、小さな手で器用にエサをつかみながらモグモグと食事をしたりもしたとか。

「シマリスとの生活は想像以上に楽しかったです。なので、宿に電話でリス同伴が可能かを尋ねて、旅行にも連れて行きました。到着すると、確かにリス連れOKではあったのですが、飼い主の私たちとは違う部屋を案内されて驚いたこともあります」と語るなおみさんは、別室のティップちゃんが気になって、夜中に何度も起きて様子を見に行ったそうです。

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手の上での触れ合いタイム


犬とリスの不思議な関係

2002年、中島家は念願だったチワワのしえろちゃんを迎えました。
「果たして犬とリスが仲良くできるのかという点は、杞憂に終わりました。しえろは時々ティップのケージを覗き込みますが、ティップは逃げたり小屋に入り込んだりせず、堂々としていましたね」とのこと。それどころか、鼻先と鼻先を合わせたこともあるそうです。

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鼻と鼻をつけて「こんにちは」

「とは言っても、少し心配だったので、ティップのケージの掃除中はしえろをサークルに入れておきました。しえろは自由に室内を走り回るティップのことを、ずっと目で追っていましたね。ティップは、頬袋に蓄えていたエサを、テレビの後ろのスペースで出したりして自由を謳歌していたみたい。あ、でもティップは掃除が終わるといつも自分からケージに戻っていて、それはすごく不思議でしたね」と、なおみさんは当時を振り返ります。

中島さん夫婦が海外旅行に行く際、ティップちゃんとしえろちゃんを実家に預けたときのこと。しえろちゃんがケージのほうに何度も視線を投げながら、実家の両親に何かを訴えている様子だったと言います。

「おばあちゃんが、『何なの? しーちゃん』と言いながらティップのケージのそばまで行くと、伸び気味だった爪がケージに引っかかってティップが宙づりになっていたそうです。慌ててティップを救出できました。しえろはティップを家族の一員として、大切に思っていたのではないでしょうか」(なおみさん)。

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「旅行中はなぜか愛犬よりも、ティップに早く会いたくなりました」(なおみさん)


初めての動物病院

中島さん夫妻にかわいがられて7年が過ぎたある日、ティップちゃんがくしゃみをして鼻水を流していたと言います。
「シマリスの寿命は7~8年と考えられているそうです。なので、とても不安になって動物病院を探しました。犬友に相談してみたら、ホリスティックを取り入れているかかりつけの動物病院がリスを診てくれるということで、さっそく足を運びました」と、なおみさんは語ります。

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リスをていねいに診てもらえる病院探しは苦労したそうです

その動物病院ですすめられたホメオパシーを試したところ、ティップちゃんはすっかり元気になったとか。
「それまで、尾の毛が抜けてしまったり、老化現象なのか尿漏れがひどくて臭いも気になっていたんです。でも、ホリスティックケアを実践したら、すべて改善したんですよ」と、なおみさん。その経験がきっかけで、主に犬のためのTタッチやマッサージを勉強し、しえろちゃんに施すようになったそうです。


愛リスを失ってペットロスに

それから3年後、ティップちゃんにあまり動かない日が続いたと言います。
「夫も私も『そろそろあぶないかも……』と感じました。そこで、数日間はティップのケージの横に布団を敷いて、夜中も何度か起きて様子を見るようにしていたんです。ある日、ティップの顔がぼーっとしていて、体もほとんど動きません。そこで、手のひらにティップを載せて撫でていたんですが、そのまま静かに息を引き取りました」。

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ティップちゃんとの10年間の思い出が詰まったアルバム

なおみさんが動物病院に連絡すると、「きれいにしましょう。連れて来てください」と獣医師に言われ、連れて行ったそうです。
「火葬が終わったら、もう何もする気がおきなくて、食欲も失せて、1週間寝込んでしまいました。いなくなったことを受け入れられなかった」と、なおみさんは振り返ります。

少し気力が湧いてから、ティップちゃんのアルバムを作成したそうですが、それを少しでも開くと涙があふれて、10年間はアルバムを開くこともできなかったそうです。
「でもいまは、命日には花を飾り、アルバムを開いてティップとの楽しかった日々に思いを馳せられるようになりました」と、なおみさんは微笑みます。

連載情報

ペットと一緒に

ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!

著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。

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