F35Aの捜索打ち切りの発表~裏では継続もあるか
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月5日放送)に国際政治学者の高橋和夫が出演。岩屋防衛大臣が発表したF35Aの捜索打ち切りのニュースについて解説した。
岩屋防衛大臣が墜落したF35Aの捜索打ち切りを発表
航空自衛隊三沢基地所属の最新鋭ステルス戦闘機F35Aが4月9日に青森県沖に墜落した事故で、岩屋防衛大臣は6月4日、事故原因を究明するための捜索を打ち切ったと発表した。飛行を見合わせている同型の機体については安全が確認され次第、飛行を再開するとしている。
飯田)事故から2ヵ月がちょうど経ったところで、捜索が打ち切られた。まだフライトレコーダーが見つかっていませんが、打ち切られてしまいましたね。
高橋)そうですね。もう2ヵ月もやっているということで、海底のどこにあるのか分からない。回収できる可能性が極端に低いということでしょうね。回収できないということは事故の究明ができないので、安全性が確認できません。どうやって安全性を確認するのかという、納得のいかない面も残っています。F35Aという飛行機は今後、アメリカや同盟諸国の主要な飛行機になるため、それをいつまでも飛ばさないわけにはいかないという政治的判断があったということです。
捜索打ち切りと報道して、実は継続するということも
飯田)最新鋭ステルス機は機密の塊と言われるではないですか。飛ばす、飛ばさないは別で、探し続ければいいのにと思うのですが。
高橋)仮にロシアや中国が先に見つけたらという心配はあります。ですから打ち切ったと発表して、実はやっているのかもしれませんね。こういう事件は昔からありまして、かつてハワイに沈んだソ連の潜水艦をアメリカが回収して、ソ連の軍事機密を手に入れる事件もありました。深い海での捜査能力は日本やアメリカのほうが優れていますから、実は続けていて見つかるということもあるかもしれません。
中国からの海洋秩序を守るためにはインドとの協力関係が必要
飯田)岩屋防衛大臣ですが、アメリカのシャナハン国防長官代行が日本に来て会談を行いました。ここでは、自由で開かれたインド太平洋というキーワードが使われるようですね。
高橋)このキーワードが中国を外しているということで、日本、アメリカ、オーストラリア、インドの協力関係を強めて、海洋秩序を守って行こうというものですね。インドではモディ首相が再選されました。しかも議席数を増やしての再選ですから、これから何年もインドを指導して行くわけです。インドに対する働きかけは、日本やアメリカも何年もやって来ていました。これまでモディ首相は中国に対抗するために、アメリカと日本に協力する代わりに「あまり大声で言わないでくれ」と。むやみに刺激したくないし、「国には中国に親しい感情を持っている人もいるし」と言っていたのですが、地盤が固まったため、もう大声で言われても構わないですね。
飯田)選挙が終わるまでは、あまり大声で言わないでくれということだったのですね。アメリカ、日本、オーストラリア、インドのなかで中国と国境を接しているのはインドだけですよね。
高橋)そうですね。一部中国が占領しているというのがインドの認識ですし、中国の同盟国と言えるパキスタンともいろいろやっていますから。そういう意味で、インドの方が大声を出してくれるなと言っていたのですが、それも大丈夫になったということでしょうね。
シャングリラ会合~各国が中国批判をする会議
飯田)6月1日~3日に行われたシンガポールのシャングリラ会合(アジア安全保障会議)では、アメリカと中国のぶつかり合いは貿易だけでないことが分かりましたよね。
高橋)そうですね。あの会議は比較的中国の人がいることを意識して、各国が正直に中国批判をするというものです。中国側もそれを聞いて帰るという会議ですが、今回は耳が痛かったかもしれません。「分かっているよ、そんなこと」と。しかし、それに耐えられないような人が中国で外交をやっているわけではないので、別に気にすることはないですが。
飯田)台湾についても、武力で守ることも辞さないと言ってみたり。ある意味で織り込み済みというところがあるのですか?
高橋)予定調和をしようということではなく、本音で話し合おうという会議です。私の友人のシンガポールの偉い方も、中国に厳しい演説をしましたが、中国側の反論はどうだったか聞くと「我慢して聞いたよ」と言っていました。ここはそういう場所だと思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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