日産が指名委員会等設置会社へ移行しても意味がない
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月17日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。日産が指名委員会等設置会社へ移行の計画を発表したことについて解説した。
日産が指名委員会等設置会社への移行を計画
日産自動車はカルロス・ゴーン前会長の事件を受け、前会長に権限が集中していた企業統治体制を抜本的に改革する為、現在の監査役会設置会社から社外取締役の権限を強めて業務の執行と監督を明確に分ける、指名委員会等設置会社への移行を計画している。これは業務の執行と監督監査を明確に分離して意思決定の透明性を向上する為で、6月25日開催の定時株主総会で定款変更を議案として提出する。
飯田)指名委員会等設置会社というものが何なのかというところですが。
須田)この指名委員会が何を指名するのかと言うと、執行役を決めるということです。ガバナンス、企業投資の一環としてここ近年、日本の企業に導入が徐々に進んで来たところではあります。現状でどのくらいが導入しているのかと言うと、上場企業のうち指名・報酬委員会の両方ではなく、いずれかを設置する企業は4割くらいに留まっているのが実態で、それ以外は監査役会設置会社ということです。監査役の人たちがいるではないですか。
飯田)いますね。
須田)主として会計監査のイメージになるのですが、それ以外にも企業のトップが決定したことについてチェックするのが、監査役の仕事です。ただ監査役は盲腸みたいな役割で、社長やCEOから「君がやってくれないか」と選ばれる名誉職のようなところでもあります。
飯田)役員の上がりポストみたいな感じのね。
須田)3人位いるのですが、みんな9時に出て来てお茶を飲んで新聞を読んで、5時になったら帰るようなイメージで捉えられて来ました。それではワークしないし形式的なものでしかないから、きちんとガバナンスや透明性を高める為にも、こういう委員会を設置しようということです。勿論それはすべきなのです。
委員会の委員を決めるのは社長~監査役を決めるのと同じこと
須田)しかし今回の日産事件、ゴーン事件において最初のひと山は、金融商品取引法違反、具体的な中身としては有価証券報告書虚偽記載。報酬部分について虚偽の記載があったということが、1つの大きな事件のポイントになっています。では、その報酬はどういう決め方をしたのかと言うと、代表権のついている役員が集まって決定をして、後から監査役のチェックを受ける体制になっていたのですね。
先程申し上げたように、監査役は盲腸みたいなものだから、代表権のついた役員が決めたら後はスルーしてしまうのです。では代表権のついた役員は誰だったのかと言うと、ゴーン被告、ケリー被告、そして西川社長なわけです。この3人が賛意しているのですよ。そうすると、決定をもってして犯罪を問われているのに、なぜゴーン氏、ケリー氏だけなのか? 西川さんはどうなのか? というところをきちんと解明した上で移行するのだったらいいけれども。「どこに問題があるのか分からない、何となく問題がある、ゴーンさんが勝手に決めた」というような、ざっくりしたところで委員会に移行しても、それがきちんとワークするのか。委員会の委員を決めるのは社長だから、同じことになってしまうでしょう。
飯田)市民の方から刑事告発を受けて、それが却下された理由も「何だかわからないでサインしたから、君は無罪」というような。「それでいいの!?」ということになっていますよね。
須田)それについて、そんなことはないと今月(6月)発売の文藝春秋がケリー被告の告発インタビューを掲載していますが、それを読む限りは西川さんもずっぽり関わっていたではないかと。もちろん西川さん、あるいは日産サイドの反論があるにせよ、10日発売にも関わらずまだ何の反論もしていないのですけれどね。
飯田)起草段階から関わっていたではないかということを、ケリーさんは言っていますね。
須田)その辺が曖昧なまま委員会に移行したとしても、何の意味も無い。いまここで言っておきたいと思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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