前田敦子、シルクロードの美しい風景の先に見つけたもの
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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第639回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベりたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、6月14日に公開された『旅のおわり世界のはじまり』を掘り起こします。
黒沢清監督最新作! オリジナル脚本で挑む日本・ウズベキスタン合作映画
巨大な湖に棲む“幻の怪魚”を探すため、番組クルーと共にウズベキスタンを訪れた、テレビ番組レポーターの葉子。しかし、彼女の夢は、歌を歌うこと。その情熱は心の奥底にひた隠しにし、ただただ目の前の仕事をこなしていた。番組収録を始めた葉子たちだが、異国でのロケは思うように進まず、番組クルーからは次第に苛立ちが。そんなある日、撮影終わりにひとり街に出かけた葉子は、聞こえて来た微かな歌声に誘われ、美しい装飾の施された劇場に迷い込む…。
国内外で圧倒的評価と人気を誇る映画監督・黒沢清監督が手がけた、日本とウズベキスタンの合作映画『旅のおわり世界のはじまり』。ウズベキスタンにまるまる1ヵ月滞在し、広い国土を存分に使って撮影されたという本作。異文化に触れ、そこで暮らす人々と交流を深めて行く主人公が、新しい世界を開き成長して行く姿を描いた、目覚めの物語です。
主演を務めるのは、『散歩する侵略者』『Seventh Code』でも黒沢清監督とタッグを組んだ前田敦子。異国で感じる不安や開放感を繊細に表現し、その際立った存在感と輝きには惹きつけられてしまいます。
特にクライマックスで、標高2443メートルの山頂で「愛の讃歌」を歌うシーンは、実にドラマティック。その力強さ、そして内側から溢れ出るエネルギーは、観る者の心を捉えて離さないことでしょう。
雄大なシルクロードの風景、街中の喧騒、熱気に満ちたバザールに、歴史を物語るエキゾチックな建造物。夢と現実が交差する旅の果てで、彼女が出会ったものとは。
心が“迷子”になってしまった…。そんな経験がある人の背中をそっと押してくれる映画です。異郷を旅する感覚を味わいながら、“新しい自分”に出会ってみて。
旅のおわり世界のはじまり
2019年6月14日(金)から全国ロードショー
監督・脚本:黒沢清
出演:前田敦子、染谷将太、柄本時生、アディズ・ラジャボフ、加瀬亮
©2019「旅のおわり世界のはじまり」製作委員会/UZBEKKINO
公式サイト https://tabisekamovie.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/