森永卓郎が解説~トランプのファーウェイ制裁、日本の選ぶべき道は?

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「垣花正 あなたとハッピー!」(6月19日放送)に経済アナリストの森永卓郎が出演。アメリカがファーウェイを制裁するのはなぜか。そして日本が選ぶべき道は何かについて持論を展開した。

森永卓郎が解説~トランプのファーウェイ制裁、日本の選ぶべき道は?

ファーウェイのショップ=2018年12月9日、中国・深圳(共同) 写真提供:共同通信社

アメリカ企業がファーウェイと取引することを禁止

中国の大手通信機器ファーウェイが6月17日、アメリカの制裁の影響で、今後2年間の売上高が3兆3000億円減るという見通しを明らかにしました。特に、主力のスマートフォンの世界販売が今年(2019年)2割減。とりわけ海外での販売が4割減と大きく落ち込んでいます。5月15日にトランプ大統領が、アメリカの安全保障の脅威となる企業の通信技術を、アメリカ企業が利用することを禁止する大統領令を出した。また、アメリカの商務省はこの大統領令とは別に、対イランの経済制裁に違反したとして、アメリカ企業がファーウェイと取引することを事実上禁止する措置をしています。

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禁止措置にはソフトウェアも含まれる

アメリカ企業はファーウェイにスマホの部品を供給してはいけないだけでなく、この措置にはソフトウェアも含まれます。例えば、いまスマホのなかにGoogle PlayやGmailがあらかじめ入っていますが、それが利用できなくなる。これから新発売されるものは搭載できなくなる可能性が高いのです。

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中国企業ファーウェイの看板が掲示され、内装の準備が進むCES会場=2019年1月7日、米ラスベガス 写真提供:産経新聞社

アメリカがファーウェイを制裁する根拠のない理由

アメリカがファーウェイを事実上制裁するのは、ファーウェイはスマホだけでなく通信設備も作っています。その通信設備にはスパイウェアが組み込まれていて、情報を盗んでいると言うのです。バックドアという情報の勝手口のようなものが付いていて、そこから通信内容がダダ漏れして中国政府に渡ってしまうというものがアメリカの主張です。
しかし、ファーウェイのスマホや設備からスパイウェアが見つかったことは1度もありません。ファーウェイも中国政府も全面否定しているのですが、情報が中国政府に流れたという事実も確認されていません。何も証拠がないのに「お前は犯人だ」と言っています。これは限りなく、難癖に近いような話です。

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第5世代通信を中国に譲れないアメリカ

ファーウェイは新しい企業で、1987年に中国の深圳に設立されました。はじめは通信設備を製造する事業をやっていて、その後に端末にも進出し、端末では韓国のサムスンに次いで世界第2位です。トップに来るのではないかという勢いで伸びてきました。いまスマホが高く、10万円を超えるものが出ているなかで、ファーウェイはリーズナブルで性能もよく評価が高いのです。なぜ新しい企業が急速に技術力を上げて来たかと言うと、研究開発がすごいからです。毎年、売上高の1割以上を研究開発費にあてています。ファーウェイの研究施設は、イメージで言うとハウステンボス。広大な面積のなかにレトロ調、ヨーロッパ風の建物が並んでいます。そこに世界中から優秀な技術者が集まっている。その研究開発の結果、第5世代通信の技術でファーウェイは既に世界トップです。
第5世代通信は、現在の第4世代通信と比べると通信速度が100倍速い。自動運転で人が飛び出して来て急ブレーキをかける際、第4世代だと急ブレーキをかけてから何メートルも進んでしまいますが、第5世代ならばその前で止めることができます。第5世代通信を制する者は、これからの世界を制します。そこにトランプ大統領が怒ったわけです。

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東証1部に上場し、セレモニーで記念撮影に臨むソフトバンクの宮内謙社長(中央左)ら同社関係者ら=2018年12月19日午前、東京都中央区の東京証券取引所 写真提供:産経新聞社

日本はどう動くのか

今回の大統領令はソフトウェアも含め、あくまでも米国製品の提供禁止です。日本はどう行動しているかと言うと、ソフトバンクはファーウェイ製の通信設備を使っていたのですが、これを置き換えて行くとしています。北欧製のものに順次変えて行って、ファーウェイを排除しますと。ルール違反ではないのですが、アメリカの顔色を伺って排除しなければということで置き換えています。そして日本の携帯電話各社は、ファーウェイの新しい製品の販売を当面見送るようです。
一方、ヨーロッパはファーウェイ排除を決めた国はまだありません。特にドイツはファーウェイ製品を使い続けると宣言しています。私はアメリカの企業でも中国の企業でも、いいものを消費者が選ぶのが自由主義経済だと思います。それを、圧力をかけて先頭に出たら叩くのは、いかがなものかと思います。

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中国広東省深圳市にある華為技術(ファーウェイ)本社キャンパス(ゲッティ=共同)=2018年12月7日 写真提供:共同通信社

日本の電機メーカーがファーウェイに昨年売った部品の総額は7300億円

もう1つの問題は、日本の電機メーカーがファーウェイに昨年(2018年)売った部品の総額は、7300億円なのです。日本の製品がファーウェイのスマホに入っています。これを叩くと、日本の電機メーカーが共倒れになってしまうのです。
私はアメリカの企業も日本の企業も、ファーウェイに負けないくらい研究開発費に費用を投じて、ハウステンボスのような立派な研究施設を作って、研究者を呼んで競争すればいいのだと思います。

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ふつーの男・沖縄県宮古島出身の垣花正がお届けする、ニッポン放送が自信と不安をもってお送りする朝のワイド番組!レギュラー・ゲストとのコンビネーションもバッチリ!今の話題をハッピーにお届けしていきます!

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