「垣花正 あなたとハッピー!」(7月10日放送)に経済アナリストの森永卓郎が出演。年金2000万円問題について、本当は6000万円必要であるという驚愕の事実を指摘した。
年金2000万円問題
年金2000万円問題とは、6月3日に金融庁が高齢社会における資産形成・管理という報告書を出しました。それは「65歳の時点で、それ以降年金だけで暮らすには2000万円必要ですよ」というものです。この報告書は、麻生大臣が不適切だから受け取らないとして問題になりました。参議院選の最大の争点になっていますが、推計はシンプルです。いまの統計で見ると、無職の高齢2人暮らし世帯の支出は26万5000円、収入が21万円なので差引毎月5万5000円の赤字が出ます。
95歳で死ぬとは限らない
金融庁が出した2000万円という額は、毎月5万5000円の赤字を65歳から95歳まで30年間積み上げれば2000万円だという単純な掛け算です。ただ、この試算は過少推計です。なぜかと言うと、1つは95歳で死ぬとは限らないことです。女性だと100歳まで生き残る可能性は20%、105歳まで生き残る可能性が5%弱あります。30年間ではなく、40年間用の準備をしなければいけないというものが1つです。
年金は減って行く~不足額はなんと5780万円
もう1つは、21万円の年金収入が続くと想定していることです。いま年金は賦課方式といって、現役世代が払った保険をその年の高齢者が山分けする仕組みです。今後はどんどん支え手が減って行きます。現時点では、2.1人で1人の高齢者を支えていますが、いまの大学生が高齢層に入る2065年には、1.3人で1人を支えなければいけません。そうすると分け前が減るわけですから、年金は落ちて行きます。共産党が質問主意書を出して、「いまマクロ経済スライドをやっていますが、これによって国民年金がどれだけ減りますか」と聞いたら、政府の回答は3割減ると。政府が国会でいま答えているものでも3割減ります。しかし、私の計算や5年前の財政検証だと4割減ります。つまり、年金は減るから赤字は増えます。私が計算した結果によると、105歳まで生き残る可能性があるため40年分用意しなければいけません。年金が減って行くことも考えると、不足額は5780万円。これは無理です。サラリーマンの生涯年収は2億しかありません。2億から6000万円を貯められるはずがありません。
ではどうすればいいのか
では、どうすればいいかと言うと、生活の基本は収入の範囲内で暮らすということです。公的年金が削減されて行くと最終的に、いま23万円の厚生年金の給付が13万円まで落ちます。夫婦で13万円です。東京都心部に住んで13万円は不可能です。物価も家賃も高いですから。
「都会田舎」に住む
「都会田舎」に移住するということです。「都会田舎」とは圏央道沿いくらいのところ、海老名、八王子、入間、川島、久喜、茂原などです。そこはいちばん物価が安いです。うちもその近くです。私は平日は東京で過ごして週末は帰っていますが、実感で言うと3割くらい物価が違います。家賃はバス便のところであれば、東京の10分の1です。年金生活に入った人は、ほとんど所得税や住民税を払わなくてすみます。国民健康保険だけは6000円くらい払わなければいけないのですが、あとはかかりません。医療費がかかると思われますが、高齢者になると高額療養費制度で負担が抑えられるので、大病でも数万円で済みます。「都会田舎」に住めば、夫婦で13万円で生活ができるのです。
生活費を13万円に抑えて楽しく暮らす
生活費が13万円に収まっていれば、あとは貯蓄や好きな仕事でバイト代を稼ぐなどして暮らせればいいのです。国は成長戦略の実行計画のなかで、70歳まで働くということを基本にしようと打ち出していますが、男性は72歳が健康寿命です。70歳まで働くと、健康寿命まで2年しかありません。私は65歳から13万円での生活スタイルを確立しながら、不安なく楽しみながら生活することを提案します。金にならなくていいのであれば、楽しい仕事はたくさんあります。例えば、児童施設や高齢者施設を回って手品や紙芝居をするとか。いつも私が言っているようにアーティストになるとか。65歳からは自分の趣味をメインにして、楽しんで生きましょう。
垣花正 あなたとハッピー!
FM93AM1242 ニッポン放送 月-金 8:00-11:30
番組情報
ふつーの男・沖縄県宮古島出身の垣花正がお届けする、ニッポン放送が自信と不安をもってお送りする朝のワイド番組!レギュラー・ゲストとのコンビネーションもバッチリ!今の話題をハッピーにお届けしていきます!