ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月12日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。ロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が電話会談をしたニュースについて解説した。
ロシアとウクライナが初の電話会談
ロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が初めて電話会談をしたと、タス通信が報じた。これはロシアのペスコフ大統領報道官が11日明らかにしたもので、ペスコフ氏によるとウクライナ東部の紛争解決に向けた方策などについて意見を交わしたということだ。
新行)電話会談はウクライナ側の呼びかけで行われたということで、ウクライナのゼレンスキー大統領は5月に就任したばかりです。
ウクライナという「もっと不幸な民族」の不幸な歴史
宮家)この話は難しいですよね。簡単に言いますと、世の中に民族は100も200もあるわけだけれど、ある側面では2種類しか民族はないのです。1つは不幸な民族、もう1つはもっと不幸な民族。世の中には本当に不幸な民族がいるのです。例えばポーランドがそうでしょう、昔のソ連とドイツに挟まれていた。隣人が悪いとやはり不幸になるのですよ。ところが、今度はソ連が崩壊して、ウクライナというものができた。そうすると、ポーランドは直接ロシアと国境を接しなくてよくなった。つまり、今度はウクライナがこの地域でいちばん不幸になるわけです。NATOに入っているポーランドが西にいて、昔は1つの国だったかもしれないけれど、今は東にロシアがいる。ウクライナという国は豊かだし農業も盛んで、必ずしも工業は強くないのだけれど、それでも空母も作れるいい国なのですが、それがNATOとロシアに挟まれてしまった。ウクライナはロシアが復活しても仲よくできるかと思って独立したけれど、ロシアはウクライナの東側をいつの間にか占領し、クリミアまで取ってしまった。ウクライナもこれではやっていられないということで反発をしたけれど、反発すればするほどロシアはガチンコで来る。西側が助けてくれるかといったら、そんなに助けてくれない。西側もロシアの隣国に変にちょっかいを出そうものなら、何がおこるかわからないから。そうすると、そのウクライナにいる大統領は、誰がやるにせよ、このような東西のバランスをうまく維持するのが大変なのですよ。前任者も頑張ったのですが、イケイケドンドンでロシアと喧嘩をやればいいというわけではなかった。
東ヨーロッパの将来を決める位置にいるウクライナ
宮家)新しいゼレンスキー大統領は、いままでとは少し違うやり方をせざるを得ないと思っているはずです。だから、西側に対しては「クリミア併合派けしからん、ロシアけしからん」と言っているのですけれど、そうは言ってもプーチンさんと話をつけない限りウクライナという国は安定しない。やはりロシアは最後の最後までちょっかいを出すのですよ。ちょっかいを出されたらウクライナだって不安定になり、国が発展しません。ここは思案のしどころで、ウクライナの新大統領はどのように舵を取って行くか考えざるを得ない。そこでプーチンさんと電話会談をすることにした。この会談の結果はなかなか外には出て来ないと思いますけれども、仮に出て来たとしたら、ウクライナがどちらの方向に向こうとしているのか、前政権と微妙な違いがあるのかどうかなどが気になります。……最終的にはヨーロッパの、特に東ヨーロッパの将来を決める重要な位置に、ウクライナはいるのですから。
新行)ゼレンスキー大統領とプーチン大統領が、電話会談をしたということは大きいですか?
宮家)大きいと思います。ただ、中身が大事ですね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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