ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月5日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。NATOの外相理事会が、ロシアに対する軍事プレゼンス強化で合意したニュースについて解説した。
NATO北大西洋条約機構の外相理事会、ロシアへの警戒強化
NATO北大西洋条約機構は創設70周年にあたる4月4日、ワシントンで外相理事会を開催した。去年(2018年)11月に起きたロシアによるウクライナ艦船3隻を拿捕した事件を受け、緊迫する黒海周辺での軍事プレゼンス強化で合意した。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は記者会見し、ウクライナ周辺でのロシアの軍備増強に懸念を示した上で、この重要な地域への関心とプレゼンスを維持すると強調している。
飯田)事務総長は議会でも演説をしておりましたが。
宮家)ロシアでは、ソ連が崩壊して、初めは民主主義をやっておとなしくしていたのですがね。結局、「ヨーロッパ・アメリカの大企業に収奪されてしまった、母なる祖国はどうなったのだ」と言う人たちが、いまのプーチンさんを支えているのだと思います。ロシアによるウクライナ南部のクリミア半島併合の事件が起こったのが2014年。あれで対ロシアへの経済制裁が始まったのです。
バルト海3国がある。地図をよく見てください、バルト海は実は細長い、ベルトのバルトなのです。間にフィンランドがありますが、スウェーデンとロシアはすごく近いのです。それでバルト海のスウェーデン側に大きな島がある。その島は冷戦が終わったらスウェーデン軍が駐留を止めてしまったのですが、この間たまたま行ったら、そこに再び警備隊を置くと報じていました。スウェーデンはイメージは穏やかだけれど、武器も作る軍事国家です。あのスウェーデンですら警戒しているのですよ。考えてみたらバルト海3国だって必死です、陸続きですから。
ヨーロッパ全体がロシアに対して警戒している
飯田)国境は接しています。
宮家)いちばん北にあるエストニアにも行きましたが、ロシアとの国境に大きな湖があるのだけれど、その分国境線が長いわけです。それで「陸軍は何人いるのですか」と聞いたら、3,000人だと。3,000人では守れないのではと言ったら、別の方法で守るのだと答えていました。それがサイバー戦なのだと思います。ポーランドだってミサイル防衛等々でロシアに対する懸念を示している。ヨーロッパ全体がロシアに対して警戒している。ウクライナだけの話ではありません。ウクライナがたまたま症状として出て来ているけれど、明日は我が身という国がいくつもあるということだと思いますよ。
飯田)バルト3国は、地図で言うと北からエストニア・ラトビア・リトアニアとあって、その下にロシアの飛び地。
宮家)カリーニングラードと言いますね。
飯田)飛び地ですよね。
宮家)バルト海に接する港湾都市で、ポーランドとリトアニアに挟まれたロシアの飛び地です。その国境というか検問所まで行きました。「ここから先はロシアですよ」と、とてもいい所にあるわけです。あれはドイツがポーランドから取ったのです。それをドイツからロシアがまた取った。「ポーランドに返せ」と言いたいところだけれど、ロシアは返さない。
飯田)バルト海への出口だし。
宮家)そこをロシアが守っているということは、危なくてしょうがないということですよね。バルト海3国にとっても、スカンジナビアにとっても、ポーランドにとっても。黒海のクリミアだけではなく、ロシアはヨーロッパ全体に対して攻勢をかけている。そして最近特にそうですけれどサイバー攻撃をかける、情報戦をやる、選挙に介入する。アメリカにだって介入しているのだから、ヨーロッパでは確実にやっているわけです。そこに駐在していた人がプーチンさんだったのですから。
飯田)これは他山の石としてよく見ておかなければいけないですね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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