はやぶさ2が世界初の快挙~惑星内部の石採取から何が分かるのか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月12日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。はやぶさ2が小惑星リュウグウから内部の石の採取に成功したニュースについて、ニッポン放送報道部の畑中秀哉デスクとともに解説した。

はやぶさ2が世界初の快挙~惑星内部の石採取から何が分かるのか

小惑星探査機「はやぶさ2」の小惑星リュウグウへの第2回目の着地について会見が行われた。成功を記念して写真撮影に臨む「はやぶさ2」プロジェクトチームのメンバー。左から5人目が津田雄一プロジェクトマネージャ=2019年7月11日午後、相模原市のJAXA相模原キャンパス 写真提供:産経新聞社

はやぶさ2が2回目の着陸成功~世界初の快挙も達成

2度目の着陸に挑戦していた探査機はやぶさ2について、JAXA宇宙航空研究開発機構は小惑星「リュウグウ」への着陸に成功し、内部の石を採取するという世界初のミッションを達成したと発表した。

新行)詳しい情報を、長く取材を続けているニッポン放送報道部の畑中秀哉デスクからお願いします。

畑中)神奈川県にあるJAXAの相模原キャンパス、このプレスルームで取材を続けておりましたけれども、日本時間の午前10時20分ごろ、探査機着陸を示すドップラーデータの信号が確認されて、管制室から大きな拍手がわきました。採取したとされる内部の石ですけれども、4月に人工のクレーターを作ってそこから舞い上がった石を取りましたが、それで内部の石が採取できるのではないかとなったわけです。しかし、小惑星リュウグウはとにかく表面が岩だらけで、着陸できるのかということがありました。また、1回目の着陸で光学機器に砂ぼこりがついてカメラのレンズが曇り、着陸するのに誤差が出るのではないかという懸念もあり、1回着陸したからもう無理をしなくていいのではないかと、こんな声もなかから聞こえて来たのですが、そこは厳しい状況を想定しながら1つ1つネガティブな可能性をつぶして行きました。例えば探査機が下りるとき、速度や傾き、エンジンをどう吹かすかなど、いろいろなシミュレーションがあるのですが、ざっと10万通りくらい試したと言うのですね。以下は着陸の成功を受けて記者会見をした、計画責任者の津田雄一プロジェクトマネージャです。

 

津田)私たちは太陽系の歴史を手に入れることができました。太陽系の歴史のかけらを手に入れることができたと。

記者)点数をつけると?

津田)100点満点で言うと、1000点ですかね。本当に今回は言うことなし、パーフェクトでした。はやぶさ2は僕らにとっては本当に仲間の一員のような思いですので、よくやってくれたと言いたいと思います。

 

畑中)これで探査機としての主な任務は終了ということで、今後は地球への帰還に向けた準備作業に入ります。地球への帰還は来年(2020年)末の予定ですけれど、世界初の小惑星の地下の物質を採取した可能性が非常に高いと言われており、カプセルを開けてのお楽しみということになります。ちなみに地球に帰還するのはカプセルで、探査機自体はカプセルを地球に送り届けてから、また宇宙空間に向かう計画となっています。どこに行くかはまだ決まっていませんが、探査機はその後もいわば第2の人生を歩むということになるわけです。

宮家)なるほど、今度は燃え尽きないのですね。

畑中)そうですね。初号機は燃え尽きましたけれど。

宮家)昨日(11日)の記者会見を僕も聞いていたけれども、いちばんすごいと思ったのは、先ほどおっしゃった10万回のシミュレーションを、ありとあらゆる悪い事態を想定して、すべてについて1個1個つぶして行ったわけでしょう。これはただ単に宇宙開発だけではなくて、人生でも安全保障でも言えることです。要するに、物事はうまく行かないのだと。上手く行かないのだったら失敗する可能性が常にあって、それは何十万通りもあるのですけれど、それを1個1個つぶして行くことで、こうして成功につながるということですよね。ぶっつけ本番ではだめなのです。そして、第1回目の教訓がきちんと生きていたということでもあるのだと思います。

はやぶさ2が世界初の快挙~惑星内部の石採取から何が分かるのか

小惑星探査機「はやぶさ2」の第2回目着地の成功が確認され、ピースサインで喜びを表現する管制室の様子を流すモニター=2019年7月11日午前、相模原市のJAXA相模原キャンパス 写真提供:産経新聞社

採取した石から惑星ができた起源が分かる

新行)ちなみに内部の石を採取したということでしたけれども、内部の石を取ることでどんなことが分かるのでしょうか?

畑中)いろいろな惑星がありますけれど、その惑星がどのようにできたかという起源などが分かる手掛かりになると言われています。地球をはじめとする惑星は天体と天体がくっついてできたと言われているのですが、できる前にドロドロに溶けた状態で固まる。だからその前の状態は分からないのですね。ところが、小惑星や彗星のような小さなものであれば、その大元の状態が残っているのではないかと。

宮家)40億年前ですね。

畑中)ええ。

宮家)驚いたのは、クレーターを掘ってそこから採取したのでしょう。それが新鮮でフレッシュだと言うでしょう。40億年前のものがなぜフレッシュか、という感じでしたけれど、放射線を受けていない生の新鮮な地質、風化していないフレッシュな物質がまだ残っているという意味で、40億年前でもフレッシュなのかと素直に喜びました。

新行)石が届いて、研究次第でそれがどんどん分かって来るということですよね。

畑中)そうですね。なかなかすぐに全部が分かるということはないでしょうけれど、この惑星は新型小惑星と言われていて、水や有機物が含まれているのではないかと言われているのです。水と有機物は生物には欠かせないものですから、生物がどのようにしてできたのか、そういうものを研究する手掛かりにもなるのですね。

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