はやぶさ2着陸成功の影で…あなたにとって時間とは?

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「報道部畑中デスクの独り言」(第115回)ではニッポン放送報道部畑中デスクが、探査機「はやぶさ2」降下開始が5時間遅れた背景を、国会問題も交えて解説する。

はやぶさ2降下開始前確認の管制室 多くの画面でデータをチェックする (ISAS・JAXA提供)

前回は探査機「はやぶさ2」の小惑星「リュウグウ」着陸成功の話題でした。着陸に先立つ降下開始は前日2月21日の朝を予定していましたが、位置情報のずれが見つかり、5時間あまり遅れたこともお伝えしました。

JAXA=宇宙航空研究開発機構によると、何でも着陸のために探査機に教え込むコマンド=指令は3,000近くあるそうです。「ごく一部に、レアなケースで齟齬をきたす」(津田雄一プロジェクトマネージャ 以下津田プロマネ)…わずかのリスクも見逃しませんでした。しかし、状況を把握して設定を見直す…夕方までに修正しないと着陸は延期になります。担当者は「突貫の作業」と話していました。

「ようやくスタートラインです」(津田プロマネ)…降下を決断したものの、5時間の遅れを取り戻すために、当初秒速4㎝程度としていた降下速度は秒速9㎝と倍以上に早められました。しかし、この“高速化”は決して「一か八か」ではなく、2年前に秒速1mでの訓練をしていたことは根拠にあります。さらに他の修正についても、すべて以前に訓練済みで想定内とのこと。

着陸成功を喜ぶJAXA津田プロマネ(モニター画面から)

「いろいろなケーススタディをして、最適なものを選んで組み直して実行できたことが成功につながった」と津田プロマネは話します。まさに、これまでの経験を基に、プロジェクトメンバーの英知を結集した5時間だったと言えるでしょう。記者会見で津田プロマネは「誰もやったことのないことをやる。楽しくてしょうがない」と探査の醍醐味を語っていました。

一方、着陸前日のこの日、奇しくも同じ「5時間遅れ」の出来事がありました。それは国会です。衆議院予算委員会が当初の予定よりおよそ5時間遅れたのです。その理由は桜田オリンピック担当大臣が審議に数分遅刻したためでした。

もちろん、遅刻そのものは言語道断、人の時間を盗むことですから「時間ドロボウ」という人もいますし、遅刻癖は「病気のようなものでなかなか治らない」と指摘する人もいます。私は以前、ある政治家に取材するのに、約束の時間から3時間待たされた経験があります。

衆院予算委員会で昨日の委員会遅刻に関し再度謝罪する桜田義孝五輪担当相=2019年2月22日午前、国会・衆院第1委員室 写真提供:産経新聞社

ただ、それにしても数分の遅刻で貴重な国会の審議時間が5時間も遅れるというのは…うーん、どうでしょうか? しかも審議再開後、桜田大臣の陳謝に対して、野党からは「笑っていた」と指摘し、辞任を要求。大臣は「笑っていない」と反論するという…もはや小学校の学級会なみ…と言ってはむしろ小学生に失礼かもしれませんね。ほとんど「廊下に立ってなさい」の世界です。

野党ももったいないなと思います。「イヤミ」や「褒め殺し」でもいいから一言で済ませて、淡々と審議を進める…こうした「大人の対応」の方が、支持が上がるのではないかと思うのですが。あるいはこうでもしないと存在がアピールできないと思っているのでしょうか。

はやぶさ2の着陸成功と国会審議、同じ5時間でも、人には様々な過ごし方があるものですね。往年のクイズ番組の口上を思い出しました。1分間に矢継ぎ早に出される12の問題を答えて行くあの番組…。

「現代は時間との戦いです! Time is Money、1分間で100万円のチャンスです。果たして超人的なあなたはこの1分間をどのようにして活かすか、クイズ・タイムショック」

さあ、あなたは“貴重な5時間”をどのようにして活かしますか?(了)

管制室には約70人の関係者でごった返した(モニター画面から)

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