ホルムズ海峡~アメリカとイランに挟まれた日本の難しい立ち位置
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月7日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。ホルムズ海峡を取り巻く現状について解説した。
日米防衛相会談
岩屋防衛大臣は7日、アメリカのエスパー国防長官と防衛省で会談する。エスパー氏が国防長官就任後、日米の防衛トップが会談を行うのは初めて。中東・ホルムズ海峡の安全確保に向けた有志連合構想や、北朝鮮の非核化に向けた連携について協議すると見られている。
飯田)ミサイルに関しては、朝鮮中央通信が7日、金正恩朝鮮労働党委員長が6日に「新型戦術誘導弾」の発射を視察し、米韓合同軍事演習に対して「警告を送る機会となるだろう」と述べたと伝えたというような話も出ています。
佐々木)そこら中で火種だらけですね。ホルムズ海峡の話は、6日に河野外務大臣がブログで書いていて、それを見て驚いたのですが、2018年の数字で各国の原油輸入量に占めるホルムズ海峡の依存度。総輸入量のなかでホルムズ海峡を通っているものが何%あるかということを、いろいろな国のものを調べているのですけれども、例えば中国は36%。インドは62%。イギリス、ドイツは2%、6%と少ないです。しかし日本は突出して高く、何と87%です。
飯田)87%! よく8割と言っていましたけれど、もう9割近いですね。
古くから友好関係にある日本とイラン
佐々木)だからホルムズ海峡は物凄いネックで、ここをもし原油が通らなくなったとしたら、日本の経済は1ヵ月持たないでしょうね。そこで航行の安定を保つために、アメリカが有志連合を作ると言っているのだけれど、日本はイランとは昔から友好なのですよね。イラン人質事件があったではないですか。アメリカ大使館をイランの人たちが占拠して、イランとアメリカが危ない状況になったときも、日本は継続してイランとの関係を保ちました。当時、イラン・ジャパン石油化学プロジェクト(IJPC)も存亡の危機に立たされましたが、それでも続けたという。このIJPCはイラン・イラク戦争が数年後に始まってしまって、結局は存続できませんでした。やっぱり昔からイランと日本は仲がよいのです。90年代にイランの人は日本にノービザで来れるというものがあって、上野公園でみんなテレホンカードを売っていた時代がありました。そこでアメリカ側に立って、イランの革命防衛隊に対抗するのは……。この前、安倍さんだって行ったわけですからね。
飯田)最高指導者にも会っていますからね。
日本は有志連合に入らずP-3Cでの参加~踏み込み過ぎない中間策
佐々木)今回は自衛隊を独自派遣、有志連合には入らずに、P-3C(対潜哨戒機)を出して情報収集だけをする。これは悪くない策なのかなと思います。
飯田)6日、産経新聞が一面トップでそれを伝えていました。関係者の話として伝えていたところで、防衛省設置法の「調査・研究」で出せると。そして、艦艇は出さずに航空機でやるということで。
佐々木)艦艇だと、交戦状態に陥ったときにどうしてよいのかわからなくなりますからね。
飯田)相手がイランの革命防衛隊ということになると、交戦権を否定する9条に直接引っかかって来ます。
佐々木)かと言って日本の艦船を守る目的だと、ソマリアの海賊に対処するときに、特措法で海賊対策法のようなものを作りました。あれは海賊が相手なので、国ではないから9条には当てはまらないと。防衛出動までになると大変だし、それくらいしかやりようがなかったのでしょう。本当は他の国も日本と同じように、あまりアメリカと付き合ってくれなければよかったよねと。イギリスは当初、有志連合はやばいから、ヨーロッパだけで独自の護衛の仕組みを作ろうと言っていたのだけれど、有志連合に入ってしまいました。
飯田)そして、ドイツは背を向けたという。
佐々木)日本は踏み込み過ぎないで、この辺で終わらせておいた方がいい気がします。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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