文在寅大統領が日本へ「対話による解決」を呼びかけた理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月16日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。韓国の光復節の記念式典で行われた文在寅大統領の演説について解説した。
文在寅大統領が光復節で演説~日本へ対話呼びかける
韓国の文在寅大統領は15日、光復節の記念式典で演説した。文大統領は「いまでも日本が対話と協力の道に出たら、私たちは喜んで手をとる。公正に交易して協力する東アジアをともに作って行く」と述べ、日本との関係悪化を念頭に対話による解決を呼び掛けた。
飯田)いままで言って来た強い言葉と比べると、「あれ?」という感じなのですけれども。
宮家)光復節という大事な日であれば、大統領なのだから格調高いことを言わなくてはいけない、ということでしょう。いままで、時には大統領とは思えない言葉を使っていたではないですか。
飯田)絶対に日本には負けない、みたいなね。
あくまで国内向けの演説
宮家)やり過ぎたという反省がご自身にあるのか、あるいは国のリーダーなのだから、他国の批判だけをしていればいいというものではないということなのか。どちらにしてもある程度、格調を取り戻したような演説をしたのは当然だと思います。ではそこに中身があるのかと言ったら、確かに前よりはよくなったかもしれませんが、だからと言って対日外交についてイニシアチブを取ろうという感じではないです。あくまで「日本が対話と協力の道に出たら」、という言い方ですよね。それは相手の出方次第ということなのでしょう。まだまだ状況が改善の方向に向かうとは思えません。
飯田)メールやツイッターで、この演説についてコメントをいただいているのですが、「こんなに上から目線で、お前たちが協力したいなら受けてやるよ、というのは少し違うのでは」という意見もあります。
宮家)まったく違うと思いますね。ただ韓国の国内だったら、こういう言い方になるのでしょうね。それがいいかどうかは別としてですよ。
飯田)この演説も、基本的には国内向けである。
関係改善をするのであれば外交ルートを通じて言えばいい
宮家)そうですよね。本当に日本と関係改善をしたいのだったら、外交ルートで新しいことを言って来ればいいのですよ。我々が気にしているのは、1965年の基本条約に基づいて、請求権の問題をどのように処理するのかを知りたい、ということです。韓国の三権分立は分かりますよ、民主主義ですから。だったら大統領は行政府として何をするのですか、ということです。司法府がああいう判断をしたからと言って、それに従わなくてはならないというわけではないのです。三権分立なのだから、きちんとチェックアンドバランスをしなくてはいけないので、行政府が責任を持ってやるべきことはやれと言っているだけなのです。その片鱗すらないから、それは違うでしょうという話になっている。
飯田)この演説のなかでは、北朝鮮との関係についても触れています。もともと文在寅政権は近しいと言われていましたけれども、2045年までに2つの国を1つに統一するのだという話もあったのです。しかし北朝鮮側は報道官談話として、これ以上韓国当局と話すこともないし、再び対話する考えもないと言っているようです。
宮家)北にそこまで言われてしまっては、ピエロですよね。可哀そうに!
飯田浩司のOK! Cozy up!
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