トランプ大統領が北朝鮮の短距離ミサイル発射を認める本当の理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月12日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。アメリカのアジア・太平洋地域の中距離ミサイル配備について解説した。
北朝鮮、短距離ミサイルの発射を正当化
北朝鮮外務省のクォン・ジョングン北米局長は11日に談話を発表し、短距離ミサイルの発射に関して「トランプ大統領が極めて小さなミサイル実験だと我々の自衛権を認めた」と主張、短距離弾道ミサイルの発射を正当化した形で、日本や韓国を標的にしたミサイル発射を今後も常態化させるおそれがある。
飯田)10日(土)に東部の咸興付近から日本海に向けて発射した2発の飛翔体、「新兵器が完成した」と北朝鮮のメディアは報じています。ここのところ立て続けですね。
須田)トランプ大統領、アメリカは腹のなかでは「もっとやれ」と思っているでしょう。北朝鮮の短距離ミサイルの発射をいちばん苦々しく思っているのは、実は中国なのですよ。こういった一連の動きを受けて何が起こっているのかと言うと、先だって旧ソ連、ロシアとの間のINF(中距離核戦力全廃条約)が破棄されましたよね。それを受けて、アメリカはこれからそういった地域で中距離ミサイルの配備に動き出すのですよ。
米がINF破棄したのはアジア・太平洋地域で中距離ミサイルの配備を進めるため
須田)なぜINFの破棄になったのかと言うと、これはロシアがというよりも、中国を強く意識していたからです。INFには中国は加盟していなかったために、中国はアジア・太平洋地域に向けて相当数のミサイルを既に配備しているのですよ。対中国の備えのためにINFを破棄して、これからアメリカはアジア・太平洋地域で中距離ミサイルの配備に動き始めるのですね。その前哨戦として、実はエスパー国防長官が各国を歴訪している。日本のメディアはGSOMIAについて報じているようですが、これは表側の話だけです。裏側では間違いなく中距離ミサイル配備の話し合いに行っているはずなのです。アメリカとしては、自国のグアム、日本、韓国、フィリピンなどで、中距離ミサイルの配備を今後進めて行く。それを考えると、北朝鮮がこれだけ短距離ミサイルを飛ばしてくれているということは、それに向けて追い風になるという状況なのです。中国もそれに対して強く反対できないではないですか。アメリカのアジア・太平洋地域のミサイル配備に向けた動きには怒り心頭なのだけれども、北朝鮮がこういうことをやっている以上、受け入れざるを得ないという状況です。いよいよ、先だって米中の貿易戦争、通貨戦争、安全保障の対立に入って来るのがいまの動きなのです。韓国へ行く前に日本にも来て、岩屋防衛大臣とも会っていますよね。表面上は中距離ミサイルについて話が出ていないということになっているけれども、そんなことはないです。間違いなく水面下では出ていると思います。その辺りを確認するために、13日から私もワシントンへ行きます。
飯田)1980年代に、当時のソ連が中距離ミサイルをヨーロッパ側に配備しようということになって、NATOも中距離ミサイルを配備する。それでは危なくなるからということで、INFができたという経緯がありました。同じようなことがいま、東アジアで起ころうとしています。まさに日本はその最前線にあると。
エスパー国防長官来日の本当の目的
須田)加えて、アメリカ(防衛国)と中国のミサイルバランスを考えると、極めてアンバランスなのですよ。日本を含めて凄いリスクにさらされています。ところが、日本のメディアはその辺りをまったく報道しませんよね。今回、エスパー国防長官が来日したことについても、問題意識はまったくないのですよ。「いったい何をしに来たんだ?」という受け止め方です。
飯田)就任したから挨拶に来たのだろう、という感じでした。
須田)そんなはずはないですよ。
飯田)80年代、NATOがヨーロッパにはあるから、アメリカ側としてはその枠組みのなかで核ミサイルを入れることができました。今回、日本の安保条約のなかにその想定はないですよね。
安保条約、憲法も見直しが必要
須田)それを含めてトランプ大統領は、これまで繰り返し日米安保条約は古臭いと言い続けて来ましたよね。これは破棄ではなく、見直しを示唆しているのですよ。
飯田)その見直しも、トランプさんが言うと全部アメリカに引き上げるように思われがちなのだけれど、そうではないと。
須田)あくまでも中国に対する備えとして、日本はどういう役割を果たすのかというセンテンスのなかでの見直しですよね。
飯田)そうすると、議論のベースから我々も考え直さなければいけませんね。
須田)憲法改正も、場合によっては考えて行かざるを得ない状況になって来ていますね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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