ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月4日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。韓国の自由韓国党や保守系団体がチョ・グク法相の辞任を求め大規模集会を開いたニュースについて解説した。
韓国のチョ・グク法相の辞任を求め、ソウルで大規模集会
韓国の最大野党「自由韓国党」や保守系団体が3日、ソウル中心部でチョ・グク法相の辞任や文在寅政権の打倒を訴える大規模集会を開いた。9月下旬にチョ・グク氏の支持者らが開いた集会に対抗した形で、保守派の参加者らは大統領府に近い光化門広場を埋めた。
飯田)9月のものは200万人と主催者発表されていますが、今回は300万人以上だったと強調されており、いずれも過大に見積もったということです。
とても深刻な問題であることを認識しない韓国国民
宮家)この問題、韓国国内では与野党の対立に見えるのですけれど、私にはもっと深刻な問題に見えます。それは、韓国の民主主義がどうなるかということです。あまり大上段に構えたくはないのですが、司法権が本当に独立しているのかということです。文在寅さんはもともと弁護士をやっていて、法律家なのです。そしてこのグクさんは、法学部の教授です。両方ともプロのはずです。だから、司法権が独立していなかったらどんな問題になるかということを、いちばんよくわかっているはずなのです。
ロシアゲート問題のときに捜査権を返上したセッションズ司法長官
宮家)もう1つ例を挙げると、アメリカで例のロシアゲートが起きたとき、ジェフ・セッションズ上院議員が司法長官になりました。そして問題が生じたのですけれども、たまたま彼はある程度関与していたのですよ。ですから利害関係者ということで、彼はどうしたかと言うと、司法長官すなわち法務大臣であるにもかかわらず、捜査権を返上したのです。それは当然で、自分が利害関係者になり得る立場であれば、そんな人が捜査の指揮なんてできるわけがないのです。彼も弁護士なのですけれど、それに比べたら、いまのチョ・グクさんは何をやっているのか。自分の親族が、そしてもしかしたら自分が対象になるかもしれない捜査で、捜査員に電話をかけたりしている。
飯田)現場に電話をかけていますね。
宮家)他意はないのかもしれないですけれど、こういう状況になったとき、私だったら必ず忌避します。返上しますよ。そして部下にきちんと指揮をとれ、法律の下で平等に扱えと言うのがあるべき姿です。それが全然見えないし、その議論がよくわからない。チョ・グクけしからんとか、文在寅打倒はいいのだけれど、もっと重大な問題がここにあるのです。
司法権を独立せずに民主政治をやろうとする文在寅政権
宮家)文在寅さんからすると、軍事政権のときの検察は偏っていて汚職があり、腐敗していて、権力にべったりだった。だから改革するのだという気持ちはわからないではない。しかし、文在寅さんがやっていることも同じではないですか。いつまでたっても韓国の司法権は独立しないまま、すなわち三権分立が機能しないまま、民主政治をやるのかと。どうやってやるのか、そういう大きな疑問を感じざるを得ない。これは、ただ単に反日だからけしからんという話ではなくて、もっと重大な問題があるということを韓国の人にわかってもらわないと、普遍的価値を共有する日米韓というわけには行かなくなります。
飯田)法の支配や、司法権の独立が国民感情に流されてしまうというのが、まさにいわゆる徴用工問題と一緒ですよね。
宮家)そう。つまり法治ではなくて、人治だということですよね。人治であれば、中国と同じではないですか。
飯田)いま香港で起こっていることと同じ。
宮家)だから、非常に重要な問題だと思うのだけれども、それが争点にならないところが韓国なのかなと。もしくは争点になっているのかもしれないですけれど、我々がそこに関心を持っていないのかもしれません。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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