綾野 剛・杉咲 花・佐藤浩市、私たちが求める“楽園”とは
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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第708回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。支配人の八雲ふみねです。シネマアナリストの八雲ふみねが観ると誰かにしゃベりたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、10月18日公開の『楽園』を掘り起こします。
ベストセラー作家・吉田修一の傑作小説を名匠・瀬々敬久監督が映画化!
とある地方都市。夏の日、青田に囲まれたY字路で、幼女誘拐事件が起こった。事件の直前まで被害者と一緒にいた親友の紡は、深い罪悪感を抱えたまま成長して行く。
それから12年の時が経ち、紡は、事件の日に町にいた孤独な青年・豪士と出会う。距離を縮めて行く2人だったが、再び同じ場所で少女が失踪。疑いの目が豪士にかけられる。
一方、事件が起きたY字路の先で暮らす養蜂家の善次郎は村おこしの事業を進めていたが、話がこじれたことで村中の人々から非難を受け、村八分状態に。善次郎は狂気に陥り、想像もつかない事件を起こしてしまう…。
多くの著書が映像化されているベストセラー作家・吉田修一。2007年の「悪人」、そして2014年の「怒り」に続き、新たな最高傑作「犯罪小説集」が映画化されました。
原作者である吉田修一自身が「こんなにも物語をコントロールできず、彼らの感情に呑み込まれそうになったのは初めて」と語るほどのこの衝撃作を手がけたのは、『64-ロクヨン-』を大ヒットさせた名匠・瀬々敬久監督。心をえぐるサスペンス超大作の誕生です。
事件の容疑者として、住民の疑念から追い詰められて行く青年・中村豪士には、人気・実力を兼ね備える綾野剛。『怒り』『64-ロクヨン-』でも白熱の演技で観客を魅了。本作では、孤独を抱えながら生きる青年を熱演しています。
また消息を絶った少女と事件直前まで一緒だった親友・湯川紡に杉咲花が、村八分になり孤立を深め壊れて行く男・田中善次郎に佐藤浩市がそれぞれ扮し、独特の存在感を放っています。
さらに柄本明、村上虹郎、片岡礼子、黒沢あすか、根岸季衣、石橋静河と、豪華かつ個性溢れる面々が勢揃い。重厚かつ緊迫感あふれる作品世界を完成させました。
映画のタイトルである『楽園』は、瀬々監督が自らつけたとのこと。なぜ、人は罪を犯すのか? なぜ、自分だけが生き残ってしまったのか? 瀬々監督が本作にどのような思いを込めたのか、その真意に触れると、胸が締め付けられるような感覚を覚えることでしょう。
『楽園』
2019年10月18日(金)から全国ロードショー
監督・脚本:瀬々敬久
原作:吉田修一「犯罪小説集」(角川文庫刊)
主題歌:上白石萌音「一縷」(ユニバーサルJ) 作詞・作曲・プロデュース:野田洋次郎
劇伴:Joep Beving(ユップ・ベヴィン)
出演:綾野剛、杉咲花、村上虹郎、片岡礼子、黒沢あすか、石橋静河、根岸季衣、柄本明、佐藤浩市
(C)2019「楽園」製作委員会
公式サイト https://rakuen-movie.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/