是枝裕和監督、初めて挑んだ日仏共同製作映画
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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第707回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。支配人の八雲ふみねです。シネマアナリストの八雲ふみねが観ると誰かにしゃベりたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、10月11日から公開された『真実』を掘り起こします。
カトリーヌ・ドヌーヴ × ジュリエット・ビノシュ 自伝本をめぐる母と娘の“秘密”と“真実”
2018年、『万引き家族』でカンヌ国際映画祭のパルムドールという最高の栄誉に輝いた是枝裕和監督。待望の最新作『真実』は、是枝監督が初めて国際共同製作で手がけた長編作品です。
全編フランスで撮影した本作は、2019年 第76回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門オープニング作品に選出され、日本人監督初となる快挙を成し遂げました。
世界中にその名を知られるフランスの国民的大女優ファビエンヌが、自伝本「真実」を出版した。それをお祝いするという理由で彼女の元に集まったのは、海外で脚本家として活躍する娘のリュミール、娘婿でテレビ俳優として人気のハンクと、その2人の娘シャルロット。またファビエンヌの現在のパートナーと元夫、そして彼女の公私にわたるすべてを把握する長年の秘書だった。
集まった人々の気がかりは、ただひとつ。「一体、彼女は何を綴ったのか」。自伝で語られた“嘘”と、語られなかった“真実”が、母と娘の間に隠されていた愛憎渦巻く心の闇を浮き彫りにして行く…。
主人公・ファビエンヌには『シェルブールの雨傘』や『ロシュフォールの恋人たち』などで主演を務め、映画界の至宝とも言われるカトリーヌ・ドヌーヴ。自身のイメージと重なる“大女優”という役どころを、圧倒的な存在感で演じています。
また彼女の娘・リュミールには『ポンヌフの恋人』や『イングリッシュ・ペイシェント』のジュリエット・ビノシュ、その夫・ハンクに『6才のボクが、大人になるまで。』のイーサン・ホークと、錚々たるキャストが出演。世界的スターたちがフランスの風景とともに、新たな是枝ワールドを紡ぎ出しています。
是枝監督とジュリエット・ビノシュが「一緒に映画を作ろう」と話していたことから実現した本作。母と娘は、親友のように仲がいいかと思えば、実はお互いにどうしても許せない“わだかまり”を持っていたりと、一筋縄では行かないことも。
そんな関係性を、いかにもフランス的な毒っ気のあるウィットを含みながら軽やかに見せているのは、お見事。国や言語を超えてなお、人間の本質を鮮やかに描き出す是枝監督の演出力が光る1作です。
『真実』
2019年10月11日(金)からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
監督・脚本・編集:是枝裕和
撮影:ミュリエル・メルラン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク、リュディヴィーヌ・サニエ、クレモンティーヌ・グルニエ、マノン・クラヴェル、アラン・リボル、クリスチャン・クラエ、ロジェ・ヴァン・オール
日本語吹替版:宮本信子、宮﨑あおい、佐々木みゆ
(C)2019 3B-分福-MI MOVIES-FRANCE 3 CINEMA
Photo L. Champoussin (C) 3B-分福-Mi Movies-France 3 Cinéma
公式サイト https://gaga.ne.jp/shinjitsu/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/