ガザで停戦発効~それでもガザでの衝突が収まらない理由

By -  公開:  更新:

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月15日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。ガザの武装組織とイスラエル軍が停戦を合意したニュースについて解説した。

ガザで停戦発効~それでもガザでの衝突が収まらない理由

パレスチナ自治区ガザで、イスラエル軍の空爆で破壊された家を調べる女性ら=2019年11月14日(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

ガザで停戦が発効、イスラエル軍とパレスチナ過激派が合意

パレスチナ自治区ガザの武装組織「イスラム聖戦」は14日、イスラエル軍と停戦で合意したと発表した。イスラム聖戦の司令官がイスラエル軍により殺害されたことをきっかけに、12日から両者の間で攻撃の応酬が続いており、イスラエルの報道によるとガザ地区でのイスラエル軍の空爆によるパレスチナ側の死者は34人で、半数は民間人。パレスチナ当局者らの話では、1度に8人を失った家族もいるということである。

飯田)7歳の男の子や、少なくとも8人の子どもが含まれていたということです。

パレスチナが分裂していることが原因の1つ~「相手がわからない」と交渉しないイスラエル

宮家)ガザというのは、見捨てられたと言うと言い過ぎですが、日本も支援をしているのですが、実に貧しいところなのです。もちろんイスラエルも悪いのだけれど、衝突が起きているのは、ここ10年~20年で見て、もうほとんど日常茶飯事です。仮に仲介があっても一時的な効果しかない。なぜそんなことになるかと言うと、いろいろな理由があるのですが、1つはパレスチナ人社会が分裂しているということです。ガザは場所が離れているということもあるかもしれませんが、ガザにいるハマスと、ヨルダン西岸のパレスチナ地域にいるPLOを中心とした自治政府、これが分裂してしまっているのです。本当は和平交渉をやって上手く結論を出すか、妥協をすればいいのだけれど、イスラエルは「相手がわからない、分裂しているではないか」ということで自主的に譲歩しない、交渉もしない。そうなると、この悪循環が続くことになってしまう。ではパレスチナ自治政府はきちんとやっているかと言うと、これもよくわからない。選挙をきちんとやっているのかもわからなくて、昔から同じ人がふんぞり返っている。

飯田)それこそ、アッバス議長が。

宮家)他の人たちだって変わらないのですよ。

飯田)任期がどれくらいあるかとか。

宮家)とっくに任期は切れています。もう少し自己統治能力がある政治家を、きちんと選ばなくてはいけないのですけれど。アラファトさんだって一応ヒーローということになっていますが、パレスチナに行った経済援助が彼の口座に消えたという説もあるわけだから、これをしっかりしないとパレスチナ人の庶民は浮かばれない。それに対して調子に乗って、イスラエルがやりたい放題やっているという、非常に不健全な状態が続いているのだと思います。

ガザで停戦発効~それでもガザでの衝突が収まらない理由

総選挙の遊説を行うイスラエルの中道政党連合「青と白」のガンツ元軍参謀総長(イスラエル・北部イェスドハマアラ)=2019年9月11日 写真提供:時事通信

ガンツ氏に代わってもイスラエルに対しては強硬

飯田)イスラエル側はネタニヤフさんの組閣はできなくて、ガンツさんがやるということです。この辺は風向きが変わったりするものなのですか?

宮家)パレスチナ問題についての立場は、どちらも厳しいです。昔はネタニヤフさんがいちばん右でした。ところがその後、もっと右の人が入って来たから、ネタニヤフさんが真ん中にいるような、これもまた不健全な状態なのです。従ってパレスチナとは、絶対に妥協しないという声が少なくない。ガンツさんもネタニヤフさんは嫌いだけれど、政策はどちらかと言うと強硬派ですからね。その意味で、イスラエル側もなかなか態度を変えにくい。それを見ていたら、パレスチナも当然変えないという悪循環が続くということだと思います。

飯田)ハマスにはどこから支援が入っているのか、ということも言われますが。

宮家)いろいろなところから入っていますよ。イランも含めて。

飯田)やはりそこでは、イランも絡んで来ると。

宮家)ええ。周りが絶対に黙っていないから、逆に言うと紛争も止まらないということでしょうね。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

番組情報

飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

番組HP

忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。

Page top