中国がIR事業への参入を狙った本当の理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月15日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。中国による新しい形の世界進出について解説した。

中国がIR事業への参入を狙った本当の理由

元政策秘書と元私設秘書の自宅などが東京地検特捜部の家宅捜索を受け記者団から質問される自民党・秋元司衆議院議員=2019年12月9日午後、国会内 写真提供:産経新聞社

IR汚職事件で秋元司議員を再逮捕~清華大学系列企業の“500ドットコム”

カジノを含む統合型リゾート(IR)をめぐる汚職事件で、中国企業側からおよそ350万円の賄賂を受け取ったとして、東京地検特捜部は14日、衆議院議員の秋元司容疑者を収賄容疑で再逮捕した。秋元容疑者は容疑を否認している。

飯田)15日は、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞の3紙が一面トップで掲載しています。この話は年末から引きずっていますね。

佐々木)一般メディアでは、どこまで自民党内に広がるのかが話題になっていますが、どちらかというと中国企業側の方が気になります。500ドットコムというのは、聞いたことのない会社ですが、中国・北京にある清華大学の系列企業なのです。清華大学は習近平氏の出身校です。どこまで国の意向が働いているのかわかりませんが、日本の政治家に中国企業が、ビジネス参入のための賄賂を払うということは、これまでにない事態です。日本が高度経済成長をしていたころに、ロッキード、グラマンなどのアメリカ企業が日本市場に売り込みを狙って、田中角栄さんにお金を渡した事件があったではないですか。

飯田)次期戦闘機や旅客機に関してですね。

中国がIR事業への参入を狙った本当の理由

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

中国の次期戦略はエンターテインメント界への進出か

佐々木)あのようなことと同じ構図でやっているのではないでしょうか。中国は世界の工場と言われ、iPhoneなどを製造していましたが、いまやそこから脱却しつつあります。人件費も上がって世界の工場ではなくなりつつある。AIみたいな技術を追いかけながら、ソフトにも力を入れています。最近はハリウッド映画にも出資していて、昔であれば日本人が出ているポジションが、中国人になっているような状況です。おそらく次の段階で、中国はコンテンツやエンターテインメント市場に乗り出して行こうという発想があるのではないかと思います。その橋頭堡として、いろいろな国にお金をばら撒くということが起き始めている。

飯田)ソフトパワーというものを、中国もやろうとしている。

佐々木)中国はお金がたくさんあって、一帯一路で中央アジアや中東、アフリカにお金をばら撒いたり、最近では南太平洋のソロモン諸島にお金をばら撒いたりしています。でも、お金をばら撒いている割に、それほど信用がないではないですか。一方で、第二次世界大戦後にアメリカが世界の頂点になれたのは、ハリウッド映画やロックミュージックなどのソフトパワーが強かったからだと言われています。中国はそこを狙いたいわけです。最近、ネットフリックスを観ていると、中国人しか出ていないSF映画をやっていて、世界を救うのに全員が中国人という設定です。

飯田)2019年に話題になった『クレイジー・リッチ!』という映画も、シンガポールが舞台でした。中華系の人たちのバカみたいな金持ちさを、これでもかと見せるというものです。

佐々木)「世界から憧れられる中国文化」というところを狙おうとしているのだと思います。そこまで行けるのかどうかは別にしても、そのために惜しみなくお金をばら撒くことを始めているのではないでしょうか。

中国がIR事業への参入を狙った本当の理由

東京拘置所に入る、衆院議員の秋元司容疑者を乗せたとみられる車両=2019年12月25日午後0時42分 写真提供:共同通信社

日本のIR事業を狙うのは入り口に過ぎない

飯田)このIRは、入り口に過ぎないわけですね。

佐々木)それが実際にハリウッド映画のようなコンテンツなのか、コンテンツを生み出すインフラなのかはわかりませんが、そういうもので世界を席巻しようとしている可能性は、十分にあるのだろうと思います。

飯田)確かに、ソニーがコロンビア映画を買収したように、日本の映画会社に中国資本が入る可能性もありますね。日本人としては「それで大丈夫なのか?」という話ですね。

佐々木)昔、アメリカのマンハッタンの土地が日本企業の三菱などに買われて、みんなが驚いたことがありましたが、気が付いたら丸の内が中国企業に、なんてことがあり得なくはないですよ。

番組情報

飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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