新型コロナウイルスにみる日本の危機管理の問題点
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月6日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫と衆議院議員の馬淵澄夫が出演。新型コロナウイルスの報道を受け、日本の危機管理政策について解説した。飯田浩司が休みのため新行市佳が進行を務めた。
政府、武漢からの帰国チャーター第4便を6日に派遣へ
茂木外務大臣は5日、新型コロナウイルス肺炎が発生している中国の武漢市から、新たに日本人を帰国させる第4便のチャーター機の派遣を調整していることを明らかにした。チャーター機は6日に羽田空港を出発し、7日午前に再び羽田空港へ戻る予定。
新行)搭乗者数については200人程度。今回は中国籍の配偶者らの搭乗も認めるよう、中国側に働きかけているとのことです。
日本の危機管理の問題~多用される「想定外」という逃げ口上
鈴木)日本の危機管理とは何でしょうか? 馬淵さんが国交大臣のときも、中国の尖閣諸島問題がありました。日本の危機管理のどこが問題なのか。逆に、どこがうまく行っているのでしょうか?
馬淵)よく言われるのは「想定外」という言葉です。これでは危機管理の要諦として、まったくなっていないのですよ。
鈴木)逃げ口上に使っていないでしょうか?
馬淵)想定外のことがあってはならないのです。危機管理とは、ありとあらゆるリスクの想定をして、その上でいかに計算されたリスクを我々が持ち得るかどうかということなのです。計算できないリスクが想定外になるわけですが、それがないように、ありとあらゆることを考え、それを減じるためにどういう政策ができるかということを計算する。カリキュレーテッド・リスクというのですが、これをしっかりと持って対策を講じるのが政府の役割です。しかし、いつも「想定外のことが起きた」と言って、責任の所在が明らかでないまま終わってしまうのです。もちろん、いまの政府だけでなく民主党政権のときも言われましたが、我々は役所の立場、行政の立場、あるいは立法府の立場でリスクをどれだけ幅広く考えるか。今回のコロナウイルスもそうですが、あらゆる場面でリスクをどう考えるかが問われると思います。
鈴木)簡単な言い方で表現すると、最悪の状態を想像して、そこから逆算して何をすべきかということですね。しかし、これはいろいろな法律の壁などによって、なかなか決断できません。
「自分たちは間違っていない」という官僚の無謬神話を政治家が断ち切らなければならない
馬淵)一方で役所は、必ず自分たちの声が正しいという霞が関官僚の無謬性、間違っていないという前提に立つのです。これが無謬神話を生んでしまうのです。我々は間違っていない、だから問題ないのだという論法で収めてしまうのです。必ずどこかで計算しつくせない部分や、想定していないものが生まれる可能性はあるので、みんなで監視しなければいけないのに、昔の流れを受け継いでしまいます。ここを断ち切ることができるのは、政治家しかいません。
鈴木)政治決断ですよね。官僚のなかでも一生懸命にやりたいという人もいるのだけれど、官僚は平等や法律などに縛られて動けません。それを「責任は取るからやれ」と言えるのは、政治家しかいないと。
馬淵)選挙で選ばれているからこそ、政治家が判断できるのですよね。
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