非常事態に対応できない日本~中国以外で新型肺炎感染者数が上位
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月4日放送)にジャーナリストの有本香が出演。新型コロナウイルスに関する日本の対応について解説した。飯田浩司が休みのため新行市佳が進行を務めた。
習近平指導部、新型コロナウイルスの対応の誤り認める
中国の国営通信である新華社によると、中国共産党の習近平国家主席ら党最高指導部は3日、新型コロナウイルスによる肺炎に関する会議を開き、感染症対応に誤りがあったことを認めた。中国指導部が誤りを認めるのは異例のことだ。
新行)また、加藤厚生労働大臣が入国制限の拡大も示唆したということです。
有本)たしかに中国共産党の指導部が誤りを認めるのは異例のことですが、世界的に大変なことになっていますからね。特にアメリカは、事実上のレベル4指定です。それくらい危険だということです。アメリカ国民には行かないように、退避をするように言っています。これは大変なことだと思ったのでしょう。また武漢の市長が映像を撮って、「私は隠さざるを得なかったのだ」という告白を国外にも発信しました。現在、虚実入り混じっていますが、この最中にも武漢の情報は外に出ていますよね。さすがにしらを切ることはできない、という判断だと思います。
非常事態で露呈する日本の対応の遅れ
有本)次に日本側ですが、私は今回の政権の対応に対しては案外、批判的な人間です。新型コロナウイルスは、まだどういったものなのかがはっきりしていません。それは専門家の方々にお任せしますが、毒性がどのくらいあるのか、感染力はどのくらい強いのかということの分析も、まだ定まっていません。しかし、このような事態に陥っている武漢は1,000万人の都市、つまり東京都と同じくらいの規模の都市です。そこが封鎖するというのは、ただごとではありません。さらに浙江省の温州も、周辺を含めれば1,000万人ほどの規模です。そこも封鎖されている。
新行)そうですね。市民の外出が原則禁止です。
有本)これは、ただごとではないのです。また、日本国内でも人から人にうつっているわけですよね。そうであるならば感染があるかどうかを確認して、感染していた人を隔離して治療するということではなく、外から感染している疑いの高い人たちが入って来るのを止めるしかありません。アメリカやヨーロッパといった他の国々は行っています。イギリスのブリティッシュ・エアウェイズは、数日前に全ての中国便を止めました。シンガポールや台湾もそうです。やはり日本は、入国制限が遅れてしまっているのです。その結果として、中国以外では最も感染者の多い国の1つになっています。
新行)そうですよね。
有本)こういった通常とはまったく異なる非常事態、想定できない事態が起きたときに、果断に政治決断をしてでも、国が通常とは違う対応を取れるかということです。日本の場合は法律上の後ろ盾がないとできない、ということも言われますが、ならば何のために国会を開いているのか。国会で早急に特措法などをつくりなさいという話です。ですが、国会では相変わらず桜問題をやっていますよね。つまり、何か想定し得ない事態が起きたときに、日本という国はすばやく体制をとって、国民を守ることができないということです。
新行)オリンピック・パラリンピック前に、こんな事態が露呈してしまった。
非常事態に対応できる体制が必要
有本)これは政権を批判すると同時に、私たち国民にも大きな課題が突き付けられたと思います。今回はウイルスに感染しても、日本国内の方々はまだ重篤化せずに回復に向かっておられるということですので、不幸中の幸いです。しかし、この種のウイルスではなかったらどうしますか? 例えば北朝鮮からミサイルが飛んで来て、日本国内に着弾しましたとなったときも、うろうろしているだけで何もできないということですよね。
新行)はい。
有本)ですから、こういった非常事態に対応できる体制をつくらなければなりません。国会でああいったことを行っていることに対しても、我々が愚痴を言っているだけではなく、その状況を能動的に変えなければならないということだと思います。
新行)どうしても他の国と日本とで、対応の差が出て来てしまっている。
有本)歴然としていますよね。そこは政治家が政治決断をする。できるできないは、トップに立つ政治家の意思の強さによるかもしれませんが、そういった立て付けに日本がなっていないということが問題です。国民として今回、肝に銘じる必要のあることだと思います。
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