新型肺炎対策に153億円~今後政府に期待すること
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月14日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。政府が発表した新型肺炎緊急対策について解説した。
新型肺炎~政府が緊急対策に153億円
政府は13日、総理官邸で新型コロナウイルス感染症対策本部の会合を開き、検疫や検査の体制強化などを盛り込んだ緊急対策の第1弾を取りまとめた。総額はおよそ153億円で、うち103億円を2019年度予算の予備費で賄う方針で14日の閣議で正式に決定する。
飯田)マスクの増産の支援や、検疫要員の増員のための費用を国が負担する。検査・健康診断についても費用は国が負担するということが打ち出されています。
宮家)「前からわかっていることではないか」と言う人もいるかもしれませんが、日本政府の規模や決定した内容を見ると、大きな政府がこれだけのことを決めるには、ある程度の時間がかかるものです。中身としても決して悪いとは思いません。それだけ「水際でくい止めること」が難しくなって来たということですね。どのような形で国内のパニックを抑えるか、ということも考えなければいけない時期に来ていると、みなさんおっしゃっています。私もそう思います。
個人の自由を確保するのか、日本全体の健康を考えるのか
宮家)私がいちばん気になることの1つは、個人の基本的人権や移動の自由を確保するのか、日本全体の健康、利益を考えるのか、どちらを優先するのかということです。今は誰も言いませんが、7月・8月のオリパラが念頭に当然あるわけですから、政府関係者が水際でどうにかしたいと思うのは当たり前です。水際で止める、すなわち船を入れない。しかし、船の中は密集状態になっているので、下手をすると危ないのです。その人権と国益のバランスをどう取るのかというのは、非常に難しかったのだろうなと思います。ようやく80代の方から徐々に下船するということで、それはそれでいいと思うのですが、これだけでは済みません。今後は日本国内で、より大きな形で、あまり聞きたくないニュースがどんどん出てくると思います。それを我々が冷静に受け止めて、政府もしっかりと実態を認め、後手後手にならないようにして欲しいですね。
飯田)クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」は、イギリス船籍でアメリカの会社が持っています。日本発着の便も多くあるので、日本人がたくさん乗っているということです。その辺りの判断は、非常に難しいところですね。
宮家)ハワイに行ったときに、日本のクルーズ船がメキシコを出発してハワイに寄ろうというところでした。日本に帰るのだと思いますが、ハワイの当局から上陸拒否をされていました。ハワイに寄って買い物をしようという人がたくさんいたと思うのですが。
飯田)入国拒否をするというのは、主権国の権限としてあるわけですか?
宮家)主権行使でしょうね。もちろん例外はあるけれども、アメリカは中国本土から来た人たちを既にシャットダウンしていますから、その意味では当然の行為だろうと思います。
飯田)アメリカはいち早く入国禁止を打ち出していますね。
宮家)日本はそこまでしていないですよね。シンガポールやオーストラリアではやっています。
シンガポールはトランジットによる入国も禁止
飯田)シンガポールはトランジットも禁止しています。乗り換えも自分のところを通るなと。
宮家)あそこも小さな島ですから。
飯田)SARSの件もありましたし。
宮家)狭い国土で大きな人口を収めているわけです。
飯田)いわば密集ですね。集合住宅も多いですし。
宮家)恐れるのは当然だと思います。
大切なことは情報を理解しているかどうか
飯田)ここから先は専門家の方も繰り返していますが、まずは手洗いとアルコール消毒。そして免疫力を下げないことが大切になります。
宮家)大事なことは、「ウイルスの詳細がわかっているかいないか」です。どうなるかわからないという恐怖にパニックの原因があるわけですから、「わかってしまえばそんなものか」というところになるまで、これから数ヵ月かかるのだと思います。その数ヵ月間を頑張らなければいけないということです。
飯田)あまり報じられていませんが、奈良でバスの運転手さんが新型インフルエンザの日本人の罹患者として初めて発覚しましたけれども、回復して退院されたと、8日に奈良県が発表しました。
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