新型肺炎~「指定感染症」を即日施行していれば感染状況は変わっていた

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月12日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。新型コロナウイルスに関する専門家会合がWHO本部で開催されたニュースについて解説した。

WHOが新型肺炎について話し合う専門家会合を開催

世界保健機関(WHO)は11日、新型コロナウイルスに関する専門家会合をスイス・ジュネーブのWHO本部で開催した。会合には世界各国から400人の専門家が参加。12日までの日程でウイルスへの対策を話し合う。

飯田)名前については「COVID-19」という名前が付けられました。武漢、中国などの地名は…。

高橋)それは差別になるからやらないという、命名のルールがあります。

新型肺炎~「指定感染症」を即日施行していれば感染状況は変わっていた

新型肺炎 道頓堀周辺でマスクをする観光客=2020年2月7日 写真提供:産経新聞社

中国とWHOの初期動作の失敗が現状につながっている

高橋)もともとWHOは国際機関ですが、中国が支配的な立場だから台湾を排除したという話があります。誰がお金を持っているかということです。結果的にそれが強くなり、こういうときに上手く連携ができません。中国で発症したのは去年(2019年)12月の頭です。このときに出しておけばもっと楽だったのに、翌月の1月20日まで完全に隠蔽していました。告発した人は処罰を受けてしまって、初期動作がひどいですよね。それを挽回しなければなりませんが、WHOは中国の発表そのままですよ。

飯田)日本での感染確認163人というのは、ダイヤモンド・プリンセスという船のなかの人を含めた数です。

新型肺炎~「指定感染症」を即日施行していれば感染状況は変わっていた

新型コロナウィルスによる肺炎の感染拡大 成田空港ではマスク姿の人が目立つ=2020年2月10日午後、成田空港 写真提供:産経新聞社

「指定感染症1類」を即日施行するべきであった

高橋)私は1月22日もこの番組に出ていますが、習近平国家主席が言い出したすぐ後でした。そのときはそれほど大きい状況ではなかったけれど、隔離政策だと言ったと思います。そして1月28日に指定感染症になったものの、施行が2月7日だったので驚きました。これは即日だろうと思ったら、やはり前倒しで2月1日になりましたが、2類指定で1類ではありませんでした。1類と2類の違いは、隔離できるかできないかです。発症していなくても感染者がいたら、1類の方がいいのです。2類だと隔離ができないので、チャーター機で来た人が2人家に帰ってしまった。あれは法律が施行されていたら、止めて隔離することができたのです。

飯田)大半の方が政府が用意したホテルや宿舎に留まりましたが、第1便では2人が断って帰宅しています。

高橋)あのときの答弁で「法律ではできません」と言っていましたが、施行期日を遅らせたのにできないと言うのは、おかしいと思いましたけれどね。施行期日を前倒ししていればできました。

飯田)あのとき閣議決定はしたけれども、施行期日の前だったから。

新型肺炎~「指定感染症」を即日施行していれば感染状況は変わっていた

【新型肺炎】羽田空港から出る救急車=2020年1月29日午前、東京・羽田空港 写真提供:産経新聞社

「指定感染症」を即日施行できなかったのは所管大臣の初期ミス

高橋)そのため、法律は施行できないということでした。前から準備していたはずだから、1月20日くらいに政令をつくって、所管の大臣が「いつごろに出します」と言えば、交付後すぐに施行できたのです。これは完全に初動ミスです。こういう危機管理のときに、政治家はいかにイニシアティブをとってやるかが肝なのですが、残念でした。

飯田)官僚が用意したいまの法律と政令では、こういう手立てしかありませんということに乗っかってしまった。

高橋)交付後すぐの施行は、周知期間がないからできないという説明でした。大臣が「1週間をめどにやります」と言えば、周知期間があります。マスコミも報道するので、やればよかったのにしませんでした。

飯田)新聞にも出ていますが、ご自宅に帰られた2人の方に発熱感染が確認されたと。

高橋)そのとき隔離しておけばよかったのに、という話です。隔離しておけば2週間くらい留め置くでしょう。そうしたら家に帰らなくて済んだのです。

飯田)その間、誰にどのように接触したのかを追っている最中です。

高橋)これは後手に回った典型です。施行期日を遅らせてしまったというだけの話ですよ。それでこうなってしまった。

新型肺炎~「指定感染症」を即日施行していれば感染状況は変わっていた

【新型肺炎 クルーズ船】横浜・大黒ふ頭に着岸したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。救急車などが岸に止まり、乗客らが不安そうに見つめていた=2020年2月6日午前、横浜市 写真提供:産経新聞社

初期段階の1週間の遅れは大きい

飯田)その1点が違っただけで、その先のシナリオがだいぶ変わって来る。

高橋)1週間違うのですから、初期段階の1週間は大きいです。初動がすべてですから。

飯田)今後、どうして行くかです。台湾台南の“ゆりすけ”さんからメールをいただいています。「あまり日本では報道されていませんが、台湾では2月6日に中国からの渡航は全面禁止となっております。私の勤めている会社でも、原則中国への出張は禁止。中国へ行った人は14日間の出勤停止となっています。マラソン大会なども2月~3月は中止ということで、東京マラソンは開催できるのかと知り合いから聞かれる次第です。日本との温度差は感じますけれども、SARSのときの経験があるというのが違うようです」という指摘です。

高橋)いまからやっても正直、手遅れです。来てしまっているのですから。初期段階の移動制限は有効です。それでも中国やWHOは移動制限は意味がないと言うのですが、あれは一般論です。初期段階で何もわからないときの移動制限は有効だと、WHOも認めています。この期に及ぶと大変ですね。クルーズ船は院内感染に近いものです。あれは申し訳ないけれど、あのままにしておいて。

飯田)船内がある意味、隔離施設みたいなものですね。

高橋)4000人近くを陸上で対応するのは難しいです。感染しなかった人は降ろすかもしれませんが、基本的には隔離です。

飯田)14日間の期限が19日と言われています。

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