新型肺炎対応の遅れ~李克強首相が武漢入りした本当の理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月10日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。中国外交トップが来日延期をするという報道について解説した。
中国外交トップ来日延期か~習近平主席国賓日程に影響も
毎日新聞によると、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日中両政府が「2月中」で調整していた中国外交担当トップの楊潔篪中国共産党政治局員の日本訪問が延期される公算が大きくなった。そうなると、4月に予定されていた習近平国家主席の国賓訪日に向けた協議が遅れ、習氏の訪日時期にも影響する可能性が出て来ている。
飯田)2月上旬にも日本に来る予定だったということですが、事務方の詰めもかなり遅れが出ているということが言われていますし、日本側の岸田さんや中国とパイプのある政治家の方々も、延期はやむなしだということを言い出しましたね。
党も行政も新型コロナウイルスの対応にシフトせざるを得ない
須田)いま中国国内はすべて、新型コロナウイルス対応に追われざるを得ないという状況になっています。いろいろと情報収集してみますと、ナンバー2の李克強首相が1月下旬の段階で武漢に派遣され、陣頭指揮を執っています。その辺りから考えてみると、国を挙げて党も行政も全部そこにシフトしている。となると、日本に来るだけだったらできるかも知れませんが、いろいろとやらなくてはならない日中間の問題や、課題の処理が全然進まない状況にあるようです。それに、この件をきちんと対処しなければ、習近平さんの権力基盤も大きく揺らいでしまう。日本に訪問している場合ではないという、政治的側面もあるのだろうと思います。
李克強首相に残される2つの可能性
須田)李克強首相が武漢入りしたのも、2つの可能性があると言われています。1つは、この可能性は薄いと思いますが、これまでほとんど存在感がないと言われていた李克強首相が、英雄になる可能性があると見られています。2つ目は、詰め腹を切らされるということです。中国国民の批判や不満が相次いでいます。その批判や不満を、いまの武漢の行政当局に全責任を被せようとしているのです。最初に告発をした医師が亡くなったという報道が、まったく抑えられていません。8人の告発者がいたのですが、その筆頭でした。しかし、告発に対して「嘘をつくな」と拘束されたのです。そのことも含めてすべて公開されていて、武漢行政当局に批判が集中するような流れを作っているのです。そこで収まらなければ、李克強首相に詰め腹を切らせるというのが今後の流れのようです。
現在の状況で習近平主席来日の可能性は低い
須田)そして習近平国家主席は安全圏に逃げるという算段でしょうが、そこで収まるのか。習近平国家主席はセーフティゾーンに入れるのかというと、ぎりぎりのせめぎ合いとなっています。そんななかで日本訪問というのは、優先順位としては極めて低いという状況です。
飯田)あとは、どちらが中止を言い出すかという話ですか?
須田)中止へ向けての段階を踏んでいるのではないでしょうか。現状ではトップだけが行っても意味がないから、延期という形になるのだと思います。
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