日本の湖北省以外の中国への渡航が未だ「レベル2」であるのはなぜか
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月10日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。新型肺炎の中国での死者数がSARSの数を超えたニュースについて解説した。
新型肺炎の死者811人~SARSを上回る
新型コロナウイルスによる肺炎で中国全体での死者が811人、感染者は3万7000人以上となり、2002年~2003年にかけて大流行したSARSの全世界の死者の数を超えている。また8日には現地武漢で、ウイルスに感染した疑いのある日本人の死亡が初めて確認された。
飯田)新型コロナウイルスへの集団感染が発生している、横浜港で検疫中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」ですが、新たに6人の感染が確認され、陽性は70人となりました。死者数がSARSを上回ったということです。
中国の国家衛生健康委員会~湖北省を除く新たな感染者が5日前と比べて4割減少と発表
須田)その一方で、中国の国家衛生健康委員会の記者会見によると、湖北省を除く新たな感染者が5日前に比べて4割減少したと発表しています。この発表が信頼できるものなのか、或いは一時的なものなのかどうか。その辺りの今後の推移が注目されます。
新型肺炎に感染した恐れがあっても検査できるのは「14日以内に湖北省へ渡航歴がある方、或いはこれらの方々と接触された方」
須田)それともう1点、「自分は新型コロナウイルスに感染したのではないか?」と思って近くの町医者に行ったら、「肺炎ですが新型肺炎かどうかはわからない」と言われた場合、どうしたらいいのか。原則では近くのクリニックに行ってもらうのですが、そこでは新型コロナウイルスの検査ができないのです。保健所を経由して、然るべき場所で検査するという流れになります。検査を受け入れてもらうには不思議な決まりがありまして、「14日以内に湖北省へ渡航歴がある方、或いはこれらの方々と接触された方」というところに限定されています。ここへ来て少し条件が緩和されたらしいのですが、基本的にはこのラインで、検査するかしないかに分けられてしまう。検査されなければ、原因不明の肺炎というところで留まってしまいます。ヒトヒト感染で感染してしまうのに、なぜ湖北省に限定しているのか。湖北省の人が春節から地方へ、そして海外にも出ているわけです。一説によると1100万人の武漢市民のうち、500万人が市外に出たとされている状況のなかで、そこに限定している意味があるのかどうか。これは手続き上の問題なのか、或いは検査キットの数が少ないなど、検査体制が整っていないからなのか。その辺りがまったく見えて来ていないのが怖いですね。
湖北省以外の中国への渡航が「レベル2」であるのはなぜか
飯田)外務省の安全情報もそれにリンクするような感じで、湖北省に関してはレベル3、渡航の自粛や渡航中止の勧告を出していますけれど、それ以外の全土に関してはレベル2で留まっています。諸外国を見ると、特にアメリカですが、厳しい対応の国が多いです。
須田)アメリカはレベル4ですからね。全面渡航禁止ということになっています。なぜ日本の対応が遅れているのか。
飯田)東南アジア各国はかなりセンシティブにこれを見ていて、台湾はクルーズ船の渡航をやめましょうとしていますし、香港も中国に滞在した人は14日間の自主隔離をする、違反した場合は法に基づいて処罰をするということです。これは香港人だけではなく、外国人も含めてです。各国が水際で蔓延させないように頑張っています。
須田)先日行われたトランプ大統領と習近平国家主席の電話会談のなかで、習近平国家主席からアメリカの渡航禁止令を解くべきだという注文が付けられたのですが、トランプ大統領はきっぱり断っています。相当中国サイドは渡航禁止に関して、センシティブに対応している。それを前提とすると延期になる可能性が高いのですが、習近平国家主席の来日が予定されている日本サイドは、何らかの配慮をしている可能性もあるのではないでしょうか。なぜ諸外国の水準まで引き上げないのかというところに対して、明確な説明がありません。ダイヤモンド・プリンセス号に焦点が集まっているのですが、その水際作戦を含めて、なぜ対応が国際水準と比べても遅れているのかが問題ではないかと思います。
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