新型肺炎、政府は年齢別の対応をすべき~重症化のほとんどが60代以上

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ニッポン放送「ザ・フォーカス」(2月12日放送)に作家・ジャーナリストの河合雅司が出演。新型コロナウイルスの感染状況について解説した。

【新型肺炎】中国・武漢市から政府チャーター機第1便での帰国者が滞在するホテル「勝浦ホテル三日月」から帰宅が許可された50代男性 撮影日:2020年02月12日 写真提供:産経新聞社

クルーズ船の感染者、新たに40人判明

12日、横浜沖に停泊しているクルーズ船で、新たに乗員10人、乗客29人、さらに検疫官1人について新型コロナウイルス感染が判明した(※編集部注:13日には新たに44人について新型コロナウイルスの陽性が確認され、これまでに感染が確認された乗員乗客は218人となった)。

森田耕次解説委員)横浜沖に停泊しているクルーズ船の「ダイヤモンド・プリンセス」。12日に、乗船者のうち新たに39人に新型コロナウイルスの感染が判明。さらに、検疫官1人にも感染が確認されました。クルーズ船で感染が確認されたうち、日本人は10人。年齢は10代から80代で、国内での10代の感染は初めてです。クルーズ船で感染が確認されたのは合わせて174人ということになりました(※編集部注:13日には新たに44人について感染が判明、これまでに感染が確認された乗員乗客は218人)。感染した人は東京や神奈川など1都8県の医療機関に入院しています。新たに山梨県の医療機関も受け入れをするということになっています。それから、感染が判明した検疫官ですが、船のなかで質問票を回収して体温測定をする仕事をしていたということです。マスクや手袋はつけていたということで、手の消毒もしていたらしいのですが、防護服やゴーグルは着用していなかったということなのですね。クルーズ船での感染者がどんどん増えてきています。

河合)閉鎖された空間でかつ初動が遅かったですから。誰が感染源かよくわからないなかでの閉じ込められた状況ですからね。まだ増えそうな予感はします。

横浜・大黒ふ頭沖に停泊するクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」=2020年2月5日午前、横浜市鶴見区(川口良介撮影) 写真提供:産経新聞社

新たに浙江省からの外国人渡航者を入国拒否へ

森田)政府の対応ですが、安倍総理大臣は新型コロナウイルス感染症の対策本部会合を12日に開き、これまでの中国・湖北省に加え、浙江省に滞在していた外国人の入国についても拒否することを表明しました。効力は13日の午前0時に発生するということです。

 

安倍総理大臣)今回は、湖北省に加えて感染者数等を総合的に判断して、浙江省を対象地域に追加し、同省に滞在歴がある外国人や同省の旅券を保持する外国人について、特段の事情がない限り入国拒否の措置を講じることとします。

 

森田)外務省は浙江省に対し、感染症危険情報について「渡航中止」を勧告するレベル3に引き上げる検討を始めています。現在、既に湖北省はレベル3で、それ以外の中国全土は不要不急の渡航自粛を求めるレベル2となっているのですが、浙江省もレベル3に引き上げ、滞在していた外国人の入国拒否となるようです。

河合)遅かった感じがします。もっと早い段階で、きちんと検疫して陰性だった人だけを国内へ入れる体制にしておけば、日本でもここまで広がらなかったはずです。

森田)総理は国会の衆議院予算委員会で、今週中に第1弾の緊急対策を取りまとめることを明らかにしています。旅館業をはじめとする地域の中小企業や、小規模事業者にも影響をもたらしていますので、資金繰りの支援や相談体制の整備などを取りまとめるようです。

河合)私も先週、京都や奈良に行ったのですが、観光客はまばらと言っていいほど少なかったです。中国からの観光客を当て込んでいる仕事がかなりあるので、経済的な影響にはきちんと対応しないと、日本の景気までおかしくなって行きます。

森田)バスの運転手の感染なども、割と早い時期に報道されましたね。

河合)イメージ先行のところが強いと思います。あまり過剰反応はしないで欲しいところです。

【新型肺炎 武漢滞在の邦人帰国へ】中国・武漢に滞在する邦人を帰国させるため、出発の準備を行うチャーター機=2020年1月28日午後、羽田空港 写真提供:産経新聞社

武漢から第1便で帰国したホテル等滞在中の197人が帰宅

森田)一方で、武漢市から政府のチャーター機第1便で帰国し、千葉県勝浦市のホテル三日月などに滞在している、197人のウイルスの再検査結果が判明しました。全員陰性だということで、この後13日にかけて、大型バスなどを利用して帰宅できるということです。ホテル三日月にいる176人、埼玉県和光市の税務大学校に滞在する21人については、1月29日に羽田空港に帰国した際の検査では陰性だったということで、WHOの見解を踏まえて12.5日の経過観察期間が過ぎた2月11日に再検査を行っていました。

河合)待ちに待った帰宅ですね。

森田)これでほっとされているでしょうね。

河合)皆さんにも日常生活がありますので、何もなければ帰宅してもらうのは当然です。

森田)チャーター機で帰った人が1度陰性だったのに帰宅させてしまって、その後に発症したケースがありましたが、武漢から帰国した763人のうち14人については、政府が手配した施設に入らずに帰宅しているようです。例えば、お子さんがいて宿舎の環境に馴染めないという方や、親族が亡くなったという事情などで、どうしてもやむを得ず帰宅したようです。

河合)やむを得ない事情はそれぞれにありますのでね。ただ、帰宅された方についても厚労省は経過観察をしているということですので、出歩くことなく自宅にいるのだろうと思います。

新型コロナウィルスによる肺炎の感染拡大 成田空港ではマスク姿の人が目立つ=2020年2月10日午後、成田空港 写真提供:産経新聞社

新型コロナウイルスにWHOが「COVID」と命名

森田)新型コロナウイルスによる肺炎には、新しく「COVID-19」という名前が付きました。コロナウイルスの「COVI」と、疾病(Disease)という意味から「D」を取ってこの名前になりました。風評被害を避けるため、地名や動物名、人名、組織名などは盛り込まなかったということです。中国本土では死者が1113人、感染者が4万4653人となり、各地の都市や居住区の封鎖管理も行って人の移動を減らそうとしていますが、中国本土はまだまだ感染者の拡大が続いていますね。

河合)医療関係者にも取材したのですが、中国の医療体制の脆弱さというのが原因の1つとしてあるのです。日本と比べると水準の低い医療機関しかないというところがあったり、武漢に関しては医療崩壊が起こるほどの患者が急増してしまったとりいうことで、ほとんど治療がなされていないケースも多いのです。入院できたとしても適切な処置まで手が回らないということで、亡くなっている方もいるということですね。だから中国ばかりが亡くなっているという状況に見えるわけですが、医療がきちんとしていれば中国でもここまで亡くならないだろうし、逆に言えば日本はそこまで患者数もいませんし、医療体制もしっかりしているということで、そんなに慌てることはないのかなと思います。

森田)12日に10代の感染が初めて出ましたが、小さなお子さんが感染するということはほとんどありませんね。

河合)ぜひ政府にアナウンスしていただきたいのですが、これまでに日本で感染して、入院した人たちがどういう状況になっているのか。治った人がいるかもしれないし、退院している人がいるかもしれない。インフルエンザなどとどれくらい違うのかというデータを出して行かないと、新型コロナウイルスに罹患するだけで不治の病にかかるように捉えている人も多いと思うので、適切に恐れて行かないといけません。ストレスや恐怖心の蔓延の方が怖いところがあります。全然情報が出て来ないですよね。

【新型肺炎】羽田空港から出る救急車=2020年1月29日午前、東京・羽田空港 写真提供:産経新聞社

重症化のほとんどが60代以上~適切なアナウンスが必要

森田)12日に出た情報だと、クルーズ船から病院に搬送された人のなかに重症者が4人いて、うち日本人が3人、外国人の70代の男性が1人。4人のうち2人はICU(集中治療室)で治療を受けていて、残り2人は気管に酸素を送るなどの呼吸管理が必要な状態ということです。いずれも高齢の方ですね。

河合)既存のインフルエンザもそうですが、罹患することによって高齢の方のもともとの持病が悪化するパターンなのですね。今回も若い人が少ないということは、免疫や体力もそれだけあるということで重症化しない。もしかしたら検査をしていないので分からないだけで、発症しても普通の風邪のように終わっている人たちもいるわけです。日本で重症化されている方はほとんどが60代以上ということなので、数字だけで考えるのではなく特殊な状況にある人だということを理解するべきなのです。これは逆に言うと、政府も年齢別に対応を変えていった方がいいのです。日本は高齢社会になっていくので、新たなウイルスが出た場合にはなるべく早めに高齢者の検査をして、重症化する前に治療を始めるということです。若い人たちの場合は、強毒性でバタバタ死んでいくような場合は別ですが、今回のように弱毒性で多くの方が重症化しないということであれば、寝ていれば回復してくるのです。そういった対応を考えていくことが重要です。

番組情報

ザ・フォーカス

月曜〜木曜 18:00-20:20

番組HP

錚々たるコメンテーター陣がその日に起きたニュースを解説。佐藤優、河合雅司、野村修也、山本秀也らが日替わりで登場して、当日のニュースをわかりやすく、時には激しく伝えます。
パーソナリティは、ニッポン放送報道部解説委員の森田耕次。帰宅時の情報収集にうってつけの番組です。

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