民主党が割れてトランプ大統領が本選で「勝たずして勝つ」可能性

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月13日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。アメリカ大統領選について解説した。

民主党が割れてトランプ大統領が本選で「勝たずして勝つ」可能性

米西部ネバダ州ラスベガスでの支持者集会で演説するトランプ大統領。「米国は偉大なる再起の途上にある」と述べて11月の大統領選での再選に向け結束を求めた=2020年2月21日 写真提供:産経新聞社

アメリカ大統領選~サンダース氏は選挙戦を継続

11月のアメリカ大統領選に向けた民主党の候補者指名争いで、劣勢が明確になって来た急進左派のサンダース上院議員は11日、「トランプ大統領の打倒に全力を尽くす」と述べ、選挙戦を続ける意向を表明した。サンダース氏としては、失言が多く「討論下手」とも言われるバイデン氏との初の一騎討ちとなる15日の討論会で、流れを自身に引き寄せたい考えと見られている。

宮家)「急進左派のサンダース氏」と言うけれど、要は普通の社会主義者ですから、たいしたことを言っているわけではないのです。日本で言えば、ひと昔前の革新系政治家と同じです。でも、サンダースさんの支持層は若者が多く、バイデンさんはお年寄りが多いので、土俵は少し違います。サンダースさんは今劣勢には違いないけれども、アメリカの民主党予備選の獲得代議員数は比例で分配しますから、1位になった人がその州の代議員を全部取るわけではありません。いまは861対710でしょう。僅差ではないけれど、バイデンさんの圧勝でもありません。サンダースさんは途中で「参りました、これから協力します」というのが普通なのだけれども、この人は普通ではない。最後までバイデン支持は表明しないと思います。

飯田)党大会まで。

民主党が割れてトランプ大統領が本選で「勝たずして勝つ」可能性

米中西部アイオワ州シーダーラピッズ市の集会で支持を訴える、急進左派のバーニー・サンダース上院議員=2020年2月1日 写真提供:産経新聞社

アメリカの大統領選は「負けなければよい」~民主党が割れる可能性

宮家)党大会でも下手をすると協力しない、支持しないということにもなりかねない。4年前もそうでした。この人は原理主義者だから、バイデンさんと一緒になるわけがありません。この人が頑張っても大統領選本選挙で票は取れないけれど、党を割る要素になる可能性はあるわけです。いつも言うことですが、アメリカの大統領選は勝つ必要はない。相手の党が割れてしまえば、割れたらもう負けですから。今の民主党内は嫌な予感がする動きになっていると思います。普通ならトランプさんがここで高笑いをするのだけれども、トランプさんはトランプさんで、最近のコロナウイルスの件でダメージが大きく出ると思います。株価も下がっていますし、今回は相当な泥試合になるような気がしています。バイデンさん対トランプさんとなるのでしょうけれども、「トランプさんは大丈夫か」という声が増えるでしょうし、バイデンさんだって、サンダースさんの出方次第ではそもそも党が割れる可能性がある。

飯田)お互いに傷を持ちながら、ということになる。

宮家)どっちもどっちになってしまうかも知れない。どちらかが選ばれるのでしょうけれど、注目は9月の第一週の経済状態、勝負はまだまだ先ですね。

民主党が割れてトランプ大統領が本選で「勝たずして勝つ」可能性

「スーパーチューズデー」で予備選が行われた米カリフォルニア州ロサンゼルスでの集会で、聴衆に笑顔をみせるバイデン前副大統領。スーパーチューズデーで獲得代議員数を積みあげ、「本命」に返り咲いた=2020年3月3日 写真提供:産経新聞社

日本にとって有利となるのは誰か~トランプ大統領のクセを知っている安倍総理

飯田)ここで外交のことを言うのはどうかとも思いますが、日本にとってと考えると、現職のトランプさんが出ることはもう決まっている。サンダースさんとバイデンさん、どちらが出て来るのかということでしょうけれども、この3人で比較すると、日本にとってどの人がいいのでしょうか?

宮家)サンダースさんになったら、みんなひっくり返ってしまうとは思いますがね。バイデンさんは以前、中国との親密な関係でいろいろ言われたけれども、バイデンさんのいいところはトランプさんと違って、ワシントンの専門家なり、既存の組織なりをオーソドックスにまともに使うだろうということです。バイデンさんになった場合、従来型の大統領制に戻るということにおいては、我々もこうしたやり方に慣れていますから、それはそれでいいと思います。トランプさんに関しては過去4年間、安倍総理を中心に日本は頑張って、何とかあの人と付き合う術をある程度は体得したわけです。不確実性が高いし、全然予測はできないけれども、クセはわかります。でも、どちらにしてもアメリカとの付き合いは難しいですね。時々で頭を使ってやるしかないですよ。

飯田)アメリカ大統領の場合、2選すると豹変するということも聞きますが。

宮家)トランプさんは豹変しないでしょう。1期目からずっと自己愛性、ナルシシズム的な人格障害と言われていますが、やり方は全然変わっていません。自分がすべての中心にいて、自分にスポットライトが当たって言いたいことを言う。テレビの司会者の時と同じです。あの人は変わらないと思います。

飯田)副大統領がペンスさんのままで行ってくれれば、ある程度は落ち着く。

トランプ氏2選の場合~副大統領をニッキー・ヘイリー氏に替える噂も

宮家)トランプさんが副大統領を替えるという話も、噂では出ています。国連大使だったニッキー・ヘイリーさんに替えるのだと。バイデンさんは、おそらく女性を副大統領候補に持って来るでしょう。そのときには「ペンスよりもニッキー・ヘイリー」という声がないわけではない。そうなるかはわかりませんが、噂としては流れています。

飯田)その辺は、相手を見て決めるところもあるだろうし。

宮家)あれだけ忠誠を誓って頑張っているペンスさんだけれども、替えられてしまうかもしれない。可哀想だけれども。

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