ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月16日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。関西電力の金品受領問題について解説した。
関西電力の金品受領問題~第三者委員会が便宜供与認定
関西電力の金品受領問題を再調査していた第三者委員会は14日、最終報告書を公表し、福井県高浜町の元助役から金品を受領した関電関係者は75人で、総額は約3億6000万円相当に上ったことを明らかにした。また金品の提供は、元助役の関係する企業に関電側の工事を発注させる目的だったと認定し、内向きな企業体質のもと、ガバナンスが機能しなかったと批判した。
飯田)但木敬一委員長・元検事総長ですが、刑事告発は見送ると発表しています。一方、関電は岩根社長の引責辞任と、森本副社長の昇格を発表しております。
須田)これをもって幕引きということになるのでしょうね。おそらく関電サイドもそれを受けたからこそ、トップ人事を行ったということでしょうが、これですべての謎が解決されたわけではありません。そもそもいちばん謎だった「なぜ、これだけ多額の金品が関電サイドに送られたのか」という部分について、第三者委員会は「工事発注を強要し、それにあたっての金品の贈与」としていますが、元助役が亡くなってしまったために真相究明には至らなかった。それは表面上の理由ですよ。
関電から切り捨てられることを察知した元助役が共犯関係を結ぶために打ったあからさまな手
須田)私は高浜町を含めた近隣の地域に、この問題が明らかになって以降、取材をしています。そのなかで、第三者委員会の報告書に載っていないような事実関係が浮かび上がったのです。東日本大震災以降、原発問題が取り沙汰されるなかで、自分の会社にとって大きなリスクになるだろうと、関西電力は元助役を切り捨てようとしたのです。そのことを察知した元助役が、「このままでは自分は関電から切り捨てられてしまう」という危機感を抱きます。なぜ切り捨てようとしたかというと、関西電力は原発対策に元来から取り組んでいて、厚いノウハウを持っているので、何も元助役に頼る必要はありません。その一方で地域対策があるのだけれども、それは県議会、市議会関係者に頼めばいいのです。それを察知した元助役が共犯関係を結ぶために、あからさまな手を打ったわけです。よく考えてみれば、なぜお菓子の下に金貨があるというような、あからさまなことをしたのか。現金で直接渡せばいいではないですか。つまり、「お前もこういう悪どいことをやっているのだ」と見せつけるために、あえてそういう方法を取ったのです。
飯田)あれは、心理的プレッシャーの一環なのですか。
須田)しかも元助役は、当時はまだ影響力を持っていましたからね。関電サイドとしても、それを押し返すわけにはいかないということで、ズルズルとこういう関係になってしまったというのが実態なのです。
関電サイドが口を拭わざるを得なかった理由~元助役に代わってその役割を誰が果たしているのか
飯田)前々からの金品の受領と、震災以降に切り捨てようとした後では、送り方も変わって来たのですか?
須田)変わっているのです。金額もそこからドーンと上がっています。それを明らかにしてしまうと、新たな仕切り役は誰なのか、どうやって頼もうとしたのかという、新たな疑惑が出て来てしまいます。だから、それについては関電サイドも口を拭わざるを得なかった。
飯田)今回の第三者委員会は、これで結論付けとなりますが、病巣は残ったままということですか?
須田)「いま元助役に代わって、その役割を果たしている人は誰なのか」というところがまだあります。もっと巧妙になっているわけです。
必要悪としてスマートな形で付き合いは残っている
飯田)この先、どういう原子力行政がなされるのかはわかりませんが、地元対策をしなければいけないとなると、関電はある意味での必要悪として付き合って行かなければいけないことになるのですか?
須田)こういうドロドロの関係ではなくて、スマートな形になっていますね。
飯田)地元に対して寄付をすることは悪いことではないから、透明なお金の流れにする。それを株主も見ることができるようにして、もし何かあれば株主からチェックが入る。システムとしては、そういう形になって行くのでしょうか?
須田)透明性があるかどうかはわかりませんが、いずれにしても新しいシステムに移行しているということですね。
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