東京都が新型コロナ感染者数を修正しなければならなかった組織的な理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月14日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。保健所と自治体の組織的な問題点について解説した。

【首都】記者会見する小池百合子都知事=2020年5月8日午後、都庁 写真提供:産経新聞社

東京都、抗体検査と抗原検査を有効に進める方針

東京都の小池百合子知事は、6月に新型コロナウイルスの抗体検査を実施することを明らかにした。都立病院などで採取した検体を使って、6月から月3000件のペースで検査を行う。また、コロナウイルスの感染を短時間で調べることができる抗原検査についても、「専門家の意見などを聞きながら、効率的に効果的に有効に進めたい」と発言している。

飯田)東京都としてやるという独自の判断ですが、どうご覧になりますか?

鈴木)抗体検査というのは基礎データ、いま感染そのものがどういう状況になっているのかを医学的に調べようというものです。自粛を解除し、経済活動を再開することへつなげるためにはデータが必要なわけです。コロナ感染は目に見えないので、どういう状況なのかわからない。そうすると手も打てません。政府がその根拠をどう発表するのか注目しているのですが、大阪モデルが評価されるのは、わかりやすさだと思うのです。感染者数の増減によって我々も一喜一憂してしまうのだけれど、10人患者がいて10人しか検査していなかったら、陽性率は100%ではないですか。だから陽性率というものを出さなければいけないし、どれくらい感染が拡大しているのかということをしっかりと知るためにも、データが必要です。最近取材していて、なるほどと思ったのは、今回のコロナは仕組みとして保健所が中心になってやって来ましたよね。

飯田)PCR検査を受けるか受けないか、というところですね。

100μLの反応混合物が入っている8連PCRチューブ (ポリメラーゼ連鎖反応‐Wikipediaより)

独立している保健所のポジション

鈴木)相談窓口もそうだし、保健所が極めて重要なポジションとなっています。もう保健所の現場は大変です。その現場とは別に、そもそも、保健所が行政の組織なかでどのような位置にいるのかということを取材すると、かなり複雑なのです。例えば、東京都には23区に保健所があります。

飯田)市区町村ごとにありますよね。

鈴木)「地域保健法」というものがあって、保健所は23区、政令市、中核都市はそれぞれ独立しているのです。独立しているから、親分は国になってしまうのです。

飯田)都道府県をすっ飛ばすわけですね。

鈴木)町田や八王子などは独立していて、親分は東京都ではなく、国なのです。東京都が独自にやっているのは6ヵ所しかなくて、多摩地区や島だけです。そのために、23区の保健所と東京都の連絡・連携がうまく行かないということが起きるのです。東京都とは人事交流などもやっているのだけれど、組織が縦割りになっているから、保健所のデータが東京都にうまく伝わらない。親分ではないから、本当は伝えなくてもいいのです。でもこの緊急時は、都道府県がまとめています。大阪府がデータをきっちり出せるのは、大阪府知事は吉村さんで、大阪市長が松井さんだからです。ここはトップ同士がちゃんと連携しているから、大阪市の保健所が府にも協力する。だからデータもきちんと出て来るのです。

飯田)大阪都構想のときにいろいろ話が出ましたが、「府市合わせ」という語呂合わせもあって、こんなデータのやり取りは一切できなくて、職員同士ではやろうともしなかったのですよね。

鈴木)それが実質的にうまく行っているので、大阪はあのような数字を出せるのです。

飯田)意思決定もできる。

鈴木)小池知事も大阪のような数字を出したいのだけれど、もとになるデータのやり取りが保健所とうまく行かないのです。

飯田)それで週末から週明けにかけて、死亡者数や患者数の修正が行われたのですね。

令和2年度補正予算案が全会一致で可決した衆院予算委員会=2020年4月29日午前、国会・衆院第1委員室 写真提供:産経新聞社

大臣が指示を出してデータを共有する環境をつくるべき

鈴木)何となく東京都が悪いという書き方をされていますが、建付けが違うのです。いまごろになって、データを共有してみんなで見られるようにしようと厚労省がやっていますが、遅いのですよ。今回はトップの政治家がどう動くかということもあるけれど、問題は、従来の行政組織自体の建付けが壁になっているということです。これは変えられます。トップが「今回は東京都の傘下に入れ」と指示すればいいのです。それで現場は動きます。現場はそんな判断はできないし、忙しくてやれません。

飯田)法律上はそうなっているけれど、政令などで都の方に情報を流すように通達すれば、すぐにもできます。それは大臣が号令すればいいのですよね。

鈴木)ハードを整備してネット環境をつくり、打ち込めば共有できるようにする。こういうことを国がやればいいではないですか。この辺も課題として見えて来ていますね。

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