東京都知事選挙~争点は間違いなく「防災」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月25日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。7月5日に投開票される東京都知事選挙について解説した。
東京都知事選挙、投票所の感染防止ガイドラインを作成
7月5日投開票の東京都知事選挙で、新型コロナウイルスの感染防止のため、東京都の選挙管理委員会はこのほど、投票所の運営などに関するガイドラインをまとめた。
新型コロナ禍のいつもとは違う選挙
飯田)3密をどう防止するかということで、2メートルの間隔を確保する、入り口に消毒液を設置する、定期的に筆記具の消毒をすることなどが伝えられています。
鈴木)選挙管理委員会の人と話しましたが、お金の問題もあるし、人の問題もあって大変だということです。いま、インターネット投票ということも言われていますが、セキュリティやシステムそのものも含めて難しいところがある。では、投票所にパソコンを置いて、画面をタッチして投票するのはどうかというアイデアも出ていますが、「タッチしたらそこをまた消毒しなければならないのか」という問題も出て来ます。しかし、いくら大変であろうが、この選挙で向こう4年間の東京都の行政のリーダーが決まるわけです。コロナだから特別ということではなく、きっちり争点を設定して、選挙をしなければいけないと思います。
4年前を思い出していただきたいのですが、それまでは都議会自民党が公明党とセットで与党としてあって、野党と闘うという構図が長い間ありました。ところが今回は、野党も統一候補を1つに絞れなかった。それで現職として小池さんが出る。対立構図が見えない選挙になっています。その辺りから、どうしても選挙戦としての盛り上がりに欠けて来る。また、街頭演説も今回はコロナの影響で気を付けてやっていますよね。
感染防止で街頭演説もままならない~感触がわかりにくい
飯田)人を集めたいけれど、集めると密になるので告知しなかったりと。
鈴木)選挙のプロからすると、感触がわからない。候補者もそうだけれども、周りについている選挙参謀たちも「訴えが響いているのか、響いていないのかわからない」と言っています。
飯田)これだけ長い選挙戦だと、その反応を見て修正して行くわけですよね。ところが、そのきっかけがつかめない。
鈴木)かつて、橋本龍太郎さんはとにかく人気者で、応援演説で全国を回っていました。彼は喋りながら後ろを見るのです。聴衆の奥の方。奥の方は通行人を規制して「通ってください」などとやっていますが、その通行人の足が止まったかどうかを見るのです。自民党が選挙で調子のいいときは、通行人の足が止まるのだそうです。そのときに「これは手ごたえがあるぞ」とわかるのだと言っていました。選挙の応援演説でも、そういうところでその選挙のムードや感触がつかめるのです。それが、今回の都知事選はまったくないのですよ。「集まらないでください」ということですから。ですので、アナログな選挙活動は各陣営とも厳しい感じですね。
争点は間違いなく「防災」
鈴木)争点は間違いなく「防災」です。東京は防災ですよ。しかし、ここが今回、争点になっていない、噛み合っていない感じがします。どうしてもコロナになってしまう。その辺が少し残念かなという気がします。
飯田)防災と一口で言っても、地震もそうだし、去年(2019年)も台風15号で千葉県は大変でしたが、もしコースが少し変わって東京を直撃していたら、どうなっていたのだろうと思いますね。
鈴木)いまは、梅雨です。コロナで調子が狂ってしまいましたが、梅雨の時期に気温が30度を超えているということは異常ですよね。
飯田)今年(2020年)は暑くなるのだと、気象庁は予報を出しています。
鈴木)暑いときには「皆さん、水をこまめに飲んでください」で済んでいますが、これも異常気象のなかの大敵ですよね。
飯田)しかも気象学者の方が言うには、東京湾沿いに高いビルが建ったことで、風向きが変わり、練馬の辺りで大豪雨が発生しやすくなったのではないかということです。そうすると、都市計画と気象という関係も考えなくてはならない。
「防災」を意識して候補者の主張を聞く
鈴木)そういう意味では、東京と防災ということは、住民の生命・財産を守るということになる。この行政を考えれば、ここがいちばんでしょう。これだけ人口が集積していて、しかも首都です。防災が最大の争点にならなくてはおかしいのです。そして今回は、プラス・アルファでコロナです。これで困っている人がたくさんいますから、ここをどうするのか…。そんな争点で選挙戦を闘って欲しいです。「防災」ということを意識して、候補者の主張を聞いてみたらどうでしょうか。
飯田)街頭演説などで機会があれば、候補者が下りて来たときに直接聞いてみるとか、事務所にメールを送るということもあるのではないでしょうか。
鈴木)東京は特に、選挙期間中に皆さんが候補の顔を見る機会が少ないのです。有権者も無党派層が多いし、「俺は4年後にはいない」という流動人口も多いのです。だから知名度などで選挙を考えてしまいがちですが、ぜひ、皆さん、防災を考えてみてください。
飯田)7月5日に投開票の東京都知事選挙。山本太郎さん、小池百合子さん、宇都宮健児さん、小野泰輔さん、立花孝志さんなど、22人の方が立候補しています。
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