ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月14日放送)にジャーナリストの有本香が出演。東京オリンピックの追加費用と来年開催の可能性について解説した。
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記者会見する国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長=2020年2月4日、スイス・ローザンヌ 写真提供:時事通信社
東京オリンピック延期の追加費用
国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は、東京オリンピックの延期に伴い「数百億円の追加費用の負担を覚悟している」と、ドイツ紙ウェルトの電子版のインタビューで言及した。
飯田)インタビューのなかでバッハ会長は、追加経費の金額について「現時点では言えない。日本が引き続き経費を負担することで、安倍総理と合意している」と発言しています。
有本)費用はもちろん大変ですが、いまの時点で来年(2021年)開催というのも不透明感がありますよね。
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東京五輪・パラリンピック開催延期を受け、開幕までの日時(左・24日)から現在日時に変わったカウントダウン時計=2020年3月25日午前、JR東京駅前 写真提供:産経新聞社
2年延期は更なる問題が生じる
飯田)「さらに1年延期することを日本側が拒否したのだ」と、バッハ会長は言っています。
有本)拒否というか、そもそも2年延期ということになると、諸調整がものすごく大変になります。そもそもアスリートファーストというところで言うと、2年後に同じ選手たちが出られるという確率は非常に低くなりますし、アジア大会などの日程も全部変更しなければいけないということです。そうなると波及する影響があまりにも大きいので、難しいだろうと。拒否したというよりは、現実的ではないという話をしていたのだろうと思うのですが。
飯田)大きいイベントなだけに、関わる人も多いですし。
有本)日本側も人の手配と共に、オリンピックには関連イベントもいろいろと予定されていたわけです。来年に延期したというだけでも、予定通りにはできないだろうと言われていますから、ましてや2年後となると様相が変わってしまいます。
飯田)2年後にずらすということになると、冬のオリンピックと夏のオリンピックを同じ年にやることになります。かつてそういう時期は確かにありましたが、そこに関してどうだという意見も当然出て来ます。
有本)負担が逆に大きくなってしまうというところだと思います。
飯田)選手によってはスケートの選手が、夏の大会に自転車で出ているという例もあります。
有本)ですから、社会がほぼ元通りになる。これをきっかけにテレワークが進むなど、いろいろなこともあるのでしょうが、当たり前の日常に戻って、そこから更に予選をしてという状況がはたして整うのか。それを考えると、来年の開催もかなり頑張らないといけないことになります。
飯田)確かに逆算するとそうですよね。2019年のいまごろを思い出してみると、もう最終予選もやっていました。競技によっては、いま選出されている人がそのまま行くようですが。
有本)それはなかなか簡単ではないと思います。
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東京オリンピック・パラリンピック開幕までのカウントダウンが表示されたデジタルサイネージ=2020年4月1日午前、東京都港区 写真提供:産経新聞社
世界中で感染が収束する必要がある~今後の状況の読めない途上国群
飯田)世界中からアスリートやお客さんを呼ぶということは、日本だけが抑え込んだとしても、それでいいというものではありません。
有本)仮に先進国はある程度形をつけられたとしても、途上国が厳しいのではないか、代表を出せるのかという話もあります。途上国群における感染爆発のリスクは、これから出て来ると言われています。そうなると、世界中がオリンピックに参加できるのかというところですが、いまはまったく読めない状況です。
飯田)会議などもそうですが、世界中から人を集めるという概念そのものが崩れてしまうかも知れませんね。
有本)いまの段階ではとやかく言えないし、追加費用の問題はIOCにしてみれば非常に大きなことで、日本にとってもそうです。「日本が持ってくれるからいいのではないか」という、いつもの感覚で来られては困ります。