「Go To トラベル」が期待できない理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月22日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。7月22日からスタートする「Go To トラベル」について解説した。

「Go To トラベル」が期待できない理由

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

「Go To トラベル」がスタート

政府の観光支援事業「Go To トラベル」が7月22日からスタートする。政府は21日、対象から除外した東京都発着の旅行についてキャンセル料を補償することも発表した。

飯田)「やるやらない」でもめた末です。経済対策として、やらなければいけないというような。

「Go To トラベル」が期待できない理由

【新型コロナ】旅行代理店のGo To トラベルキャンペーンを知らせる張り紙=2020年7月20日、東京都渋谷区 写真提供:産経新聞社

「Go To トラベルキャンペーン」が早まった実情

高橋)1次補正のときは、コロナ感染の状況がV字回復した際にやるという話になっていたはずです。でもV字回復という状況ではないので、前提が変わってしまいました。年度内に予算は執行すればいいから、普通であれば年度内のどこかでタイミングを見てやるのだろうと思います。でも、これは全国旅行業協会の会長でもある二階幹事長の肝いりということで、国交省などは走っているのでしょう。「せっかく貰ったなら予算消化を」と言って、先に夏の4連休にスケジュールを立てたのだと思います。確かに夏は、他の月より旅行の売上が5割アップするのです。5月は売上が9割減だったようなところがたくさんあるので、このままでは1~2ヵ月で倒産するところが出て来てしまう。ですので、走らなければいけないと思いこんだのではないでしょうか。そこにコロナウイルスの第2波がぶつかってしまったということです。

飯田)観光業は2月くらいから外国人が来なくなり、打撃を受けているので経済対策で支えなければと思っていましたが、実際はどうなのですか?

「Go To トラベル」が期待できない理由

政治 Go To トラベル、東京発着除外へ 記者団に応じる赤羽一嘉国交相、西村康稔経済再生担当相=2020年7月16日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

Go To トラベルは期待できない

高橋)キャンペーンから東京を抜き、一方で小池都知事が「4連休は不要不急の外出を控えて」などと言っていますから、効果はないでしょう。経済活動を再開して経済を支えようという気持ちはわかりますが、一般的にその結果はほとんどうまく行っていません。いい例はスウェーデンでしょう。スウェーデンは感染症の対策をせず、経済優先でやっていました。しかし経済がよくならなくて、今年(2020年)のGDPはマイナス4~5%と大きく落ちています。結果的には近隣のノルウェーと比べて、死者率が2桁くらい違います。悲惨な状態です。こんなときに経済を回すのは無理なのです。気持ちも萎縮してしまっているから難しい。死者を増やさないために、いろいろな感染予防をするべきでしょう。

飯田)無理やり回そうとしても。

「Go To トラベル」が期待できない理由

出邸時、Go Toトラベルキャンペーンについて記者団の質問に答える安倍晋三首相=2020年7月16日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

休業補償して凌いでもらう方がベター

高橋)大きな波が来ているので、焼け石に水という形になります。休業補償をして凌ぐ方がまだいいです。

飯田)休業補償をすると、予算がかかってしまうのでは?

高橋)そんなことはありません。観光業は20兆円産業ですので、1~2ヵ月で2~3兆円レベルでしょう。それなら予備費が5兆円余っているのだから、それを使えばいいのです。

飯田)観光業は年間でも20兆円産業ですか。

「Go To トラベル」が期待できない理由

政治 参院予算委員会 答弁する、西村康稔経済再生担当相=2020年7月16日午後、国会・参院第1委員会室 写真提供:産経新聞社

「Go To トラベルキャンペーン」を延期して、予備費から2~3兆の休業補償を国がする

高橋)2~3兆円くらいの予算をつけてあげれば十分ではないでしょうか。それを予備費から使うのがいちばん簡単なやり方です。

飯田)Go To の旅行関係で1兆7000億、そこへさらに付け足す形で。

高橋)Go To は年度内に執行すればいいのですから。国交省が7月からと決めただけで、年度内のどこかで使えばいいのです。

飯田)まだとっておけばいいと。

高橋)執行しなければいいのです。他の予備費で、休業補償を国がやればいいのです。地方自治体だと東京しかできないので、国の方で休業補償をしてあげればいいのだと思います。休業補償しないと倒産するところが出て来ます。倒産したときのことを考えると、いま休業補償をして、倒産の数を減らす方が無難です。

飯田)休業補償で言うと、旅行業界ではなく飲食業だと思いますが、特措法を改正して、そこにも予算がつけられるようにするという話がありますね。

高橋)特措法でなくても、休業補償だけならできると思います。いちばん簡単なのは、交付税を特別交付税で増やして、後で地方で使うというやり方です。

飯田)それは、用途は指定せず。

高橋)交付税だから用途の指定はありません。地方の実情に合わせて、というのがいちばん簡単です。

飯田)もちろん休業補償にも使えると。

高橋)「何に使え」と言わなければいいのです。当面、凌いでもらう。企業は社会の基本要素となっているので、倒産すると後が大変になります。だから企業と雇用をセイフティガードで守ってあげることです。そういう政策に転じるしかないと思います。

飯田)国交省が前倒ししたのは、冬になるとまた感染が流行る可能性があるからですか?

高橋)というよりは、夏に向けて急いだのではないでしょうか。逆に言うと、他に目もくれないでやっていたということでしょう。

番組情報

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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