政府がGo Toトラベルに前のめりになったワケ
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月20日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。19日に全国知事会がまとめた国に対する緊急提言について解説した。
全国の知事、国に対する緊急提言
新型コロナウイルスの感染が首都圏を中心に再拡大していることを受け、19日、40人あまりの知事が参加した全国知事会がテレビ会議形式で開かれ、緊急提言をまとめた。国に対して新型インフルエンザ等対策特別措置法や感染症法の改正などにより、休業要請に応じない事業者への罰則の適用など、対策強化を要望。また、22日に始まる「Go Toトラベル」事業については、感染状況に応じて対象範囲を機動的に見直すことを求めた。
飯田)首都圏を中心に、19日も180人を超える感染者が確認されたということですが、提言が出されました。どうご覧になりますか?
なぜGo Toトラベルを急いだのか
須田)大前提として、Go Toトラベルに関して言えば、この制度が閣議決定された際、新型コロナウイルスの感染が収束した後に、V字回復を目指して行くというところで決まったのですけれども、感染は収束したのでしょうか。これについては拙速な感じがします。観光を含めた関連業界の強い要望があったということが背景にあるのだと思うし、加えて、野党も与党もそうですが、9月解散、10月総選挙という観測が浮上しているなかで、それぞれの国会議員が選挙戦を意識して地元の要望に答えて行かなければならない。地元の要望としては、いきなり地元の産業が活性化するということはないから、観光業でカンフル剤を打って行くというような意識が強い。そうすると、1兆7000億円の予算も確保しているのだから、これを使わない手はないということで、前のめりになったのではないでしょうか。中央が決めた話ではなく、地方からも一部業界ではあるのかも知れないけれども、強い要望があったのだろうと思います。
1都3県のなかで濃淡をつける対応をするべき~国が主導する必要がある
須田)ここへ来ての新型コロナウイルス対応ということを考えると、東京を捉えてみても、東京都だけで対策を打つことに意味があるのかということになります。例えば、23区と三多摩地区をワンセットにして対策を講じることが必要なのだろうか、ということも考えなければいけない。1都3県のなかで対応して、濃淡をつけて行くということが必要になるのだけれども、それは自治体単位では対応が難しいと思います。国が主導的な役割を果たす必要があるのだと思います。
東京都ですら財源が枯渇するなか、国がバックアップしなくてはならない
須田)もう1つは予算面です。軽症者用ホテルについて、東京がかなり逼迫(ひっぱく)しているのです。6月末時点で2865室あったものが、7月中旬で196室まで激減しています。ここへ来ての感染者拡大に対応できるのかどうか。特に数の多い20代~30代の感染者は、無症状の人が多い。そうすると一旦ホテルへとなるのだけれども、ホテルの客室数が足りるかどうか。これについては、実は菅官房長官がかねてから指摘して来たことです。指摘はして来たけれども、メディアが書いていなかったのです。それが小池知事の不評を買ってしまって、両者の摩擦みたいなところになっているのだけれども、東京都の財源が枯渇しつつあるのです。
飯田)財政調整基金を大分使ったという話が出て来ましたものね。
須田)無駄遣いを減らすということで、一旦は感染者数が減少に転じたときに解約したのです。それが現在の状況になっている。財政面でもやはり国がバックアップして行かなければならない。特に休業要請と補償はワンセットにならなければいけないのですが、東京都ですら補償に関してはこの状況です。他府県はもっと悲惨な状況になっているのだろうと思います。予算面と公益的な対応というところで、特措法の改正をやらなければいけないのではないかと思います。
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