ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月24日放送)に国際政治アナリスト・NPO法人海外安全危機管理の会 代表理事の菅原出が出演。ALS女性患者嘱託殺人事件について解説した。
難病の患者に頼まれて殺害か、医師2人が逮捕
全身の筋肉が衰える難病、A L S筋萎縮性側索硬化症の女性患者から依頼を受け、京都市内の自宅で薬物を投与し殺害したとして、京都府警は昨日23日、宮城県名取市でクリニックを開業する大久保愉一容疑者と東京都港区の山本直樹容疑者の医師2人を嘱託殺人の容疑で逮捕した。2人は女性の主治医ではなくSNSを通じて知り合ったと見られている。
飯田)山本容疑者側の口座に女性の側から150万円前後が振り込まれていたことも確認されているということで。今日24日、2紙が1面トップで報じています。ここから安楽死の議論まで展開している新聞もありますが。菅原さんどうご覧になります?
菅原)第1報で亡くなられた方が京都在住なのに、医師が仙台と東京で、しかも面識がなくS N Sで知り合ったらしいということだけでていたと思っていたのですよね。そして、今朝24日の朝になってみたらけっこう詳しい情報がわかってきていて、この2人の方はいままで安楽死を肯定するような議論を展開した電子書籍を出版していたということもわかっていまして。しかもその電子書籍のタイトルが、『扱いに困った高齢者を「枯らす」技術』というこんなタイトルの本を出していたということがわかっていまして、報道で一部内容が紹介されていますけれども、証拠を残さず老人を消すことができる方法があるとか、違和感のない病死を演出できれば警察の出る幕はないし、犯罪かどうか見抜けないこともある、荼毘に付されれば完全犯罪だ、などと記されていたと書いてありますので、本当に医師という立場でありながら生き死に対する姿勢に疑問を感じざるを得ないような方々だと思ってしまいますよね。
飯田)そういうところが一人歩きするような行動になって、これをベースにする安楽死の議論とかとなると、まったく別のものになってしましますよね。
菅原)そうですね。本来この患者の方は非常に長いことこの病気で苦しまれていて、死にたいとずっと言っていたということも、知り合いの方のコメントからわかってきています。安楽死が認められているスイスへの渡航も計画したことがあるということでしたので。
飯田)産経新聞の関西版でかなり詳しく報じられていて、よくここまで取材したと思ったのですが、友人の方がそう仰っているのですね。
菅原)ええ。ということなので、ご本人は非常に苦しまれていたということなのですけれども、本来安楽死とは真剣に議論されるべき話なのですが、こういう事件のなかで取り上げられると、安楽死というもの自体がネガティブなものという印象だけになってしまいますので、それも非常に問題だと思っています。
安楽死合法のオランダでの厳しい手続き
菅原)私は安楽死という意味では先進国と言われているオランダに留学していたということもありまして、現地でいろいろな話を聞いたことがあります。オランダの事情などもお伝えしたいと思うのですが、オランダの場合は70年代からずっと議論しているのです。
飯田)もう50年以上にわたって、ということですね。
菅原)ええ。実際に安楽死を認める法律が2001年にできましたので、法律ができてからも20年くらい経っているわけですけれども、たくさんの裁判での判例や、法律を作ってからもいろいろな運用や改正をしながら、進めているという現状で、それくらい真剣に生と死に向き合いながらこの制度をつくってきていると考えると、まったくレベルの違う話だと思いますね。
飯田)今回の事件でこの医師2人はほぼ初対面だということでしたが、オランダで初対面の医者が安楽死をさせるなんてことはないですよね。
菅原)あり得ないですね。オランダの場合はホームドクター、かかりつけ医と言いますが、ホームドクター制というのが発展していますので、本当にドクターとの関係はすごく親密で、信頼関係ができています。
飯田)その上で、そのお医者さんの判断だけではないのですよね。
菅原)はい。(ホームドクター)だけではなくて、さらに中立的な立場のお医者さんの意見も聞いて、その人からの診断も得て、セカンドオピニオンもきちんとやらなくてはいけない、とかいろいろな手続きがあるのですよね。
飯田)行政も含めて、きちんと自分の意思で判断したかというのもすべてオーソライズした上で、という。そこら辺の仕組みもまったく違うわけですよね。
菅原)まったく違いますね。
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